2021年7月5日の日経新聞で次のような記事がありました。
参考 ストライク、M&A仲介の着手金を無料に(外部サイト)日本経済新聞
同じ内容はストライク社のHPでも記載がありますが、今日はこの話題に触れ、M&A仲介業界の動向について考えてみたいと思います。
ストライクってどんな会社??
以前、このブログでは以前、M&A仲介会社「ストライク」の評判・口コミ記事を掲載しました。

元々士業色を全面に出していた会社ですが、現在では他の仲介会社と同様にコンサルタントを増員し、インセンティブによる動機付けをしつつ、成約件数を追いかけるという会社になっています。
上場しているので大手仲介会社ではありますが、日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズよりも手数料は安め(それでも最低報酬で1,000万円)の会社です。
今回の報酬変更でどう変わるの?実際の負担感は?
今回の変更点は日経新聞の記事及び同社のホームページによると以下の通りです。
着手金は取らないようにするけど、その代わり基本合意時には頂きます、という変更です。
総額での負担感は変更前・変更後で一緒なので、成約した場合の総支払額は一緒ですが、買手が現れるかどうかわからない段階で支払う着手金が無くなったというのは、売手的には検討がしやすくはなったと言えます。
レーマン方式は、譲渡金額や総資産額に対するパーセンテージで手数料を決める方式のことですが、多くの仲介会社が「譲渡金額に対するレーマン方式」であることに対して、ストライクや日本M&Aセンターは「移動総資産に対するレーマン方式」を採用しています。
レーマンというと分かりづらいので、言い換えると、多くの仲介会社は、
「M&Aで株式が2億円で売れたら、2億円の5%の1,000万円を手数料として頂きます」
と言っているのに対し、
ストライクは、
「いくらで売れたとしても、総資産が2億円だったら1,000万円を手数料として頂きます」
と言っているということです。
※ちなみに日本M&Aセンターは最低成功報酬を2,000万円で設定しているので、総資産が2億円だったとしても手数料は2,000万円発生します。
これは会社のコンディションによって損得が異なりますが、負債が大きい会社は総資産の割に株価が低くなりますので、負債が大きい会社は、譲渡金額レーマンを採用している仲介会社の方がメリットがあります。
また、レーマン方式で計算したときに最低報酬金額を超すような会社は、M&Aいろは塾のような固定で仲介手数料を設定しているところに依頼した方がメリットがあります。
例えば、譲渡金額5億円、総資産5億円という会社であれば、レーマンの計算を譲渡金額でしようが、総資産でしようが手数料は5%の2,500万円なので、ほとんどの仲介会社が一緒の手数料になります。
※一部着手金や中間金がある会社はその分オーバーすることもありますが
固定の成功報酬でやっています、という会社であれば、いくらで売却したとしても手数料は一定(いろは塾は300万円)なので、高く売れる可能性のある会社(収益力がある、純資産が厚い)は、こうした完全固定の報酬体系を取っている仲介会社へ依頼するとメリットがあります。
手取額で1,000万円、2,000万円普通に変わってくるので、ここはアンテナを高くしておきましょう!
各社の手数料水準比較については、こちらのまとめ記事をご覧ください。

M&A仲介業界の動きとしては今回の変更はどう捉えたらいいの?
筆者は今回の変更について、営業的な観点で「案件受託を促進する」ことが目的と思っています。それだけ案件受託のハードルが年々上がっていると感じ取れます。
ストライク社は2021年9月期 第3四半期決算発表で、コンサルタントの増員と直接営業を強化する旨の発表がありました。
どの仲介会社もそうですが、コンサルタントを増やすと、その分受託する案件数を増やさないといけません。
ストライクの場合は、今まで受託する案件数の50~60%くらいを紹介から受けているようですが、短期的にコンサルタントを増やすことになると案件が足りなくなる、という状況になり得ます。
なので、紹介先からの案件受託だけではなく、自分たちだけでもガンガン案件獲ってこうぜ!というのが、今回の報酬変更の意図のように筆者はみています。
筆者の経験上、M&A仲介の現場では「着手金取るところは無理!」と仰る売主さんもかなりいるので、案件を受託する上でこの着手金は大きなハードルになり得ます。今回はそれへの対策となります。実際に、仲介会社は増えており、受託する難易度は年々上がっている背景もあるかと思います。
まだまだ着手金を取っている仲介会社も多いですが、こういった着手金無料の流れを受けて他の仲介会社がどう出るかは今後の見どころだと思います。
いかがでしたでしょうか?
いろは塾では、こうした仲介会社の動向についても発信し、業界動向についてもお伝えできればと思います。特に報酬基準については分かりづらいところがあるので。
最後までお読みいただきありがとうございました!