「弊社は大変リーズナブルな料金体系でして・・」
M&Aコンサルタントからの説明で結構耳にするフレーズです。
これ、日本だと「ああ、価格が安いのか」と感じてしまうところですが、実は違います。
例えば、アメリカ人がこういう説明を受けたら、おそらく安いという意味とは受けとらないでしょう。
「リーズナブル」の本当の意味
英語の 「reasonable」 は本来「価格が安い」という意味ではなく、「妥当な」とか「納得できる」とか「許容できる」というニュアンスの言葉です。
「君の考えはリーズナブルだね」みたいなシーンで出てくることが多いです。
なので、価格についてリーズナブルといえば、安いではなく、品質を考えれば妥当、という意味合いで使われるのが正解になります。
価格の高さを表現するなら、expensiveやinexpensiveという言葉もあるくらいですので。
M&A業界で多用される「リーズナブル」
M&A業界では「弊社の料金体系はリーズナブル」という使われ方がとても多いです。
前述のような意味を理解して使っているのか、あるいは、安いと勘違いして使っているのか。
担当コンサルタントは安いという意味だと思って使い、それを受け取った中小企業オーナーも安いという意味だと受け取って会話が成立してしまう、謎の光景すらあります。
とはいえ、日本で「リーズナブルな店でいいよ」と言ったのに高級フレンチに連れていかれたら「なんで?」となるのも事実。
日本では「リーズナブル」=「安い」なのです。
でも、リーズナブルと聞いた側が勝手に「安い」と解釈して、判断を誤るのは健全とは言えません。
M&A業界の「リーズナブル」とは
実際の話、M&A業界では仲介手数料の最低報酬額が2,000万円でも2,500万円でも平気でリーズナブルと言ったりします。
以前中小企業庁の公表しているM&A業者の最低手数料の分布では500万円や1,000万円がボリュームゾーンなので、2,000万円なんて客観的には明らかに高い部類に入ります。
でも、「安い」と言わず「リーズナブル」といえばウソじゃなくなるんですよね。
後から「全然他社のほうが安いじゃないか」と言われても、価格が安いという意味で使ったんじゃなくて、「提供するサービスの質に対して価格が妥当」という意味で使ったんだと主張できますからね。
リーズナブルを安いと勘違いした売主
その勘違いに気付いていながらもそのまま進めてしまった仲介
どっちにも非がありそうなんですが、仲介の場合は相手の理解度に合わせて話をする能力は不可欠なので、お金に勘違いがあるのに進めてしまう仲介の提供するサービスの質は高いとは言えないでしょう。と筆者は思います。
なので、リーズナブルという言葉が出てきたら「それって他社と比べて安いって意味?」と聞き返しましょう。
突き詰めていくと、きちんと説明できないか、「上場している仲介会社で比べてます」とかの展開にもなるかもしれません。
「業界最安値水準」にも注意
リーズナブルと似たような言葉で「業界最安値水準」という言葉もあります。
これは言語によるニュアンスの違いでは言い逃れできません。
なんとなくですが、M&A業界ってそもそもモラル低めなので、「水準」ってつければよくない?って雰囲気めちゃめちゃあるのですが、これ普通にヤバいです。
業界最安値水準と書いたら、「業界でも最も安いグループに属する」という事実がないとダメなんです。
他社との比較を伴う具体的な事実の表明なんで。
厳密には、不当表示・誇大広告や、景品表示法(優良誤認・有利誤認)の問題とかにもなるかもしれません。
これからM&Aをしようとしている売主の立場で言えば、依頼しようとしている仲介会社のホームページやパンフレットに「業界最安値水準」なんて書いてあっても鵜呑みにしてはいけません。
比較は自分ですること。
これは鉄則です。
こちらのサイトも参考にしてください。中小企業庁が公表している各M&A仲介会社の手数料が調べられます。
参考 登録支援機関データベース
ご参考いただければ幸いです。

