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「信じて任せたのに!!」M&Aの最中に担当者が変更された時に発生するリスク

お悩み社長

大手の仲介会社は離転職が多いと聞いたんだけど、M&Aを進めている最中に担当者が変わる事ってあるの?

 

中堅以上のM&A仲介会社では、M&Aコンサルタントの退転職や転勤・配置替えに伴って担当替えがされることがたまにあります。

 

とにかく転職が多い業界なのです。

 

一般的なM&Aでは半年~一年かかるケースも多いですし、M&Aの成約率を考えると一人のコンサルタントが1つの案件だけを担当していることは通常なく、複数の案件を同時並行で担当していることが一般的なので、「全ての案件がクロージングしてから退転職や転勤・配置替えする」というのは逆に非現実的ともいえる状況に置かれています。

 

なので、「●●さんの会社のM&Aを最後までお手伝いさせていただきたい」と営業してきたコンサルタントが道半ばで「すみません、転勤になってしまいまして、後任に後は任せようと思います」と言われるケースも度々発生するわけですね。

 

これには、「最後まで担当するんじゃなかったのか!?」と憤る人もいれば、「まぁ、サラリーマンだからね・・」と思う人もいたりすると思います。

 

銀行とかだと急に転勤の辞令が出てバタバタといなくなるので、こういう対応に慣れている社長も多いかもしれません。

 

ただ、M&Aは融資とかのレベルよりももっと複雑なやり取りが発生するので、M&Aについては”急に担当変更とか困る”状況は結構あると思います。

 

今日はそんな「担当変更で発生するリスク」について触れて、そういったリスクを回避する手段も考えてみたいと思います。

 

本日の内容が参考になる方

・自分の会社を担当しているコンサルタントが担当変更になった時に発生する問題を知りたい方
・担当変更の可能性が少ないコンサルタントの選び方を知りたい方

 

 

それではいきましょう!

 

M&Aの最中に担当者変更することで発生するリスク

 

M&Aの最中に担当者変更するとどんなリスクがあるのでしょうか。

 

売手の目線でその問題点を考えてみると、例えば次のようなことが考えられます。

・売手の会社について理解していない担当者になり、買手に正確な情報を伝えられない
・売手の想いや気持ちの部分をまた一から説明しないといけない
・やる気のない担当者になってしまい、買手探しが止まってしまう

 

中小企業のM&Aは特に、売手オーナー個人の気持ち的な部分が取引に大きな影響を与えるケースが多いため、客観的な会社の情報をキャッチアップしただけでは担当者の引継ぎは完了しません。

 

なので、担当者変更した後に、売手がまた「どうして売ろうと思ったのか」「どんな会社に譲受してほしいのか」などの気持ちの部分を再度説明するケースもあります。

 

M&Aで仲介者を起用するのであれば、その仲介者が直接買手と折衝することになる訳ですが、その仲介者の理解度がそもそも低いと当然買手にも正しい情報や売手側の希望が伝わらないことにも繋がり、どんどん話がこじれていってしまう、ということが発生します

 

さらに、後任のコンサルタントが「私は悪くない」と責任回避するようなタイプのコンサルタントだった場合、こじれていった責任を売手になすりつけてくることもあるでしょう。

 

これは売手にとってはとってもストレスのかかる展開にもなり得ますので注意が必要です。

 

 

また、買手探しが難しい案件については、担当者変更がされることで買手探しが止まってしまうこともあります。

 

これは仲介会社の構造的な問題でもあるのですが、仲介会社の中には、業績評価で「成約件数」「売上金額」などだけではなく、「案件の受託件数」も評価項目とされている会社もあります。

 

こうした仲介会社で働くコンサルタントとしては、「買手が見つかるか分からないけど、受託すれば評価されるなら取り合えず受託しておこう」という営業上のバイアスがかかるので、結果「買手が見つかりにくい案件を抱え込む」ことになります。

 

実際に受託したコンサルタント本人であれば、自分が直接売手に対して「頑張ります」と言っているわけなので、買手を全く探さない、ということはあまり起こりませんが、ここに担当者変更されたらどうなるでしょう。

 

後任のコンサルタントとしては、既に受託された案件なので、成約させる以外に自分が評価される手段は無いということになります。それであれば、「相手が見つけやすい案件」に注力して自分の評価を上げたい、という気持ちになります。

 

その結果、担当が変わってから全然買手探しをしなくなった、という現象が起きるのです。

 

さらに着手金を徴収する仲介会社を利用した売手オーナーとしてはもっと最悪です。

 

高い着手金を払ったのに買手探しすらしない、という到底許容できない状態にもなり得るからです。

これに「詐欺だ!」と問題視する方も結構います。

 

とはいえ、最初に結ぶ仲介契約書で、仲介会社側が「どのくらいの工数を割く」とか「どのくらいの頻度で進捗報告する」とかはコミットしないのが普通なので、約束違反だとも言えずに泣き寝入りすることも多いです。

 

なので、この辺のリスクを避けたいのであれば、そもそも着手金を払っても任せるべきという確証がないのであれば、着手金を取る仲介会社は選ばないのが得策です。

 

 

仲介会社選びの際、会社名や規模の大きさを基準に選んだのか、担当してくれるコンサルタント個人を信用して選んだのか、で、担当変更が与える印象も違うと思いますので、担当変更の話が出た時に、「どうして自分はその仲介会社と仲介契約したのか」を改めて考えてみるのが良いでしょう。

 

 

どんな時に担当変更が発生するのか

 

顧客の立場としては、できるだけ担当変更が発生しない方が良さそうですが、どんな時にコンサルタントの担当変更が発生するのでしょうか?

M&A仲介会社の社内の動きにフォーカスして考えていきましょう。

 

担当変更が発生するケースはこんなケースが多いです。

・担当コンサルタントが離転職し、所属している会社を辞めるケース
・担当コンサルタントが転勤するケース
・会社の判断で担当変更がされるケース

 

担当コンサルタントが離転職し、所属している会社を辞めるケース

 

中堅以上の仲介会社でよく見られるケースです。

 

仲介会社のコンサルタントの中には、「ひたすら自分の年収を上げる」「ストックオプションがもらう」ことを目的に、色々な仲介会社を渡り歩いている者もいます。

そういうコンサルタントは、今の仲介会社よりも少しでも良い条件の仲介会社があれば転職していきます。

 

また、仲介会社を独立していくケースも最近は増えてきており、自分の会社を作るから所属している仲介会社を辞めるので担当変更する、ということも多くなっているように思います。

 

中には、転職や独立のタイミングで、「今回のM&Aは私の方で最後まで担当させていただきたいので、今の契約は解除して、新しい会社で仲介契約を結ばせていただけませんか」という打診を受ける売手オーナーもいるかもしれません。

 

元々所属している仲介会社としてはこういう顧客の引き抜き行為は許されるものではありませんが、売手が変えたいのであれば「きちんと元々の仲介契約は適切に解約できるのか」を気にするようにしましょう。

 

仲介契約というのは、売手及び売手株主と仲介会社が締結するものなので、いくらその退職するコンサルタントのアドバイスであったとしても、契約違反があれば売手側が責任を問われます。

お世話になってきた会社を裏切る人、という時点で人としてどうかという問題もありますが、自分が契約書上不利な立場にならないか考えて対応するようにしましょう。

 

担当コンサルタントが転勤するケース

 

こちらも中堅以上の仲介会社でよく見られるケースです。

 

M&A仲介会社は東京に本社を作るケースが多いですが、小規模な案件への対応を考えると全国に拠点を持ちたいと考える仲介会社も多いです。

 

拠点進出の伴う全国展開をしているような会社は、担当しているコンサルタントが他拠点に転勤するケースも多く、他拠点進出の際には、まず単独でもM&A仲介ができるような優秀なコンサルタントを配置するケースも多いため、「この人優秀だな」と思っていたコンサルタントが転勤していってしまうこともあります。

 

どういう方針で拡大しようとしている仲介会社なのかを知ることでこの辺を想像するのも良いかと思います。

 

会社の判断で担当変更がされるケース

 

仲介会社の判断で、担当変更というケースもあります。

 

例えば、「普通に考えたら成約するような案件なのになかなか成約しない案件」などです。これは、担当コンサルタントがイケていない為に機会損失が生まれていると仲介会社が判断しているわけなので、担当変更後により優秀なコンサルタントが担当し、M&Aの進捗に良い影響を及ぼすこともあります。

 

一方で、あまり経験値が無いコンサルタントのOJTも含めて現場に投入され、主担当が変更になるというケースもあるので、こちらは注意が必要です。

 

ある意味経験を積ませるために担当変更させているような格好になるので、仲介会社があなたの会社のM&Aを軽視しているとも捉えることができます。

仲介会社にとっては練習であっても、あなたの会社にとっては最初で最後のM&Aなので、イマイチなコンサルタントだと思えば、担当者を戻してくれときちんと伝えましょう。

 

どんなコンサルタントが担当しても、同じ仲介会社であれば同じ仲介手数料が取られるので、良いコンサルタントを付けてくれ、というのは常に主張してよいと思います。

 

このケースについては、仲介会社側が緊急性を伴っていないため、交渉次第で担当変更を阻止することもできたりするケースもあります。

 

 

 

いづれのケースにおいても、売手側で事前に察知できないことが普通なので、ましてや最初の「どの仲介会社にしようかな」という段階でそれが見抜けることは無いでしょう。

 

なので、担当者変更が起こりにくい仲介会社の選び方や担当者変更の影響を少なくする方法を考える必要があります。

 

 

担当者変更を回避したい時に取れる方法

 

「担当者変更してほしくないな」と感じるようであれば、こんなことを検討しても良いと思います。

 

担当変更しない小規模な仲介会社を選ぶ

 

担当コンサルタント=仲介会社の社長、というような小規模な仲介会社であれば、担当者が変わることはあまりありません。基本的にマンツーマンで対応しますので。

 

仲介会社の方針を決めるのも担当コンサルタントになるので、見えない力で急に方針が変わって被害を被るという可能性は低いですし、そのコンサルタント個人に自分の会社を任せるというイメージを持っている売手からするとイメージに近いやり取りが期待できると思います。

 

仲介会社の規模は関係なく、担当変更も無く、良いコンサルタントに任せたいな、という方は良い手段かと思います。

 

ただし、小規模な仲介会社は非常にたくさんあるので、考え方が合っていて、納得いくようなレベル感、妥当な価格感の仲介会社を探すのは結構難しいです。

 

あと、事故やらなにやらで動けなくなってしまったときに誰も代打がいない、ということはリスクだと思います。

 

紹介者や共同仲介者が存在するようなルートで仲介会社に依頼する

 

M&Aは一回ポッキリのビジネスなので、M&A仲介会社は、自社しか絡んでいないような案件は雑に扱いがちな傾向があります。

 

なので、「資本提携しませんか」という類のDMや電話でそのまま申し込んだ場合には、M&A仲介会社のいいように扱われてしまう可能性が高くなります。

 

一方、公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターや金融機関経由の案件については、ある種そこに監視される関係もできるため、仲介会社が好き勝手な対応をすることが難しくなります。(仲介会社としては、その売手は一回ポッキリかもしれませんが、紹介先とは今後も取引があるためないがしろにできないのです)

 

こういった傾向を利用して、公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターや金融機関経由で仲介契約をして、公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターや金融機関にも対応してくれるような人を持っておくのも有効な手段です。

 

M&A仲介会社の担当変更で何も知らない後任のM&Aコンサルタントが担当したとしても、そういった案件に関与してくれている人がいれば、情報を補完してくれる効果も期待できます。

 

ただし、紹介者の中には、ただ丸投げしているような人もいるので、注意が必要となります。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

担当変更は仲介会社都合で行われたりしますが、不本意な変更であればきちんと意見しましょう。

 

質の悪いコンサルタントはまだまたたくさんいますので、信用できない人に任せてM&Aがごわさんになってしまわないよう、十分に熟考して、仲介者選びをしましょう。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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