お悩み社長
M&Aをやろうと思った時に何から手を付けていいか分からないですよね?
会社のコンディションがM&A向きかそうでないか、というのもありますし、M&Aの知識を仲介会社や銀行で教えてもらおうとすると、変なバイアスがかかった意見をもらってきてしまうので、まずは自分である程度の知識をつけているかどうか、というのもあります。
実際にM&Aをやったことのある企業オーナーはほんの一握りですので、大抵の人は何していいか分からない状態からのスタートです。
今日はシンプルで分かりやすく、チェックリストなども載せながら解説していきたいと思いますので、ご自身の会社に当てはめて確認してみて下さい。
本日の記事を読んでほしい方
・できるだけ良い条件、良い状態で譲渡したい方
それではいきましょう!
まずはチェックしてみましょう
次のチェックリストにご自身でチェックしてみましょう。
□ 1. 会社の株主や役職員、取引先、その他関係者に反社会的勢力はいない
□ 2. 会社に労働組合に属している社員は一人もいない
【会社の状態】
□ 3. 自分がいなくても会社の運営には支障をきたさない
□ 4. 自分がいなくなることで従業員・取引先・取引を失う可能性は無い
□ 5. 会社の中に事業と関係ない資産は無い
□ 6. 債務超過では無い
□ 7. 赤字では無い
□ 8. 従業員の年齢は低い方である
□ 9. 許認可や特許、特殊な技術その他競合他社の参入障壁になる強みがある
□ 10. 会社の規模が一定以上(年商1億円以上)である
□ 11. 会社の所在地が都市部、もしくは、場所に関係ないビジネスをしている
□ 12. 市場が縮小することが明白な業界ではない
□ 13. 被告側として係争に発展しそうな事象は起きていない
□ 14. 従業員の離職率は低い方である
□ 15. 会社の株式が分散しておりらず、現経営陣が全ての株式を保有している
□ 16. 説明できないような過去の株の異動は無い
□ 17. 拘束性の強い契約は存在していない
□ 18. 労務管理(残業や有休、社保支払その他)は適正に行っている
□ 19. 不良在庫や回収懸念のある売掛金・未収入金などはない
□ 20. 環境問題は発生させていないし、発生させるおそれもない
□ 21. 税務調査は割と最近入っている
【M&Aの知識】
□ 22. 株価算定を実施しており、会社の理論株価を知っている
□ 23. M&A仲介手数料の相場感を理解している
□ 24. M&A業者は非専任でも契約できることを知っている
□ 25. 近くにM&Aを経験したことのある旧オーナー経営者がいる
これは「よい条件でM&Aで会社の譲渡ができるかを判定するチェックシート」です。
まず、絶対条件は満たしておくことがM&Aをする上では必要になります。
その上で、
チェックが20個以上 :超有望株。良い条件でM&Aができる可能性が高いです。
チェックが15個~19個 :十分良い条件でM&Aができる可能性が高いです。
チェックが10個~14個 :事前に準備できるような項目もあるはずです。きちんと準備してM&Aに臨みましょう。
チェックが2個~9個 :M&Aが実現したケースもあります。諦めずに検討してみましょう。
※絶対条件を含めてのチェック数です
という感じです。
いかがでしょうか?
チェックが少なかったからといってもM&Aを諦めることはありません。今から改善できる項目もあるかもしれませんので!
チェック項目の解説
ここからチェック項目の解説をしていきます。
「反社と労働組合員に該当しないこと」は超重要!
№1、2はM&Aをする上で前提条件になります。
つまり、これがNGだとM&Aができない可能性もあるということです。
反社会的勢力は誰が何と言おうとNGですが、労働組合もかなり重要な要素になります。
労働組合がいることで、M&A時やM&A後に労働争議が発生する可能性があることはもちろん、買手企業や仲介業者に対してもM&Aを阻止すべく信用失墜行為や破壊行為に出る可能性もあります。
筆者が以前聞いた話では、M&Aを検討している会社で〇〇ユニオンに所属している社員がユニオン本部に働き掛け、街宣車を会社の前に横付けされたり、自宅周辺に「〇〇株式会社の〇〇社長はとんでもない奴だ」とビラを撒かれたり…、という話を聞きました。
もう反社ではないかというレベルですね。
ややこしくなるケースが明らかな場合であればM&Aの検討以前にお断り、というケースも多いですし、M&A仲介業者の受託する条件としても「労働組合員がいないこと」を確認してから受託するケースも多々あります。
財務や事業が良い方が買手を選ぶ立場になれる
財務面や事業面で一発アウトという条件は特にありません。
もちろん、買手企業の中には、「うちは儲かっている会社しか買わへん!」「うちは借金の引継ぎみたいなM&Aはしない!」という会社もいますので、そういう意味では一発アウトですが、「安く買って立て直ししたい!」という会社もいるので、財務が厳しい会社のM&Aについては、こういう買手向けとなります。
事業については、どうしても「管理のしやすい都市部で」、「きちんと一定規模以上の売上と従業員を確保しており」、「M&Aというスキームを使わないと獲得できない強みがある」という会社が好まれます。
あと、買手企業の中には、M&A後に買手から人材を送り込むことが前提でない会社も多く、「M&Aで退任する経営者がいなくても運営に支障が無い」というコンディションであることもプラス要因ではあります。
つまり、財務や事業に関しての項目にチェックができなかったからと言っても買手がいなくなるわけではありませんが、選択肢は狭まってしまいますので、買手候補の中で競争関係が生まれず、強気に条件交渉できない、ということになるわけです。
管理面がしっかりしている会社は破談のリスクを減らす
「株があっちいったりこっちいったりしている」、「資産とは言えないような資産がある」などの状態は、買収監査後の減額や契約での拘束が売手側にとって厳しくなる可能性を高めます。
こういった管理面については、財務は許容範囲であり事業も興味がある、という買手が次に気にするポイントです。
そのため、交渉の中盤~後半にかけて問題視される可能性があるため、致命的な問題だった場合は交渉が途中で破談になるリスクを高まります。
とはいえ、一般的な中小企業で、「労務管理は万全です」と言える会社の方がむしろ少ないので、できる範囲での対応とはなりますが、できるだけキレイな状態にしておきたいものです。
ちなみに、こういった交渉上のリスクを事前に洗い出し、”思わぬ破談”のリスクを減らすのはM&Aコンサルタントの能力次第なところもありますので、数多くの買収監査の修羅場を潜り抜けてきたコンサルタントを使いたいものです(このリスクの洗い出しについては、主体的に何件M&Aを成約させてきたか、それなりの規模のM&Aを成約させたか、というところに概ね比例します)
ちなみに、直近で税務調査が入っていれば、その税務調査が入った時より前の税務リスクはほぼ無いともいえるので、買手企業が安心して買収できるポイントとなります。
普段はあんまり来て欲しくない存在かもしれませんが、M&Aでは、自分の会社の健全性をアピールする良い実績になるのです。
M&Aに関する知識習得は今日からでも間に合う!
M&Aに関する知識習得は知っているか知らないか、頼れる人がいるかいないか、だけです。
このブログを見てくださっているということは、それだけ知識を吸収しようとされているということなので、良い条件でM&Aができると信じています。
M&AのDMや電話は最近とっても盛んなので、受け身でもある程度情報は入ってきます。
ですが、これに流されず主体的にアクションしていきましょう。
M&Aのコンディションが整っている会社もそうでない会社も、よいM&Aができるチャンスはありますので、是非できることから動き始めてみて下さい。
最期までお読みいただき、ありがとうございました!