お悩み社長
筆者がM&Aをお手伝いした中でも、会社を売却して億万長者になる方はたくさんいます。
彼らの特徴で共通するようなものはあるでしょうか?
今日はそんな話題について考えてみたいと思います。
なお、1億円くらいの金額であれば、代々受け継いだ会社の土地の時価が高く、事業の価値と関係なく高く売れたというケースは普通にあるので、ここでは不動産などの資産と関係なく5億円以上の株価がついた事例を基に述べることとします。
M&Aいろは塾が考える中で、会社を売却して億万長者になる人の特徴は以下の通りです。
2.会社の帳票類などの管理が徹底している
3.収益性を重視した経営
4.会社が組織になっており、№2の人材が育っている
マネーリテラシーが高い
会社を譲渡して億万長者になる人は、総じてマネーリテラシーが高いです。マネーリテラシーとはお金に関する知識や上手くお金を使う能力のことです。
例えば、ビジネス面では儲からない仕事はそもそもせず目先の利益を求めない姿勢であったり、人事面においても長く働いているから高給というようなことは一切しない。その一方で、法人税等のキャッシュアウトも考慮し、節税保険などで利益の繰延をしていたりといったことをしています。
日々の資金繰りのために借りた借入がいつまでも残り返せなくなるようなことはありませんし、そもそも借入をいつまでも残しておくことを悪と考えている方も多い印象で、M&Aで譲渡する際、実質無借金の状態であるということも少なくありません。
中小企業においては、経営者のマネーリテラシーが会社のマネーリテラシーなので、経営者次第で会社の収益性や財務状態は変わってきます。
会社を譲渡して億万長者になる人の会社というのは、キャッシュが厚く負債は少なく、高収益である一方、払う税金もある程度コントロールしているということです。
そんな彼らも、M&Aをする理由は後継ぎがおらず事業承継などだったりしますが、単に子どもが会社を継がないという話ではなく、「子どもに苦労させたくない」「子どもが経営者を目指すなら一から起業させるべき」という考え方があったり、小さい頃から英才教育ができていたため既に安定して高給な仕事についているため子どもが会社を辞められない、という事情であることが多いです。
そこに、M&Aで株式譲渡すれば最大20%程度の課税で法人から個人に実質的にお金が移動できるメリットなども加わり、第二の人生を考える上でM&Aは合理的な選択である、と打算的に考えてもいます。
会社の帳票類などの管理が徹底している
これは驚くほど共通しています。
M&Aは進めていくと、買手企業による買収監査(デューデリジェンス)が行われるのですが、ここで買手企業が「過去の財務諸表7年分一式見せてください」とか「雇用関連の書類(従業員採用時の履歴書や雇用条件通知書控、就業規則など)」などの資料依頼をします。
このような中、会社を売却して億万長者になる人の会社では、一瞬で資料が出てきます。
一方、株価0円の譲渡をするようなケースのM&Aでは、「あの資料どこいったっけ?」とか「そんな資料ない」とかが連発することが多々あります。
上記で記載したマネーリテラシーにも関係するのですが、「正しく自社の資金繰りを把握できる」「税務調査が入っても全て説明できる」ためには帳票類がきちんと管理されている必要があります。
彼らは感覚だけで商売をするようなことはまず考えられないことと思います。
収益性を重視した経営
高額な株価がつく会社は総じて高収益です。
M&Aにおいては、会社の時価純資産が1億円なら株価にも1億円の価値で反映されますが、収益性については一般的に数年分を掛けたものをのれんとして株式価値に反映されることも多いので、収益性が高い会社というのは倍々で株価価値が上がることになります。
こうした高収益企業を作る経営者というのは、「売上も大事だけど、利益を重視している」「利益が残る商売を極力残して事業拡大してきた」「常にどうやったら利益率を上げられるかを考えている」というのは共通して言える特徴と思います。
会社を長いこと経営していると、惰性になってしまい、変化を加えることがおっくうになってしまいます。そういう惰性に鞭を打ち、常に進化させようとしているメンタルを会社を売却して億万長者になる人達は持っている訳です。
会社が組織になっており、№2の人材が育っている
これはM&Aを成立させやすくするための条件の1つでもあります。
「家業」ではなく「企業」になっているかどうかは、事業承継で引退する経営者以外の人材がきちんと育っているか、引退する経営者がいなくても会社は運営できるか、で判断されます。
当然ですが、引退する経営者がいなくても会社が運営できる企業を買手企業は求めることが多いです。
これは交渉にも影響し、交渉できる買手企業が多ければM&Aの譲渡条件も良くなるため、会社を売却して億万長者になる可能性が高くなるわけです。
また、譲渡してたくさんのお金を手にしても、元々の経営者が経営に関与しないと運営できない会社であれば、買手企業からの条件で、引継ぎ期間が長期になることは一般的ですので、ご自身の第二の人生を考えているのであれば、自分か関与しなくても運営できる状態の組織を目指したいものです。
いかがでしたでしょうか?
「そんないい会社なら高く売れて当然じゃん!」と思う方もいらっしゃると思いますが、M&Aで高い価格が付く会社というのは、そもそも売らなくても収益が立ち全然困らない会社なのです。
もちろん会社を譲渡するのはお金だけが目的ではないかもしれませんが、譲渡した後の選択肢を増やすことにも繋がりますので、是非参考にいただければと思います。