お悩み社長
中小企業庁の公表している「中小M&Aガイドライン」でセカンドオピニオン※が推奨されてから、色々な仲介会社でセカンドオピニオンを許容する動きがでてきました。
※M&Aのセカンドオピニオンとは、M&A仲介を依頼している仲介業者とは関係のないM&A専門家に色々とアドバイスを求めることです
とはいえ、「セカンドオピニオンってどうやって探すの?」と感じる方も多いと思います。
実際、売手オーナーが、セカンドオピニオンを求めようと他の仲介会社にお問合せをしたところ、「弊社をM&A仲介にした方が良い」と、現在締結している仲介契約の解約も含めた強引な営業を受けた、という話もあります。
「セカンドオピニオンをやっています」という仲介会社の中には、自社の受託につなげるための活動としている会社もあるのでこういう事も起きてしまいます。
今日は安心してM&Aのセカンドオピニオンを受けられるために、セカンドオピニオン機関の探し方、料金、注意点について考えてみたいと思います。
本日の内容が参考になる方
・M&Aのセカンドオピニオンの探し方を知りたい方
・M&Aセカンドオピニオンの料金比較をしたい方
それではいきましょう!
お金をかけずにセカンドオピニオンを得る方法4選
まず、お金をかけずにセカンドオピニオンを得る方法を考えてみましょう。
何事もお金をかけずにやれれば一番いいですからね。
筆者が考える中ではこんな方法があると思います。
事業承継・引継ぎ支援センターに相談する
以前こちらの記事でも紹介した、公的な機関である「事業承継・引継ぎ支援センター」を利用する方法があります。
事業引継ぎ支援センターに相談するとどうなるの?
大体は各県に1か所は設置されているので、実際に足を運んで面前で会話したいという方にとっても使いやすいと思います。
公的機関なので、完全無料ですし、仲介手数料目的に変な営業をされることもありません。秘密厳守で対応もしてくれます。
注意点としては、M&Aについて知見がある相談員の方も多いのですが、株価について意見するなど込み入った内容について相談員の方が意見をすることが禁止されていたりもするので、あまり突っ込んだ話ができないケースもあるという点です。
顧問税理士に相談する
法人の税務申告で税理士を使っている会社がほとんどと思いますが、税理士に無料の範囲で相談するのも手です。
財務内容についてはもちろん把握しているはずなので、M&Aの協議内容でおかしな点があればアドバイスを頂けるかもしれません。
注意点としては、M&Aに詳しい税理士の先生もいれば、あまり詳しくない先生もいる点です。あまり詳しくなければM&Aについての適切なアドバイスに繋がらないケースがありますし、M&Aに精通している先生であればM&Aの関連業務を既にしている可能性もあるので、別途料金が発生するケースもあります。
また、スキームも含めた税務・財務についての的確なアドバイスが得られる可能性がある一方、M&Aの専門業者ではないので、「他の候補先に打診した場合どういう反応になるか」などの市場感については詳しくないケースもあります。
知り合いに相談する
もし知り合いにM&Aを検討したことがある人がいれば相談してもよいかもしれません。
当事者目線の意見を聞くことで、M&Aについてのイメージが付きやすいメリットがあります。
ただ、この場合は、知り合いのケース1パターンだけの話なので客観性に欠けるものでもありますし、仲介者などを利用していた場合相手方とのやり取りで知り得ない部分も多分にありますので注意が必要です。
あとは、秘密保持義務を負わせる、というのが口約束になってしまいがちなので、秘密保持の観点ではあまりお勧めできなかったりもします。
M&A業者を無料の範囲で利用する
複数のM&A業者に無料の範囲で相談するのも良いと思います。
多くのM&A業者では相談無料で話はできますので、気軽に現在使っているM&A業者について同業者目線でアドバイスがもらえることもあります。
買手も売手も両方相手にしている人も多いので、両者の立場に立った意見が得られるのが良い点です。
注意する点としては、M&A業者は「M&Aを成約させてその成功報酬が欲しい」と思っている人々なので、「M&A仲介に繋がらない話には塩対応」というケースも多いです。
(他の仲介会社と仲介契約を締結済みという時点でやる気をなくすケースも多々あります)
あと、自社がM&A仲介に入れるように、現在契約している他の仲介会社との仲介契約を解除させようとしてくる者もいます。
セカンドオピニオンを求めているのに、M&A業者に営業活動に繋がってしまうケースも多々あるので、そういうのが嫌いな方にはあまりお勧めしないです。
上記で説明した方法で、ある程度のところまでは無料でアドバイスを得ることができるかもしれません。
とは言え、「M&Aに精通した人に」「具体的なアドバイスが欲しい」といった場合には、外部の「セカンドオピニオンサービス」を利用するのも良いかと思います。
M&A業者が提供する有料のセカンドオピニオンサービスの料金比較
筆者が調べた中ではこのような業者がセカンドオピニオンサービスを単体で提供しているように見えます。
一部の例となりますが、以下に記載しておきます。
※料金体系は記事掲載時点の各社HPに記載の内容です。
他にも「セカンドオピニオンします」と書いてあるような会社もいくつかありましたが、単体のサービスというよりは通常のM&A仲介に誘導しているような感じもあったので、ここでは単体サービスとして料金の表記があった先をピックアップしています。
日本M&Aアドバイザー協会とM&A BANKは少し毛色が違いますが、主業としてM&A仲介などを行っている会社が多い印象です。
「大体は時間単価で●●円」という感じの設定か、「月々●●円で質問し放題」という感じが多いですね。
M&Aのセカンドオピニオンに対する報酬についても、M&A仲介の成功報酬と同様に、法律で「徴収してよい限度額」が決まっている訳ではないので、各社それぞれで自由に設定している感じです。
どの会社のサービスが良いというほど、このセカンドオピニオンサービス自体まだM&A業界でも浸透していないので、迷うようであれば複数のところに話を聞いて、頼れそうなところにお願いしてみるというのも良いかと思います。初回相談は無料なところも多いようです。
セカンドオピニオンを探すときの注意点
こうしたセカンドオピニオンサービスを利用する時には次のようなことに注意してください。
現在利用している仲介会社との仲介契約違反にならないか確認
最近では少なくなりましたが、まれに変な仲介会社の仲介契約には、セカンドオピニオンを求めることも専任条項や秘密保持条項などに抵触するともとれる表現で契約書で拘束しているケースもあります。
なのでまずはセカンドオピニオンを求めることで何等かの契約違反にならないかはチェックしておきましょう。
ちなみに中小企業庁が認めるM&A支援機関では「中小M&Aガイドライン」の遵守と併せ、ホームページや会社紹介資料に「中小M&Aガイドライン」を遵守する宣誓を明記することが義務付けられています。
例えばこんな感じです。大体どこも同じ文章が掲載されています。
参考 中小M&Aガイドライン遵守について(外部サイト)みずほ銀行
M&A支援機関であれば普通にセカンドオピニオンを許容してもらえると思うので、現在依頼している仲介会社がM&A支援機関かを確認するでも良いと思います。
会社の大小問わずほとんどのM&A仲介会社はM&A支援機関ですが、まれにM&A支援機関でないM&A業者もいたりするので気を付けましょう。
もし、M&A支援機関でないM&A業者だった場合は、セカンドオピニオンの許容云々関係なく、M&Aをお願いするのを避けた方が良いと筆者は思います。
「中小M&Aガイドライン」を守りませんよってことですし、このような業者だった場合はM&A仲介手数料に対する国の補助金も利用できないからです。
M&A業者として信用できる先に依頼すること
セカンドオピニオンを求める先は誰でもいいわけではありません。
当然ですが、きちんと知識と経験がある人の意見を貰わないと、その意見すらセカンドオピニオンとして役に立たないこともあります。
最低限、M&A仲介を実際にした人でないと、まともなM&Aのアドバイスは出せないですからね。
M&Aいろは塾は、全部筆者が記事を作成しているので、なんとなく筆者の雰囲気やこういう意見を求めたらこういう返しがありそう、とか想像できると思いますが、会社のホームページに「セカンドオピニオンも承っております」というだけの会社だとその辺も想像しにくいと思います。
セカンドオピニオンを探すときも複数見比べて、信用できそうな先を探すというが正解だと思います。
いかがでしたでしょうか?
M&Aでのセカンドオピニオンとは、特定のM&A業者に仲介をお願いしている状態で他のM&A専門家を使うようなイメージになります。
ただ、そもそも複数の仲介会社を非専任で仲介の依頼をすることも可能なので、そういった形でセカンドオピニオンが得られる体制を作るというのもアリだと思います。
いづれにしても、M&Aを始める早い段階で色々な意見を聞けるような感じの進め方が、悔いが残らないM&Aにつながると思いますので、どこかの仲介会社と仲介契約を締結する前に是非色々と試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。