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「完全成功報酬ってウソ?」M&Aしないのに手数料を請求されて詐欺だと感じた人の末路

お悩み社長

完全成功報酬ということは買手からお金を受け取った時に払えばいいんだよね?

 

そのように考える人も多いでしょう。

 

ですが、これは必ずしもそうとは言えません

 

M&A業界で言われるところの完全成功報酬というのは、「着手金や中間金もいらず成功報酬のみでいいですよ」というものです。

 

つまり、成約したら払えばいい、というわけなんですが、これを代金を受け取ってから払えばいいと勘違いして罠にはまる人がいます。

 

最悪のケース、最終的にM&Aができないのにも関わらず高額な手数料だけが発生するということもあり得ますので、仲介契約を結んでしまっている人はすぐにでも契約書を読み返した方がいいです。

 

完全成功報酬とは?どんな仲介会社が採用しているの?

 

最近こんなM&A会社も増えてきました。

「弊社は着手金無料です!」
「弊社は完全成功報酬制を導入しており、成約するまでお手数料はいただきません!」

「着手金も中間金も無いのでご負担なくM&Aをご検討いただけます!」

 

よく「着手金無料」=「完全成功報酬」と勘違いしている人もいるので整理しますが、仲介会社側はこういう使い分けをしています。

 

 

「完全成功報酬」は「中間金を頂かない」ということなので、「着手金」までしか無料じゃない仲介会社は「弊社は完全成功報酬です」とは言えず、「着手金無料です」までしか言えません。

 

当然お客さんの立場からすれば、できるだけM&Aの確度が高くなったとき、できれば成約してから手数料を払いたい、と思うものなので、「着手金無料」より「完全成功報酬」の方が望ましく、逆に完全成功報酬の会社はここをゴリ押ししてくる感じの営業をしています。

 

じゃあどんなケースでも「完全成功報酬」の仲介会社を選んだ方がよいか、というと、それはそれで最低報酬額が高額に設定されている仲介会社を選んでしまうこともあるので、「完全成功報酬」で「最低報酬額が安い(ちなみに業界中央値は500万円)」が本当の意味で安い、と覚えておきましょう。もっというなら、レーマンでの計算についても、5億円以下は5%ではなくもっと小刻みにレーマン料率を設定している会社もあるのでこういうところは料金が高くなるケースもあるので注意です。

 

完全成功報酬制を採用している仲介会社は筆者が知っているだけでも相当数あり、上場仲介だけでなく多くの中小規模の仲介会社でも採用されています。

 

仲介会社のホームページを見れば、上記のような、「着手金の有無」「中間金の有無」「成功報酬や最低報酬金額」が書いてあるケースもありますが、書いていないケースもあります。上記のような言い回しで判断してもいいですし、「都合の悪いことはできるだけ載せない」のが仲介会社では大手含めて非常に多いので、「着手金無料」としか書いて無ければ「中間金と成功報酬が請求されるのかな?」とか、「完全成功報酬とは書いてあるけど最低報酬が書いてない」場合は「最低報酬が高いのかな?」と勘ぐってみつつ、事実を確認する方法が効果的です。

 

 

完全成功報酬でもM&Aを実施しないのに手数料が発生するトリック

 

「完全成功報酬」は成約した時に成功報酬が発生する、ということをお伝えしました。

 

それにも関わらず、M&Aをしていないのに手数料が発生することがある、ということはどういうことなのでしょうか?

 

それは、「成約」=「M&Aの実行」ではないということです。

 

 

以前、筆者にご相談に来られた方でこういう方がいらっしゃいました。

「M&Aを某仲介会社に依頼して、実際に買手を連れてきてもらい具体的な話になったんだけど、こちら側の事情で最終的に破談に終わって、もう何もないかなと思っていたら仲介会社から成功報酬を請求されてびっくりした。こんなの詐欺だ!」

詳しく話を聞くと、特定の買手との間で最終契約書を締結したものの、クロージング要件を達成できず破談に終わったとのことでした。

そして、仲介会社との仲介契約には「M&Aを実行したら成功報酬が発生」ではなく「最終契約を締結したら成功報酬が発生」という主旨の記載であったため、M&Aを実施しないにも関わらず成功報酬が発生したということでした。

 

M&Aというのは、最終的に契約書を締結したら即決済と思っている人もいますがそれは違います。

 

M&Aの実務上、最終契約書(株式譲渡であれば株式譲渡契約書、事業譲渡であれば事業譲渡契約書など)の中には、「クロージングの前提条件」という項目が設けられることが多いです。

 

主に売主がクロージングまでにやっておくべき宿題のような内容だったりしますが、これは売主だけで完結するようなこともあれば、誰かの承認を得ないといけないようなものもあります。例えばこういうものは他の誰かの承諾が必要になります。

・未払賃金や未払社会保険料等が存在しないことの確認書(従業員から承諾)
・対象会社の賃借する物件について、賃貸人から取得する譲渡に関する承諾書(賃貸人からの承諾)
・対象会社の取引先から取得する譲渡に関する承諾書(取引先からの承諾)
・知的財産権が対象会社に帰属することに合意する書面(知的財産を提供している人からの承諾) など

 

仮に、こうした承諾が得られない場合、M&Aが実行できないこともあります。

 

軽微なものであれば、売主と買主の協議の上落としどころを探しに行くこともありますが、致命的なものの場合はM&Aが実行できないという結論になります。

例えば、特定の取引先との取引があるからそのM&Aをしたいという買手との契約で、取引先との取引継続がクロージングの前提条件となった場合、その取引先の承諾が得られなくなったことでM&Aをするメリットが買手としてはなくなってしまい、話を白紙にされるケースなどです。あるいは、飲食店などで、賃借人からの承諾が得られなくなった場合、そのM&Aをしても店舗を移転しないといけないという現実的でない形になったケースなどで、最終契約が解除になるということが起こり得ます。

 

さらに、もっと理不尽な契約解除もあり得ます。

上記のような売主の宿題ならまだ売主の頑張りや根回しで承諾いただける可能性を高めることはできそうですが、最終契約書の中には、「買手が金融機関から融資を受けられなかった場合は白紙になる」というような停止条件付きの契約書も存在します。

 

こうした条件は売主に不利なものですので、そもそも締結するかを悩むべき問題として捉えた方が良い内容ですが、最終契約書を締結したけどM&Aが実行されず仲介手数料だけがのしかかる、というリスクも考慮の上契約締結するか検討する必要があります。

 

M&Aは基本的に最後の最後まで、外部に漏らさず進めるというのが基本であるため、取引先がどう出るか・賃貸人がどう出るか、など分からない部分も多々あります。株の買い集めが発生するような案件では他の株主の承諾だってきちんと得られるか分かりません。

 

M&Aが最後まで気が抜けない、といわれる所以はこういった要素もあるからであって、この辺りの事情を知っていると「最終契約書を締結したらもう安心」とは言えませんし、「最終契約締結で成功報酬が発生する仲介会社」は選ばず、「M&Aを実行してから成功報酬が発生する仲介会社」を選ぶのが売主にとっては安全であることは言うまでもありません。

 

一方、M&A仲介会社にとってみれば、当然、成功報酬発生のトリガーが「M&A実行時」ではなく「最終契約締結時」の方が都合が良いです。

収益を計上できるタイミングも早いですし、上記のような不測の事態でM&Aが白紙になってしまっても成功報酬がとりっぱぐれない、という利点があるからです。

 

仲介手数料というのは高い、安いだけでなく、こうした別のリスクも負うことがあるので、仲介会社を選ぶ際には「成功報酬はM&A実行時かどうか」を必ず確認しましょう。

中小企業庁のM&A支援機関登録されている業者では、重要事項説明を行うことになっており、成功報酬の支払条件や支払時期についても重要事項説明書に明記するようになっています。

 

 

仲介契約で弁護士に確認させる売主はあまりいない

 

ちなみに、先ほどの、「詐欺だ!」と言われた売主様は結局手数料を支払ったようですが、次回仲介会社を使うのは怖い、と本音を漏らされていました。

 

よき仲介者というのは上記のようなリスクは自ら伝えるものですが、営業色の強い仲介会社では、さらっと流す程度の説明で進めてしまうコンサルタントもいます。細かく説明して、他の「M&A実行時に成功報酬が発生」という仲介会社に心変わりされても嫌なので。

 

いくら契約書に書かれているからといっても、M&Aを知らない人の立場でリスクを説明しないと錯誤が発生しますし、後に「騙された!」と感じてしまう人もいると思います。

 

M&Aコンサルタントを選ぶ場面においては、こういう自社に不利な内容でもリスクを説明してくれるかは非常に重要で、こうした姿勢は実際にM&Aを進める際にも、買手の言ってきたことをさらっと飲ませようとしてくるのか、あるいは、中立な立場でリスクや今後の展開を十分説明した上で判断を仰ぐようなうかがい方をしてくるのか、にもろに出てきます。

 

筆者の感覚的には、ヤバいコンサルタントは、株価査定や契約書の説明の段階で多少ボロが出ると思いますので、ここは見落とさず、判断に迷う時はM&A業界に詳しい方に一度相談してみるのがよいと思います。

 

契約書に関して言うと、M&A実務に詳しい弁護士に相談するのもよいと思います。

 

基本合意書や最終契約書を弁護士に相談する売主はいますが、仲介契約書については料金など自分の分かるところだけをさくっとみて契約してしまう人も実際多いです。

 

着手金もかからないから、と気軽に考えている人もいるのかもしれませんが、契約内容によっては数千万円以上損をする、ということもあり得るようなものなので、きちんと確認しましょう。

M&A業界は、ガイドラインなどもありますが、M&Aの実務を知っている人でないと見落としがちな内容というのも結構ありますので、十分に警戒しつつ、色々な人に意見を聞いて仕組みを理解するというのが重要です。当ブログの筆者に聞いていただいても構いません。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

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