お悩み社長
結論から言うと、選ぶ必要はないです。むしろ敢えて選ばない方がよいかもしれません。
この度、M&A仲介協会に関する色々な情報が出てきましたが、客観的な情報から何を目的にしているのか、最終的にどんな感じになるのかが薄々と見えてきたところがありますので、ちょっと取り上げてみたいと思います。
今日の内容は、「M&A仲介協会員」と名乗る仲介会社から営業を受けている売手オーナーの方はもちろん、M&A仲介協会とは関係の無いM&A仲介会社の方も是非読んでいただきたい内容となっております。
それではいきましょう!
M&A仲介協会の活動内容と目的
ホームページを見るとこういう活動内容らしいです。
①M&A仲介の公正・円滑な取引の促進
②中小M&Aガイドラインを含む適正な取引ルールの徹底
③M&A支援人材の育成サポート
④M&A仲介に係る苦情相談窓口の運営
①②④については中小企業庁がM&A支援機関登録制度で既に規制を進めている部分と完全に重複しているようにみえます。
中小企業庁が公的機関として、M&A支援機関登録制度という制度を運営することで、「問題のある仲介会社を使う場合は売手・買手が補助金が使えなくなってしまう」という設計ができ、その結果、「(補助金が使えないことで)集客に影響が出るのを恐れて、M&A支援機関である仲介会社は変なことをしなくなる」という抑止力を得ることができます。
一方、M&A仲介協会については、「高額な会費を払ってこの規制を守る」という設計になっています。
わざわざお金を払って規制されにいく人なんていますでしょうか?
筆者はこの時点でどういう動機付けを意図しているか全くわかりません。
なので、恐らくこの協会の目的はこうではないかと推測されます。
・「M&A業界を健全にしていますよ」と国にアピールしたい
・「M&A仲介協会に入ることで顧客にアピールできる」という集客ツールを提供します、という価値の提供
・「M&A仲介協会に入っていない仲介業者のネガティブキャンペーンをする」という脅し
つまり、アピールだけの団体か、「健全な仲介会社というネームバリューを金で買わへんか」というだけの団体である可能性があるわけですね。
M&A支援人材の育成サポートも行うようなことは書いてありますが、結局は、理事会社の一つである日本M&Aセンターの取り扱うM&Aコンサルタント向けの資格に誘導するような感じになっているので、日本M&Aセンターの商売になっているのではないかとも読み取れるわけです。実際分かりませんが。
M&A仲介に係る苦情相談窓口については、M&A仲介協会の理事をしている仲介会社に対する苦情が世の中ではかなり多いです。
匿名さん 2021/09/10 11:18:30
頼んでもいないM&AセミナーのDMを透明な封筒に入れて
送り状も付けずに社長宛てに送りつけてくる非常識な会社です。
どんなアホの集団かと思って調べてみたらこれでも一部上場の大手だそうで。
M&A企業からの案内なんて取引先や社員が見たら余計な疑いを持たれかねず、
本当に迷惑なのでWebから「こういう営業行為はやめて欲しい」とメールを入れたところ
「担当者から折り返し連絡します」との自動返信が来ただけで
その後1週間以上待っても音沙汰なし。
こんな会社が顧客の立場に立ったM&A支援を提供できるとは思えないですね。
ロイヤルさん 2021/12/10 23:50:16
直接、自宅へ手紙を書いてあたかもオタクだけって感じ出すがコピーしてあるし嘘八百並べて良くやるよ、レベル低過ぎなのに高給取りってうちにでんわしてきたやつは、100%バカおい、お前のことだよそんなお前の話になる社長がいればその会社に未来はない
このような掲示板にも生々しく書いてあったりしますが、理事をしている仲介会社の苦情をM&A仲介協会が受けたらどうするんですかね?
一般論として、クレームを出している張本人の会社が完全にコントロールしている団体にクレームの申立をしたところで、何か効果があるのかそもそも疑問です。
諸々踏まえ、この団体がM&A業界にどのようによい影響を及ぼすかは全く分からない、というのが筆者の思うところです。
M&A仲介協会の入会金・年会費
M&A仲介協会の入会金・年会費は以下の通りです。
※引用:「M&A仲介協会」ホームページより
仲介会社がこの協会に入ろうとしたら、入会で200万円、毎年200万円の費用が発生するということです。
これ、めちゃくちゃ高いです。
似たような協会で、「日本M&Aアドバイザー協会」というのがありますが、これは入会金3万円、月会費1万円(税別)です。
参考 日本M&Aアドバイザー協会(外部サイト)日本M&Aアドバイザー協会
「そもそも入会さす気ないやん」と筆者は思ったりします。
これを作ったと思われる上場M&A仲介会社の創業者達はIPOで数百億?とか尋常でないお金を持っている人々なので、既に金銭感覚がおかしくなっているか、自分達が運営しやすくするために息のかかった仲介会社や銀行だけ入会させたいか・・・とか考えてしまいますね。
また、一般社団法人といっても、理事達は報酬をもらうはずなので、高額な入会金・年会費を払わせたお金をプールさせて私腹を肥やすことも設計上はできそうな気がします。
そんなことからタイトルにもある通り、「仲介会社から金を巻き上げるだけの団体」にもなり得るということです。
M&A仲介協会は、国から「悪評高いM&A業界をなんとかせい」という要請を踏まえて上場仲介会社が作った自主規制団体という位置づけと思いますが、顧客目線でリーズナブルにM&Aサービスを行っている仲介会社から見て明らかに高額だと思われるような入会金・年会費を徴収することは問題があると思います。
国としても、「こんな団体を作ってM&A業界を健全化させようとしています」と上場仲介会社がアピールしてきても疑問を持ってほしいなと思う次第です。
結論
M&Aを心から良くしようとしている自主規制団体の色合いは薄く、徴収する金額も高額であることからビジネス色の強い団体であるように見えるので、
売手オーナーの方は、「M&A仲介協会員」だからよいM&Aを提供するとは思わなくてよく、むしろ、協会員になるために高額な入会金・年会費を支払っている仲介会社なので、「そもそも顧客から徴収している仲介手数料が高いのでは?」と疑問を持つべき。
仲介会社の方は、「M&A仲介協会員」という肩書を買うために高額な入会金・年会費を支払う必要はなし。無料で登録できる中小企業庁の「M&A支援機関」に登録すれば健全な仲介会社であることはアピールできる。
と、筆者は思います。
いかがでしたでしょうか?
本当に顧客目線で、正直な姿勢で、リーズナブルな手数料でM&Aを提供しよう、という発想でM&A仲介のあり方を考えている筆者からすると違和感アリアリの団体になりそうだったので、少しモノ申してみました。
立場によって色々な意見はあるとは思いますが、「健全なM&A仲介とは」という部分についての前提をもう少し議論しないと、都合よく解釈してビジネスをしだす人も出てきてしまいますので、本質的な部分をもっとオープンな場で議論し合うのがよいのではないかなと思う今日この頃です。
最後までお読みいただきありがとうございました。