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「役員が退任するのが前提のM&Aは成約しない!?」事業承継系のM&Aで注意すべきポイント

お悩み社長

後継ぎがいないからM&Aを考えているんだけど、きちんと買手見つかるものかな?
 

 

近年では事業承継系のM&Aもブームなっているので、会社を売却して社長も引退するというケースも多いかと思います。

 

ただ、そんな中で、巷では「会社を譲渡したのはいいけど、しばらく留任してくれと言われた」とか、「うちの会社(買手企業)は自走できる会社のみが買収対象」という話も出ていると言われます。

 

今日は、そんな問題に触れて、「役員が退任するようなM&Aでもきちんと決まるのか?」について筆者の考えをまとめてみようと思います。

 

本日の記事が役に立つ方

・後継ぎがいないためM&Aで会社を売却することを考えている方
・セカンドライフを目指して、今の会社をM&Aで会社を売却しようとしている方

 

それではいきましょう!

 

 

役員が退任する前提のM&Aはめちゃくちゃ多い

 

筆者が長年M&Aの仲介者としてお手伝いしている中で、会社を売却後に社長やその家族(役員)が退任するという案件は非常に多いように思います。

 

・後継者がおらず、会社も潰せないので、他の会社に売却をしたい社長

・ある程度事業拡大に区切りがついたので、一旦売却して他の事業をしようとしている社長

・社長をしている父が他界したが、事業に関わっている親族がおらず売却を検討する相続人

・事業を多角化していたが、不採算な事業を切り離して体制を整えたい社長

 

ケースは様々ですが、これらの行きつく先には「現役員が退任する前提のM&A」です。

最近はこういうケースがとても多いのです。

 

一方で、次のようなケースは、会社を売却した後でも継続して役員が留任したり、役員に近い従業員を役員に就任させ、対応するケースが多いです。

 

・仕事さえあれば業績が立て直せる会社で、社長に継続して働く意志があるケース

・資金的な支援があれば自力で立て直せるケース

・買手と一緒にIPOを目指すなど、会社の成長のために資本提携を戦略の一つととらえるケース

・実質的に現経営陣が実務にタッチしていなくても、正常に会社が運営できるケース
 (経営と所有の分離が出来ている会社)

 

多くの中小企業ではワンマン社長が多いので、そういった会社で社長が抜けると途端に会社が傾きますし、そもそもM&Aを検討し始めている社長が雇われ社長のようなケースを受け入れられるというケースもあまり多くないので、こういったケースは少ない訳です。

 

実は筆者もそうなのですが、中小企業の社長っていうのは、会社に縛られるのが嫌いだったり、自分の思うような事業展開をしたいと思うからサラリーマンに収まっていないわけなので、「自分の会社でなくなるのであれば、売却後は会社からも離れたい」と思うのは自然なのかもしれませんね。

 

そんなわけで「現役員が退任する前提のM&A」というのは巷に溢れています。

 

買手としてもそのような会社が多いので、特段驚きはしませんし、後継者がいないから買手がつかない、ということは無いです。

 

ただ、検討できる候補先には少し制約が出来てしまうことは予め考慮に入れておきましょう。

 

 

退任しようがしまいがどちらでも良い案件は、選べる買手候補が多い

 

ビズリーチサクシードやMAfolova、M&Aクラウド、その他M&Aプラットフォームで、実際に買手企業のニーズが確認することができます。

 

その買手ニーズの希望条件で、たまに、

「自走できる案件を希望」

というものを見かけます。

 

この”自走”というのは、「買手が関与しなくても、今の売手企業の中のリソースで通常通り会社が運営できる」という意味です。

 

こういう希望を持っている買手にとっては、「現役員が退任する」というだけで検討NGになる可能性がありますので、売手にとってみたら検討してくれる買手の数が減ってしまうことにつながります。

 

売手にとって、買手候補先が減るということは、交渉できる買手候補先も減り、結果、強気の条件交渉ができない、ということに繋がります。

 

なので、「現役員が退任してもしなくても会社は大勢に影響無いし、邪魔だと思うならM&A後に買手の判断で取締役を解任してもらってもいいですよ」という状態が、一番交渉をするのに適しているコンディションと言えます。

 

 

そもそも、自走できる会社を希望する買手は、ファンドの買手にも多いですが「M&Aに際して送り出せる人材が買手企業にいない」、「所有と経営を分けた関係のM&Aを望んでいる」、「エリアや業種などにとらわれず広くM&Aの対象先を設定している」、というような状態であることが多いです。

 

「M&Aをしたら、買手企業から色々人が来て、きちんとした体制にして会社を維持・成長させてくれるんでしょ?」

 

という売手の考えとはスタンス的にも合わないとも言えますが、根本的に、「M&Aしたら買手の方で上手いことやっておいてくれるだろう」という売手の発想自体、買手のリソースを前提にしている訳なので、売手にとっては交渉を不利にする原因になりますので、この点は事前に理解しておきましょう。

 

まぁ、そうは言っても、「後継ぎがいないものはいないからな・・」という方もいると思いますので、売手として交渉を有利に進めるために事前に準備しておくと良いことを記載しておきます。

 

 

M&A後に退任したい!と思ったらまずはこれをすべし

 

「現役員が退任してもしなくても会社は大勢に影響無い」という状態に持っていく為に、次のような準備をしておくことをお勧めします。

 

 

従業員の中で経営人材や現場管理できる人間を用意する

 

番頭さんでもいいですし、管理に向いていそうな方でも営業の責任者でもいいです。自分の代わりに代表が務まりそうな人間がいないか社内で確認してみてください。

 

筆者が多くの売主と会話をしていて、「いや~、俺の代わりになるような社員はいないよ」とか、「俺にしかできない業務がたくさんあるからな~」ということを言われる方も多いのですが、M&Aをした後に買手に聞いてみると、「社員の〇〇さん、すごいいい動きをしてくれて、現場は全然任せられるよ」という話も出たりします。

 

(気分を害してしまったらすみませんが、)社長は社員を過少評価しているケースは実は結構多かったりします。

 

従業員100名程度の規模になってくると組織として権限移譲しないと回らないので、客観的に社員の能力と向き合うケースも多いのですが、従業員10名以下の規模の会社では、「社長の思い込み」が強く出ていたりします。

 

経営自体は、やってみないと能力自体も育たない、という側面はありますが、社内の有望な人材に任せてみるか任せてみないかは社長の判断なところもあるので、一方的な決めつけをせず、部分的にも従業員に重要な仕事を任せてみる、というのは、M&Aの交渉で社長自身を助けることになることにも繋がります。

 

 

社長の仕事を細分化して、部分的にも各所に引継ぎできるようにしておく

 

上のようなケースは難しい場合、社長の仕事を細分化させて引継ぎできる道も考えてみましょう。

上のケースが「社長の分身を作る」ということだとすると、こちらは、「社長の仕事を分担して残った社員でやったり、アウトソーシングしよう」というイメージです。

 

これも、意外と考えればどうにかなることも多いです。単に今着手していないだけで。

 

具体的に「社長や社長の奥様が日々の仕訳をしていれば税理士に任せる」とか、「営業方法を変えて社長が頻繁に顔を出さなくても良い仕組みにする」とかですが、それを考える上で、「成果に結びついているかどうかわからない接待交際」や「もっと効率的な方法があることを知っているのにも関わらず、昔からの流れで続けている業務フロー」などは勇気をもって整理することも大切です。

 

人にしかできない仕事を従業員に任せると、その人のキャパが、、という事情があれば、雑務はアウトソーシングさせたりRPAのような仕組みを取り入れて軽作業の負荷を減らすことなども可能です。

 

この辺りはM&Aと関係無くても、日々の改善としてもプラスになる行動なので、前向きに取り組めるとよいかと思います。

 

 

ストックビジネスの色合いを強める

 

これはすぐに対応することは難しいかもしれませんが、M&Aをしやすいビジネスであることも多いです。

 

古くからある商売では不動産管理業などもその類ですが、ウェブ上でプラットフォームを運営して、その中で勝手にユーザー同士が取引することで運営者に収益が落ちる仕組みなどもこれに該当します。

 

また、そこまでテクニカルでなくとも、物売りの商売でも、定期的に安定的な受注が入る仕組みがあり、それを一般的な従業員で運用できる仕組みにしているのであればストックビジネス化できているともいえます。

 

こうした商売のM&Aをする目的としては、「継続してキャッシュフローが生まれる仕組みが欲しい」というものなので、役員が退任する影響度についてそんなに大きくとらえられないケースもあります。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

M&Aに適したコンディションは、長年かけて作る部分も多いので、すぐには難しい部分もあるかもしれませんが、今日の論点は現状で自分の会社が置かれている状況を把握するのにも役立つと思います。

 

買手の気持ちを知って、柔軟な協議ができるようにもなれると、結局同じ条件でM&Aをするにしろ、納得感は高いものになりますので、是非一度考えてみていただけると良いかと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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