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「M&A仲介業者には必ずしも専任で任せなくても良い」その理由

お悩み社長

M&A仲介会社にお願いする時って1社に専任で任せないといけないの?
 

 

M&Aの仲介会社と話をしていたり、契約書を眺めていると、”専任”という言葉が出てくると思います。

これは読んで字のごとく、売主が特定の仲介会社1社だけにM&Aのコンサルティングを任せる、ということです。

 

そこで思うのは、

絶対専任で契約しないといけないの?

ということです。

 

結論から言うと、専任で契約する必要は必ずしもありません。

 

今日はM&Aを進めるときに仲介会社と専任契約は必要か、セカンドオピニオンを入れない場合のデメリットについて説明したいと思います。

 

今日の記事はこんな方に読んでいただきたい

・仲介会社に専任契約を迫られて困っている方
・M&Aに何社も仲介会社を入れるたらどうなるか気になる方
・セカンドオピニオンの探し方が分からない方

 

それではいきましょう!

 

 

専任契約の断り方

 

M&A仲介会社によっては売手オーナーに対して、「うちで進めるのであれば専任契約でないとダメです」と言っていたりします。

 

これは単に、営業上、仲介会社がM&Aを仲介する時に他の仲介会社に入られたくない(タダ働きになる可能性がある)ので、専任条項が書いてある契約書を締結させている、というだけで、特に法律で定められている訳ではありません。

 

経済産業省が出している「中小M&Aガイドライン」で、セカンドオピニオンを仲介会社は許容しなさい、という内容も出ていたりするので、近年では専任契約でなくてもM&A仲介を請負う、というのは普通になってきました。

 

M&Aというのは、多くの売手企業オーナーが初めて行うことが多く、知らないことだらけです。

そのような中、「M&Aはこういうもの」「この条件が妥当」と言われても、本当かどうかわからないですよね?

 

対応するコンサルタントが全員知識豊富で経験もあり、自分たちの利益を気にせず全力でアドバイスしてくれるのであれば、大体同じような話の展開になるので問題ないですし、どの仲介会社に任せても問題ないと言えます。

 

しかし、実際には知識や実績がないコンサルタントも増えており、少しでも手数料を多く取ろうとしている仲介会社も非常に多いため、その言葉を本当に信用してもよいものかは不安に思われることと思います。

 

もし、「専任契約でなければ契約締結できません」と言われた時には以下のように返しましょう。

「私はM&Aを初めて行うので、色々な意見を聞きながら納得して進めたい」
「経済産業省のガイドラインでもセカンドオピニオンを推奨されているので複数仲介業者を入れたい」
「厚意にしている税理士でも買手を探してもらっているので専任条項は外してほしい」

それでも、専任契約を迫ってくるようであれば、その仲介会社は外して、非専任でもOKな仲介会社で進めるようにしましょう。

 

筆者の考えるところ、専任でないといけない合理的な理由というのは特になく、「専任じゃないと仲介会社的にやる気にならない」「タダ働きになる可能性がある」という仲介会社の都合だったりもするので、あまり気にしなくても問題ありません。

 

成約確度の高くて、売手・買手双方から手数料がきちんと取れる案件であれば、結局仲介会社が折れて非専任を容認することも実際は多いです。

 

もちろん筆者も、仲介会社がケースによってタダ働きになることが健全とは思いませんが、これもビジネスである以上仕方ないと思っています。

 

M&Aの成功報酬は標準的なコンサルティング報酬に対してかなり高額です。これは、成約に至らない案件も一定数出てくることも織り込んで、成約する案件からは高めの報酬を得るというものだという前提なのであれば、絶対タダ働きしたくない、という仲介会社は、タイムチャージなどの工数に応じた報酬設定をすればいいと筆者は思います。

 

M&Aでいろんな仲介会社を入れたらどうなる?

 

仲介会社を1社にするのか、複数社にするのかで以下のような構図になります。

 

 

どちらの場合でも、結局はどこか1社の買手企業とM&Aをするわけですが、仲介会社を増やすと枝分かれで買手企業が増えることになります。

 

そのようなことから、仲介会社を増やすと以下のようなことになります。

・買手の選択肢が増える可能性がある
・仲介会社への対応で工数を割く必要がある(同じ資料をあっちにもこっちにも出したり)
・交渉を売手でハンドリングしやすい

 

要は、手間はかかるけど、良い条件が出たり交渉をグリップできる、ということですね。

 

よく、「仲介会社をたくさん入れたらその分支払う手数料が増えるんじゃないの?」と質問を頂きますが、着手金が発生する仲介会社を選ばなければ、普通そのようなことは無いです。

 

着手金が無く、成功報酬型の仲介会社であれば、その仲介会社が連れてきた買手とM&Aが成立しなければ報酬を払わなくてよいからです。

 

裏を返せば、仲介会社側から見れば”非専任”は”ただ働き”になる可能性があるため、避けたがるということになるわけですね。

 

なので、どうしても専任で契約を取りたい仲介会社は、

「たくさん仲介会社を入れたら情報漏洩のリスクが高くなります!」
「M&Aは売主の手間もかかるので、業務に支障をきたさないよう1社にしておくべき!」

と畳みかけてくることもありますが、

・そもそも情報漏洩させる可能性のある会社には任せてはいけない
(経験値が低い人が案件に関与する可能性が少しでもある会社は専任・非専任関係無く避けたほうがいいです)
・M&Aの工程で行う買収監査での手間を考えたら、複数の仲介会社を並べる手間はそれほどでない

です。畳みこまれないように注意しましょう。

 

ただ、注意点としてはやたらと仲介会社を増やすのは逆にあまり意味がないということです。

 

というのも、仲介会社を売手企業主体でハンドリングしたい、という場合でも、仲介会社は2社あれば牽制は効きますし、たくさん仲介会社を入れれば入れるほど、紹介してくる買手企業が被るケースが増えるからです(業界で有名な買手はどの仲介会社も紹介先として持ってきますので、往々にして被ります)

なので、筆者の感覚としては、2社で充分、どれだけ多くても3社までという感じです。

 

なお、仲介会社を並べるなら手数料体系やコンセプトが事なる仲介会社を並べることをお勧めします。

 

例えば、下のような選択肢であれば②をお勧めします。

① 最低報酬2,500万円の大手仲介会社と最低報酬1,000万円の準大手仲介会社の2社
② 最低報酬2,500万円の大手仲介会社と最低報酬300万円のネットメインで買手を探す小規模仲介会社の2社

 

なぜなら、2社の仲介会社で持ってきた買手企業が被った場合、手数料の安い仲介会社にその買手企業と折衝させることで、売手企業の手取りが増える効果が期待できるからです。

(仲介会社は買手に「交渉」はしないので、仲介会社が多く買手から仲介手数料を取れば取るほど、買手から売手への提示金額が減ります)

 

買手企業は売手企業の会社を見て企業価値を判断するので、大手仲介会社だから交渉が優位になる、ということは実際無いので、単純に手数料が安い仲介会社を通した方が良いです。

 

M&Aでの買手の探し方は仲介会社によってそれぞれですので、違うコンセプトの会社を非専任で並べてみるというのも良いと思います。

 

セカンドオピニオンの探し方

 

仲介会社を入れずに、利害関係の全くないセカンドオピニオンを探している方も多いかと思います。

ただ、探し方が分からないという場合も想定して次のような方法も参考にしてください。

・公的機関である「引継ぎ支援センター」に相談をする
・M&Aを経験した知り合いの経営者に相談をする
・顧問税理士に相談をする

 

求める意見によっても聞く先は異なりますので、得られる答えは次のようなものだと理解いただき、聞く相手を考えていただければと思います。

 

引継ぎ支援センター:
M&A全般の話や、仲介会社の情報についての話は無料で色々聞けるが、株価算定についてなど数値的な意見は喋ってはいけない方々なのでそこは聞けない

知り合いの経営者:
売手目線の話が生の声として聞けるが、個人的なバイアスも入っていたり、その会社のケース1パターンなので意見に偏りがある可能性がある

顧問税理士:
株価算定などは意見がもらえることもある。ただし、M&Aに詳しくない税理士も多い。M&Aに詳しい税理士はM&A仲介業者を紹介したがることもある(紹介料が発生するから)

 

なお、引継ぎ支援センターについてはこちらの記事もご参考下さい。

事業引継ぎ支援センターに相談するとどうなるの?

 

 

あとは、このようなM&Aいろは塾を始め、ネットで知識をつけるのもよいと思います。人によっていう事も違いますからね。

 

自分でも知識をつけて、色々な人の意見を聞きながら進めれば、どんな形であれ納得いく結果になると思います。

 

是非、満足できるM&Aを目指しましょう!

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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