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「親族にM&Aの許可を取るときはどこまで話す?」

お悩み社長

M&Aする前ってやっぱり家族とかに話しとかないといけないよね?

 

M&Aで会社を売却しようかな、と考えたとき、まず家族に相談しようという方が多いと思います。

 

「お金の事は全部妻に任せてきたからまずは妻に相談してみないと」とか「息子が会社を継ぐ気なのか分からないから今後帰省してきたときにちょっと聞いてみようか」とか。

 

筆者が直接耳にするケースでは、お金の部分と気持ち的な部分で相談している方が多い気がしています。

 

確かに、M&Aした後引退するならその後の生活はどうするかも考えないといけないですし、先祖代々営んできた事業を売却するなんてことを親族が受け入れてくれるのかも不安でしょうし、息子が会社を継ぐのかどうかも分からないですし、色々不安な面もあると思います。

 

社長である自分以外の親族に会社の株主や取締役がいるのであれば、M&Aの手続き上当事者になってくるというのもありますので、相談だけでなくきちんと事前に許可を取るということも必要になります。

 

でもM&Aを検討していることを話すべき人・話すべきでない人もあったりしますし、話していい内容と話さなくていい内容もあったりするので、この辺は事前に整理しておきたいところです。

 

今日は親族にも内緒でM&Aを進めた時に起こることと、事前に親族にはどんな説明をしたらよいのかについて触れてみようと思います。

 

それではいきましょう!

 

自分だけでM&Aを進めてしまった時のリスク

 

M&Aというのは基本的に最後の最後まで水面下で進めます。

 

というのも、情報漏洩というのがM&Aで最も注意しないといけないことの1つだからです。

 

M&Aを検討してる、って事実が漏れただけで、従業員や取引先が離れていってしまうリスクが高くなりますし、波風立てずにM&Aすることを想定していた買手にとってみたら話が違うよということにもなり得ます。

 

そんなことから最後の最後まで売手オーナー兼社長だけで交渉する、なんてこともよくありますね。

 

 

ただ、親族の誰にも相談せずに勝手にM&Aの検討を進めていってしまうと、これも厄介な問題が発生するケースもあります。

 

例えばこんな問題です。

・配偶者から「そんな金額で売ったら今後の生活どうなるの?」と詰められる

・会社と何にも関係無い株主から、「この株〇〇円以上じゃないと売らないよ」と交渉を持ち掛けられる

・親族から「先祖代々の会社を他人に売るなんて信じられない」と詰められる

・子どもから「自分が会社を継ぐものだと思っていたのに・・」と残念がられる

・「兄弟である私も会社に尽くしてきたのに、自分だけ会社を売ってお金を受取るなんておかしい!」と責められる など

 

そもそもM&Aというのは終盤(成約)に近付けば近づくほど売手も安易な気持ちでは許されなくなってきます。

 

買手も検討には多くのコストをかけているケースが多いので、最終段階で「やっぱり売るの中止で」と言っても「はい、わかりました」とはいかなくなりますね。

 

また、中止とはいかなくとも希望条件を変えるというのもやめた方がいいです。買手からみたら「この人急に爪を伸ばしてきたな」という感じに受け捉えられてしまい、心象も悪くなってしまい、最悪話が流れてしまうケースもあるからです。

 

なので、よっぽど「この会社の全ては私が握っているんだ!親族だろうが私が決めたことに文句はいわせない!」というくらいの状態でないと、M&Aを親族の相談なく進めるのは色んなリスクが伴うと思った方がよいでしょう。

 

 

M&A仲介会社でも経験のあるコンサルタントは、上記のような親族間の横やりを受けて話が頓挫した経験は少なからずあるものです。

 

「これはゆくゆく問題になるかな」という匂いを察知して先んじてアドバイスしてくれるコンサルタントもいるにはいますが、親族間で社長がどう見られているかとか社長と社長の奥様との力関係はどうかとか、かなり仲良くならないと分からなかったり想像もつかないことも多々あるので、売手オーナーから見て不安な点があれば、最初の段階で洗いざらい話して対策を相談しておかないと、後から問題が勃発することになりかねません。

 

ちなみに、こういう終盤で起こる系の問題は新米コンサルタントでは適切にアドバイスできないことも多いです(なぜなら、終盤までM&Aを進めた経験が浅いから)。

 

情報漏洩を気にするあまり事前に話しておかないといけない相手への相談を禁じたり、完璧なコンセンサスを取ろうと情報漏洩のリスクを売手に追わせたり、と、割と極端なアドバイスをしてしまう者もいるので、こういった新米コンサルタントの指示通りに動くのは非常に危険なケースもあったりします。

 

最初の仲介会社選びの段階で、上記のような問題が起こった時やそもそも起こらないようにするためにどう動いたらよいか?と質問して、的確な回答が得られるかどうかを見定めてみるというのも仲介会社選びとして有効だと思います。

 

 

相手によって話し方を変えてみる

 

親族の理解を得て、M&Aをする許可をもらうためには、相手によって受け入れやすい話し方をする必要があります。

夫婦間や自分の子ども(家庭内)での会話

夫婦の場合は同一家計なので、基本的にはお金について洗いざらい話すでよいケースが多いです。

 

話をしておいた方が良いと思われるような内容は例えばこんなことです。

・M&A後、年金受給額や他の収入を除きどのくらいの収入があれば生活できるのか

・M&A後はどのくらい働きたいのか

・M&A後に創業者一族や経営陣が抜けたときに、会社にどんなリスクがあるのか

・M&A前にきちんと説明しておくべき親族はいるか

・過去会社の株がどんな変遷で譲渡されたのか

・反対しそうな株主はいるか、また、親族で相続が発生して株が異動していないか、コミュニケーションできそうか

・子どもは会社を継ぎたいと思っているか など

 

老後にいくら必要なのか、と話すご家庭もあると思いますが、これはちょっと注意が必要です。

 

人間いつ死ぬかなんてわからないので、この議論は「高ければ高い方がいい」という中途半端な結論になるか、会社の価値とは無関係に法外に高い希望金額を設定する結論になりがちです。

 

当然ですがM&Aは買手にとってもメリットが無いと交渉にすら辿り着かないので、「あくまで買手が判断する自分の会社を踏まえた上で最終の希望金額は設定」するとしつつ、「とはいえ〇〇くらいの条件でないとM&A自体行わない方がよい」、くらいまでの濃い会話はした方が良いです。

 

また、子どもが会社を継ぎたいと思っているかどうかは、子どもがそれなりの年齢であれば腹を割って話すのをお勧めします。

 

親が「他の会社に就職してしまったからもう帰ってこないだろう」と思っていても、ただ他の会社で修行して実家に帰るつもりという子どもさんもいますし、会社をたたむという話をしてから「なんとしても会社を残さないといけない」と感じる子どもさんもいます。

 

会社を引き継ぐことは借金を引き継ぐこと、など、現実的な部分を知らずに「会社を引き継ぎたい」という子どもさんもいるでしょうから、会社を引き継ぐ良い点・悪い点、今まで社長をやっていて良かった点・悪かった点、親が精いっぱい伝えてあげるのがよいかなと思います。

 

兄弟親戚間での会話

兄弟や親戚になると特にお金に関する部分は慎重に伝えないといけません。

 

普段全く会社に関心の無かった兄弟や親戚が、M&Aでお金が入ってくると知った途端、色々要望をしてきたり、反対をしてきたりというのは実際にある話です。

 

相続と一緒で、M&Aがきっかけで兄弟間・親戚間の仲が悪くなることってありますからね、、、ホントに。

 

あくまでケースバイケースですが、兄弟や親戚が株式を持っていなかったり、持っていても僅かで、会社にも関与していない(名前だけの取締役・監査役も含む)場合、M&Aの相談(報告)をするのは最終段階でも問題ないケースが多いです。

 

もし、「先祖代々の会社が・・」とか言ってくる人がいれば、義理を立てて、内密にすること前提で事前に話だけしておく、というくらいで、基本的にはそういった会社の状態も知らないような人に反対されたとて株をほとんど持っていない少数株主なら取れる手段は少ないです。折り合いがつかない場合にはスクイーズアウトなど多少強引に株を買い取ることも可能です。

 

一方で、株式を一定割合持っていたり、会社の事業にも絡んでいるのであれば事前に話はすべきです。株を持った経緯にもよりますが「次は私が社長かな?」と思っているかもしれないですしね。

 

兄弟や親戚にM&Aの話をする際、夫婦間や子どもとは違い、お金については他人に近い(場合によっては他人よりも面倒)存在であるケースも多いので、特に注意が必要です。

 

一度「M&Aでたくさんお金が入ってくる!」と勘違いしてしまうと、会社に今まで無関心だったのに「買手にもっと交渉できないのか」「そんな安い値段なら私は売らない」「兄弟だからって安く株を買い集めようとしてくる」などと干渉をされてしまうことに繋がるので、M&Aが大変進めづらくなってしまいます。

 

また、中小企業のM&Aでは、譲渡額の総額がまず決まり、その中から株式譲渡対価と役員退職金の按分を決めるというケースも多いです。

 

ゆえに、社長の役員退職金を増やすと兄弟株主の取り分が減る、というような関係にもなってしまい、取り分を巡って兄弟げんかなどに発展するということにもなりかねません。

 

社長の立場からすると「今まで会社に対して何にもしてこなかったのに、会社の為に頑張ってきた自分が満足いく役員退職金を取る事に文句を言うな」という気持ちでしょうから、まだM&Aの売却条件がしっかり決まっていない段階で少数株主に譲渡額の総額を伝えることもリスクと捉えることができるでしょう。

 

「社長が今まで頑張ってきたんだし、これくらいの株持ってても紙きれだと思ってるから好きにしていい」というような理解のある兄弟・親戚であれば良いのですが、少しでも不安があるのであれば、慎重に言う事・言わない事を事前に決めてから対応するのがよいかもしれません。

 

 

どこまで何を話すかは専門家に相談

 

資本関係や家族間の人間関係などは会社それぞれです。

 

なので、教科書的にこうすべきというのは一概に言えないものです。

 

重要なのは、自分で判断せず、M&Aの経験が豊富な専門家に相談することです。

 

この手の話は「こういう時はこう」と答えが決まっている訳ではない問題も多いので、経験豊富なM&Aコンサルタントに壁打ちしてみて、「こういうケースでこうした場合、こういう時にこういうリスクがある(で、そのリスクはこうすることで回避できる)」など、先の先まで経験値の中で教えてもらうことで、気づいてないリスクについても気づくことができます。

 

これは仲介契約を締結する前でも質問できるような内容なので、費用も掛からず色々な意見を集めることもできると思います。

 

また、本当に信用できる専門家であれば、家族に会わせてみるのも良いでしょう。

 

筆者もそうですが、仲介会社側も後から全く知らない方の横やりでM&Aが頓挫してしまう可能性があるのであれば、始めに直接会ってどういう考えを持った方でどういう時にどういう意見を言ってきそうかを判断する材料だけでも集めておきスムーズに進めたい、と思うものです。

 

いろは塾でも、事前にご家族も含めた話合いに参加するなどの対応可能ですので、お気軽にお申し出ください。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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