お悩み社長
M&Aコンサルタントを人柄で選ぶもの大切ですが、実際選ぶのはとても難しいです。
なぜなら、コンサルタントという職業柄、皆それなりにしっかりした格好をしていますし、ある程度経験のあるコンサルタントなら中小企業の社長の扱いは慣れているため、第一印象は良いと感じることも多いです。
それでも交渉が進んだり、何かトラブルが起きると急に人間関係がギクシャクしたり、コンサルタントという起用される側の立場でありながら、売手や買手に説教を始める者もいます。
こういったコンサルタントに依頼すると成約からは遠ざかることは言うまでもありませんが、成約しないばかりか変な仲介会社を起用したとして売手企業の評判を落とすことにも繋がってしまうため、注意して選ぶ必要があります。
今日はこんな方に読んでいただきたい内容です
・今委託しているコンサルタントのタイプや起こりうる問題を知りたい方
本日の内容は、筆者が今まで見聞きした中で「〇〇のようなコンサルタントはヤバい」という説明を行うものです。
場合によっては「それは違うよ!」と思うこともあるかもしれませんが、M&Aコンサルタントは進めてみないと本質が見抜けない部分も多分にあるため、そんなこともあるのか程度でご参考いただければと思います。
それではいきましょう!
選んではいけないM&Aコンサルタント その①
物事を大げさに言ったり、誤解をさせるような言い方をするコンサルタント
そのコンサルタントが「仲介」という立場であれば、誤解を与えるような言い方や、言葉選びのミスは絶対に許されません。
M&Aというのは、最終的には譲渡契約書という形で契約書に落とし込むので、そこに誤解が生じる余地を残してはいけませんし、買手が買うかどうかの判断をするときに、変なリップサービスをしてしまい、誤った判断に誘導させても絶対にいけません。
常識的には分かるのに、やってしまっている人が非常に多いです。
中でもタチが悪いのが、営業会社から転職してきたコンサルタントに多いのですが、「コンサルタントの実力は、いかにお客さんをコントロールするか」と勘違いしている人間もいますが、こういう方々は本当に気を付けた方がよいです(ただ、こういうタイプは仲介会社内では成果を出しているコンサルタントとして扱われていることもあったりしますので、管理職だったりします…恐ろしい)
筆者はよく後輩に、「グレーを白と言うのもダメだし、オフホワイトさえ白とは言ってはダメ」と注意していました。こういう注意をすると、気にし過ぎてメッセンジャーボーイになってしまうコンサルタントもたまにいるのですが、筆者が言いたいのは、事実は歪めてはいけないが、話し相手に理解される言葉でないときちんと伝わらないので、話し相手に応じた言葉選び・言葉遣いをしましょうということです。
これには、ある程度の専門知識が無いと事実や意図の受取りミスが発生しますし、会話の中では単純に語彙力も必要だったりします。
よくあるのが、コテコテの中小企業の社長に「買収監査」の意義を伝えるシーンで、「なんでそんなに会社の重箱の隅をつつく様なことされないといけないんだ!」と心情的なもつれが発生することがあります。これも伝えるタイミングや伝え方を慎重に扱い丁寧に説明を尽くすことが必要なのですが、過去こういうシーンを何度も経験しているような人でないと安心して仲介者が務まらないのが現状です。
「誰が考えてもこの人にこんなこと言ったら揉めるだろう」という相手に対して、日常的に誤解を与えるような言い方をするコンサルが対応したら、、、もうカオスです。
稀に、M&Aコンサルタントが顧客から”出禁”になることがあるのですが、それはこういう組み合わせの時に発生します。
実際M&Aを進めてみると分かりますが、「精緻な数字上の分析ができます」とか「上場企業のM&Aを今まで手掛けてきました」とかの能力や経験よりも、こういう心情を汲み取り、丁寧に対応できる素質の方が中小企業のM&A仲介者としては必要だと気付くはずです。そしてこれは人格に関係する部分なので、危険な傾向があるコンサルタントが「明日から直そう!」と思っても、容易にマインドチェンジできませんのでご注意ください。
以上踏まえ、最初の仲介会社選びの段階で、この性格を見抜く際には、以下のような言動に着目しましょう。
→買手は売手企業を詳しく調べ上げないと買いたいとは言いませんので誤解を招く言動です。
・その仲介会社を通すと一番高い譲渡価格になるように思わせる説明をする
→同じ買手なら譲渡価格は一緒ですのでこちらも誤解を招いています。
選んではいけないM&Aコンサルタント その②
売手側FA・買手側FAの両方を経験したことがないコンサルタント
FAとは「ファイナンシャル・アドバイザー」の略で「エフエー」と言われます。M&A業界では、売手か買手のどちらかのみのアドバイザーになることを指します。
仲介の場合は、売手と買手のそれぞれの意見を聞いて、「まぁまぁ」とやるのが仕事ですが、
FAの場合は、「事業運営上、将来このくらいの投資が必要だから株価はもう少し安くないと」みたいな感じで、自分を起用してもらっている側の味方になってバシバシ戦う、という弁護士みたいなイメージですね。
それぞれ良し悪しはあるのですが、M&Aコンサルタントという限りは、売手側FA・買手側FAの両方を経験していないと務まりません。
仲介をするのであれば、そもそも利益相反の関係にある売手と買手の考え方を整理して、その主張が正当なものかどうかを判断して、どちらをどう説得するかを考えないといけないからです。
ただ、最近急増している「M&Aコンサルタント」の中には、FAをやったことのない方もかなり混じっていたりします。
FAをやりもせずにコンサルタントを名乗るのはおこがましい気もしますが、そういう感覚すら無い人も多いのが現状です。
最近M&Aの仲介会社でも、
「弊社は社内で売手側と買手側の担当を分けて対応しています」
というのをアピールする会社も増えています。
これは一応体裁的には、社内で疑似的に売手FAと買手FAを作り、「意見を戦わせてお客さんの利益を守ります」ということができます、としたいのでしょうが、結局はM&Aをまとめるために「まぁまぁ」と仲介者が2人いる感じになります。だって同じ会社ですからね(笑)
問題は、こういう土壌で育った人がきちんとM&Aコンサルタントとしてアドバイスできるかです。
仲介や疑似的なFAばかりで経験を積んだ人が、相手方のコンサル相手に正論で論破する能力が身につくかというと正直怪しいです。
あなたがM&Aコンサルタントに求めるものにもよりますが、もし「専門的なアドバイス」を求めるのであれば、FA経験が無い担当者をつけられた場合、「高額な報酬を支払う価値がなかった」、と後で後悔することになります。
「専門的なアドバイス」がもらえるから「高額な報酬が許される」のであれば、「高額な報酬を請求する仲介会社」は「必ずFA経験(売手・買手両方)があるコンサルタントを主担当でつけなければいけない」、と筆者は思うわけです。
成約実績があるから専門的なアドバイスができる、と勘違いしているコンサルタントも非常に多いので、FA経験の有無もそれとなく確認してみるようにしましょう。
一応注意点ですが、これは「会社としてFAを請負った経験がある」だけでは足りず、「コンサルタント個人が主担当でFAを対応したか」を見ないといけません。
最初の仲介会社選びの段階で、これを見抜く際には、以下のような点に注目しましょう。
⇒社内で売手FAと買手FAで分かれる、というのは本来のFAではないので仲介と判断しましょう。
選んではいけないM&Aコンサルタント その③
決断を焦らせるコンサルタント
M&Aコンサルタントは常にノルマに追われています。
なので、お客さんには「すぐに売って欲しい」ですし、「早く決断して相手を決めてほしい」ですし、「少しぐらいの減額だったら飲んで、価格を出してくれた買手と成約してほしい」と、思う訳です。
この辺は、営業をやったことのある人であれば容易に想像できると思います。
ただ、これに乗せられて判断してしまった場合、なんだか腑に落ちない・丸め込まれた感じでもやもらする気持ちになると思いますし、実際に損害を被ることもあります。
筆者の経験上、煽って人を動かすタイプの人間は自信がない人がとても多いように感じています。
「時間が経つと他の仲介会社に依頼してしまいそうだから」という理由で過剰に連絡してきたり、「他社と比較されると手数料を減額するリスクは発生するから」という理由で、専任で契約を強引に結ばせようとしてきたりするということです。
高い壺を買わせるために、買わないとここから出しません、と軟禁するようなキャッチセールスに近いですね(笑)
節度と能力があるコンサルタントはそういったことはしません。
そのコンサルタント個人の事情が垣間見れた場合は全部無視して、自分のペースで考えるようにしましょう。もちろん、相手側が既にいる場合は、仲介者ではなく相手側のことを考えて動くようにすると良いです。
最初の仲介会社選びの段階で、この性格を見抜く際には、以下のような点に注目しましょう。
・それほどこちらは乗り気でないのに仲介契約書の締結を迫ってくる
・「今が一番高く売れる」、「御社の競合先がM&Aされたら御社は買収されにくくなる」というような煽る発言をする
いかがでしたでしょうか?
最初の段階では見抜きにくい部分もあるかと思いますが、言葉の節々や態度、説明の内容などで危険なコンサルタントかどうかは分かる部分もあるので注意して吟味しましょう。