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「M&A後の説明をミスして大量離職発生!?」売主の責任と従業員説明のポイントを解説

お悩み社長

私の会社の売却をする時に、従業員に何て言ったらいいか…。説明が不十分で離職するってこともあるよね??
 

 

売手オーナー様からよく質問を受ける内容です。

 

実際に過去のM&A事例でも、従業員への説明の仕方を間違えたために、従業員が離職してしまったりという話はちらほら聞きます。

 

買手企業にとって、人材を獲得するためにM&Aしたような場合で、M&A後すぐに離職されてしまっては何のために買収したのか分からないこともあり、場合によっては売手オーナーに責任追及される場合もあります。

 

今日はそんな話題を取り上げ、離職した場合の売手の責任や、離職させないための説明の仕方も解説していきたいと思います。

 

本日の内容が役に立つ方

・従業員説明に不安がある方
・買手企業との契約締結前に従業員が離職した場合の売主責任について理解しておきたい方

 

それではいきましょう!

 

 

従業員説明って実際どんな感じなの?

 

株式譲渡の場合は、だいたいクロージング日(株式を譲渡し、資金を決済する日)の翌日くらいに、従業員を集めて行うことが多いです。

 

こんなイメージです。

 

社長 「今日はみんなに伝えたいことがあって集まってもらった。」

従業員「(ざわざわ)」

社長 「私が高齢で体の調子がよくないことは知っている者もいるかもしれないが、今後も我が社が維持・成長していく為に、私が信頼のおける会社と資本提携をすることになった。」

従業員「それで、この会社はどうなるのですか?」

社長 「安心してくれ。社名も変わらないし、みんなの待遇も何も変わらない。実務的には、その資本提携をした会社の方が出入りしたり、新しい取り組みを一緒にやる機会が増えたりするくらいだから、何か指示があれば私の指示だと思ってきちんと聞いて欲しい」

従業員「社長はどうなるのですか?」

社長 「私は代表権が外れるが会長職として残るので、今まで通り会社には顔を出すので安心してくれ。取引先にもきちんと直々に説明する。」

従業員「わかりました」

 

事業承継系だとこんな感じで、高齢を理由に資本提携をした話をしたりします。

リアクションは従業員次第ですが、

 

「実は社長が引退されたらご子息もいらっしゃらないのでこの会社はどうなるのか心配でした」

「資本提携ってなんですか?他社に乗っ取られるんですか?」

「仕方ないですが納得しました」(内心「ヤッター、口うるさい社長がいなくなる!」)

 

とか様々ですが、大抵は、「資本提携?まぁなんかよく分からないけど給料が今まで通りもらえるならいっか」となるケースが多い気がします。

 

これは株式譲渡をした例ですが、事業譲渡は従業員の籍の異動が伴うので事前に従業員の合意が必要であり、M&Aの前に説明します。

 

なので、M&Aを決定事項として伝えるのではなく、「これからやるけど理解して異動を同意して欲しい」という趣旨の説明をする感じですね。

 

あと、株式譲渡だったとしても、従業員に株を配っているような会社の場合は、事前に臨時株主総会を開いて、株の買い集めや代理売買の承諾を得たりしますので、ここで同じような説明は必要となります。

 

いかなる場合においても、従業員への開示はM&A終盤の大イベントとなるわけです。

 

 

もし、その説明を誤って従業員が離職した場合、何か責任問題になるの?

 

M&A直後に従業員が離職した場合、実は説明の内容に関わらず、責任問題になる可能性はあります。

 

大抵の買手企業は、M&Aを行う前に「もし買収後に従業員が離職してしまったら」と不安になります。

 

そもそもM&Aは事前に公表しないので、やってみないとどうなるか分からないところがある行為で、M&Aをしたことによって発生した問題が一概に売手の責任になるというわけではありません。

 

ですが、交渉において買手企業の交渉力が強い(他の買手候補がいないとか)場合などでは、最終契約書である株式譲渡契約書に「M&A後に主要メンバーが離職した場合、1人当たり譲渡代金の●%を買手に返金する」みたいな条項を交渉してくることもあります。

 

これって結構ドラスティックな条項なので一般的ではないのですが、それだけ買手が人材の喪失に不安になるケースもあるってことです。

 

こういう場合で、かつ、従業員が離職してしまった場合、その定めに則って売手がその損害を賠償する形になります。

 

なので、こういう内容については慎重に対応しましょう。仮に応じるにしても、「M&Aを原因として離職した」という因果関係を考えると期限を設けるのが普通です。買手企業がその後のマネジメントをミスして離職した責任まで売手が負う必要ないですからね。

 

また、買手によっては、従業員の離職に関する条項が盛り込まれていなくても、「従業員との間に問題はない」とか「経営に大きな影響を及ぼす事項は無い」とする表明保証事項に違反している!と騒ぐ会社もたまにいたりするので、売手にとっては従業員を誰一人として離職させずに譲渡することがベストであることは言うまででもありません。

 

「じゃあ、従業員が離職しないように予め言っておこう!」

というのもあまりお勧めしません。M&Aは最後の最後まで成立するか分かりませんし、早めに従業員に伝えてしまい転職活動をする時間的な猶予を与えてしまうことにもなるからです。

筆者の考えとしては、M&Aが成立するまでの離職は基本的に全て売手のリスクになるので、売手と買手が一緒に行うM&Aにおいて売手だけリスクを負うというのもフェアでないと思うので、やはり終盤での開示が適当と思います。

 

ちなみに、仲介会社も入らない個人間のM&Aでたまにあるのですが、従業員が辞めないように事前に退職しないことを明記した合意書を取り入れる、みたいなこともやめましょう。「職業選択の自由」に反する内容なので、取り入れたとて無効な書面でしかありませんので。

 

まとめると、従業員のリスクも含めて売手が自発的に自社のリスクをきちんと買手に伝え、従業員へ説明する内容もきちんと買手と協議した上で、たとえ説明後に離職してしまったとしても売手の非が残らないよう従業員説明を行いましょう、ということになります。

 

 

説明の仕方で注意する点ってどんな点?

 

大抵の売手オーナーはこういう機会初めてだと思います。

 

仲介会社の中には、従業員説明のカンペ的なものを渡すケースもありますが、従業員説明については社長が自ら考えて、自分の言葉で伝えてあげるのが良いと思います。

 

従業員の性格も十人十色なので、M&Aだからと言っていつもとは違う話し方や伝え方をすると、きちんと相手に伝わらない可能性も多々ありますし、誰かにこう言えと言われているんじゃないかと従業員に勘ぐられる可能性もあり、友好的なM&Aのはずが、”乗っ取られ感”が出てしまうこともあります。

 

また、幹部の中には、一般の従業員よりも早く教えて欲しかった、と思われる方もいますので注意してください。M&Aを決定事項として伝えた時、「自分も一緒にこの会社の経営に旗を振ってきたのに」と不満を持たれてしまうと、その後円滑に引継ぎもできなくなる可能性もあるからです。

 

内容については、よくM&A仲介会社は、「待遇は今まで通りである」という旨を伝えて下さい、と言いますが、これは当然で、それに加えてどういう雰囲気の会社になるかまで具体的に伝えられるよう、買手企業とも認識合わせしましょう。

 

以前こちらのような記事を書きましたが、例えば、働く目的という点を取っても男女で考え方の傾向に違いがあることが統計的にも示されています。

M&Aを検討する女性経営者の注意すべきポイント

 

女性の方が「給与や会社の成長性」よりも「社風が良く働きやすい」ことを重要視しているアンケート結果に着目すると、女性が多い会社などでは待遇の維持の説明だけでは不十分で、「直属の上司は誰になるのか」、「困ったら誰に相談したら良いのか」、「有給は取りやすいのか」など働きやすさはM&A後にどうなるかをきちんと説明する必要があります。

 

これは年齢差にもよっても説明の仕方は異なり、若い従業員の方が転職機会が多いことに配慮して、「大手のグループに入ることによって、事業の広がりもあり、将来的にも成長見込みがある」点を説明しないといけないかもしれませんし、ベテラン社員が自分がお荷物になるんじゃないかと心配をしなくても済むように、既存事業は継続する旨やポストをむやみに減らさないなども説明した方が良いかもしれません。

 

これらは絶妙な匙加減で伝える形になるので、どういうリアクションになるかも想像しながら、事前に従業員説明する内容を買手企業と綿密にすり合わせしましょう。

 

筆者が見ている中では、意外とM&Aした後どういう形になるかを売手と買手で共有できていないケースが多いように思います。買手も、これからの事業運営で変な制約を受けたくない、という想いもあったりするかとは思いますが、従業員がモチベーション高く働いてくれることは買手のメリットでもありますので、できるだけM&A後の会社のイメージも共有しておく方が良いでしょう。

 

 

M&A前に誰まで、どういう形で説明して理解を得ておくべき?

 

もし、一人株主が社長も兼ねているようなケースだったら、M&A成約まで社長一人で話を進めることも多いですし、実際それでもM&A検討は可能です。

 

一方、株主が複数人いるケースだった場合には、最低でも2/3以上の株主の理解を得た上で話を進めるようにしましょう。中小企業のM&Aで株式譲渡をする場合は、譲渡するのは100%が一般的で、最低でも2/3もしくは過半数は必要と買手企業は考えます。1/3未満であれば最悪強制的に買い集めることも可能ですので、2/3以上は欲しいです。

 

また、株主と社長が別(社長が1株も持っていないなど)の場合は、株主だけでなく社長も巻き込んでM&Aを検討します。これは、実務に携わっていない株主が企業概要書の作成や買収監査の対応に伴う資料収集がそもそも難しいのと、M&A後は買手企業としては株を持っていない社長と一緒に経営を行う必要があるので、秘密裏に進めることは現実的に不可能です。

 

株を持っていないし社長でもないが、いわゆる番頭的に活躍している従業員がいる場合には、M&Aの協議段階で協議メンバーに入れる可能性もあります。買手企業からみて、どう見てもその番頭が事業の肝になっているような場合では、M&Aの検討に際して直接話を聞きたい(ここにはM&A後離職しないかのリスクチェックの意味合いも含まれる)という要望を出すケースもあるからです。

 

どこまでM&Aを検討していることを開示するのが正解、というものではないですが、開示する人が多ければ多い程、情報漏洩のリスクは高まりますので、きちんとしたコンサルタントの意見も聞きながら検討するようにしましょう。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

クロージング後の説明については、買手と十分話合いをする必要があるとご理解いただけたと思います。

経験の浅いコンサルタントはクロージング後にどんな話の展開になるかも想像できないまま話を進めるケースがありますので、こういった話題の内容の深さでコンサルタントの経験値を測ることができますので、信用できそうなコンサルタントも選ぶ参考にしてもよいでしょう。M&Aいろは塾ではこの手のご相談も請け負っておりますので、お気軽にご連絡ください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

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