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「運送業でもM&Aが成立できない」その理由

お悩み社長

運送業は買手も多いからって仲介会社に任せたけど全然決まらない。なんで?
 

 

中小企業のM&Aで運送業は人気業種です。

筆者の知っている運送業者の社長のところには、毎週何通も仲介会社からのDMが届くとも聞いています。すごいですね。

 

その理由は色々ありますが、「価値を評価しやすい」「運ぶものが変わればどんな業種ともシナジーが出る」「ドライバーが不足している」といったことがよく聞かれます。

 

買手もたくさんいるので、仲介会社的には「受託さえできれば成約できる」くらいの気持ちでバンバンDMを送っているところがとっても多いです。

 

ただ、実際M&Aを進めると、一概にそうとは言えないというのを今日のテーマとしたいと思います。

 

 

今日の記事はこんな方に読んでいただきたい

・仲介会社に「御社の買手がいる」と言われるが本当か疑わしいと思う方
・運送会社でどんなケースの時に決まらないか知りたい方
・成約確度を上げるために何をしたらよいか知りたい方
 
 
それではいきましょう!

 

 

運送業はなぜM&Aで人気業種なのか

 

運送業はどんな業種の買手でも、物流が絡めば買収する可能性があります。

アパレルでも食品でも、雑貨でも素材メーカーなどでも、日々商品を運んでいる為、ある程度の規模の会社ともなれば、どこかの運送会社に依頼し定期的に発送しています。この輸送費用をコストダウンしよう!と思ったら、運送を自社グループに組み込むことで達成することができます。

また、同じ運送業が運送業を買収するケースでは、行きと帰りで荷物をパンパンにする為、効率よく運送できるような会社を買収するケースもよく行われます。加えて、同業の運送会社であれば、燃料や消耗品であるタイヤもまとめ購入することもできる為、グループ全体のコストダウンも可能になります。

 

つまり、今払っているコストがM&Aをすることで削減できるということですね。

 

M&Aでは事業の多角化や商品の拡充などを狙って行うケースもありますが、実際に期待通りの展開になるかは不透明なので、確実性のあるコスト削減系のM&Aが好まれるという傾向もあります。

 

そこに、アマゾンなどのECが発達してきたために荷物が多くなり、ドライバーが不足しているという要素も加わっている為、人手を確保して機会損失を防ぎたい、と思う企業も増えているため、まとめて人手を確保できるM&Aをしちゃおう!となっているわけです。

実際筆者も運送業の案件を手掛けると、確かに買手は多いなと感じますし、高い価格を出してでも買収するというケースも増えているように思います。

 

それでも成約しない運送会社ってどんな会社?

 

人気の運送業界、とは言え、M&Aを進めても成約に至らない運送会社も多いです。

 

これは何が原因なのでしょうか?

 

筆者が過去見てきた事例では次のようなことが原因であることが多いと感じています。

① 売手企業の価格目線が異常に高い
② 保有している固定資産の価値が、簿価と時価で大きく乖離している
③ 車庫や倉庫、トラックなどが借り物である
④ ドライバーの離職率が高い
⑤ 特殊なものを輸送している

 

だいたいこんな感じです。

 

中でも一番多いのが、①の「売手企業の価格目線が異常に高い」です。

 

M&Aで会社を売却するときにはどの程度の営業権を乗せて株価を出すか、というのが議論されるのですが、一般的な買手企業が出す株価よりもはるかに高い株価を求める売手企業さんがいます。

はるかに標準よりも高い株価を希望するので、そもそも検討を進めようとする買手企業がいなかったり、検討を進める先があったとしても、買収監査で減額要因が見つかりそれを売手に説明したら「それなら見送り」と売手主導で交渉の後半で破談になってしまうケースなどです。

 

でもこれ、悪いのは仲介会社ってことも少なくないんです。

 

最近ではM&A仲介業者が増えたり、銀行や税理士なんかもM&AM&Aと言っているので、人気の運送業は何としても受託したい!と思って、あえて高めの株価を試算して気を引く人達もいるので、売手の価格目線がそこでおかしくなってします。

筆者としては、これホントに問題だと思っています。

こちらの記事も参考にきちんとした株価を理解するようにしましょう。

「高い株価算定を出すM&A仲介会社には逆に任せない」のが正解な訳

 

 

次に、②の「保有している固定資産の価値が、簿価と時価で大きく乖離している」です。

 

多くの運送会社は、トラックを置く場所(土地)や荷物を保管しておくための倉庫を自社で保有しています。

運送会社の創業者達は、「いつか自分の駐車場で自分のトラックを並べたい!」と夢を描いて事業を大きくされているケースも多いので、社歴の長い会社ではどこかしら自社物件を持っていたりします。

 

土地という不動産は普通取得価格で帳簿に載るため、いざ「会社を売ろう!」という思った時に取得価格と大きく価値が変わっていることがあります。

でも、もし土地の価格が買った時の半値になっていたとしても、気持ち的には買ったときの値段で評価してほしいと思う人は多いので、①でみられるような売手と買手の目線のズレが発生するわけです。

 

土地は時価評価、がM&Aでは常識なのですが、それが飲めない、となると残念ながら成約する確率は下がるわけです。

 

 

③の「車庫や倉庫、トラックなどが借り物である」は、M&A仲介会社が意外と理解していないケースも多い点です。

 

運送業というのは場所がないと運営できない事業なので、借り物の土地で運送業をしているというだけで「この案件は買収できないね」というスタンスの買手企業も多いです。

 

株式譲渡であれば賃貸借契約も当然に譲渡に併せ移管はされるものですが、それでも地主や家主との折衝には神経質にはなる部分があるので、ハードルが高くなるわけです。

 

また、「傭車ばかりで仕事をこなしてます」という運送会社も買手からは検討の対象から外れることも多いです。よほど高単価の荷主を抑えているケースを除いて、当初の目的(運送をグループ内で賄う)を果たせず、あまり買収するメリットがないと考えられることが多いからです。

 

 

④ですが、「ドライバーの離職率が高い」という会社も成約しづらいです。

 

これは単純で、ドライバーを確保したいのに買収後にすぐ退職してしまったら困るからです。

運送業あるあるなのですが、

利益率の良い荷主を持っている ⇒ ドライバーの給与も高い ⇒ ドライバーの求人に困らない
利益率が低い荷主しかいない ⇒ ドライバーの給与が低い ⇒ 万年人材不足

という傾向ははっきり分かれます。

 

ドライバーは他の業種に比べ、圧倒的に給与で勤務先を選ぶからです。

 

ある意味、離職率を聞いただけで、あまりいい循環になっていないのではないか、と想像できるため、そこを懸念して「いい会社だけ検討する」というスタンスの買手企業も多いです。

 

 

最後に⑤の「特殊なものを輸送している」ですが、これも仲介会社が勘違いしがちなポイントです。

 

運送業なら何でも買手がいるわけではありません。

引越し業者なども一応運送の分類ですが全く毛色が違いますし、当然旅客運送なども人気業種としての運送業とは言えません(最近では貨客混載などもあったりしますが、まだまだ珍しく、シナジーがあるからと容易に参入はできません)。

 

また、もう少し近いところで、特殊車両での重量物運送などもありますが、これも買手企業がいっぱいいるわけではないです。異業種のアパレルや食料品を扱っている会社が運送業がシナジーあると言っても、重機とかスチールを運ぶトレーラーを必要とする訳ではないからです。

 

要は、2~10トントラックくらいのサイズ感で、運ぶものもEC関連、という運送業が今人気業種として言われている運送業なわけです。

 

 

上のようなことに該当するんだけどM&Aできないの?

 

全然、そんなことはありません。

きちんとしたコンサルタントが対応すれば、ちゃんとした価格感を教えてもらい、適切な買手を連れてこさせることができますし、きちんと成約します。

 

注意すべきは、一番初めの目線感の設定です。

 

リップサービスで売手の気を引こうとしているコンサルタントにあたると、「高く売れます!」といって、びっくりするような価格を出してくるケースも多いので、売手としては気分は悪くないと思いますが、結局成約せず、ただ時間と労力、時には着手金を無駄にすることも往々にしてあります。

成約できなければ自分たちの実入りもないはずなのに、こういう仲介会社が増えているのが筆者としては不思議だったりしますが、引っかからないように注意をしましょう。

 

株価算定を複数取ってみるのも大切ですし、業界知識がちゃんとあるかを確認するようにしましょう。中には”傭車”という単語すら何かわからず「?」という顔をするコンサルタントもいたりしますので笑

 

是非、後悔しないM&Aを目指しましょう!

 

筆者への質問、取り上げてほしい記事のリクエスト、M&Aいろは塾へのご相談等承っておりますので、下のフォームよりお問合せください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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