毎度おなじみになりました「事業承継・引継ぎ補助金」の受付が開始になりました!
参考 事業承継・引継ぎ補助金(外部サイト)中小企業庁
お悩み社長
※詳しくは公募要領をご覧ください。
どういうときに使える補助金なの?
この補助金は、「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」の3パターンが用意されていますが、とてもシンプルに言うと、
「事業承継」をすることが前提で、「経営革新」をするか「再チャレンジの為に廃業」をする、もしくは、「M&A専門家」を使ってM&Aするときに、必要な費用を補助しますよ
というものです。
どういう状況で何をするか、によって使える補助金のタイプが異なります。
そもそも「事業承継」をしようという方の事情としても色々あると思います。
「親族や従業員に事業承継でき、今後会社を盛り上げていこう!」という方は、「経営革新事業」の経営者交代型(Ⅱ)を申請して、設備投資の費用への補助として使うことができます。
「後継者もいないし、会社をどこかに売却して引退しよう」という方は、「専門家活用事業」の売り手支援型を申請して、M&A仲介手数料への補助として使うことができます。
「M&Aはせず(できず)、一旦今の事業は廃業して新しい事業を作ろう」という方は、「廃業・再チャレンジ事業」を申請して、在庫の廃棄費用への補助として使うことなどもできます。
これらの事情を踏まえて、「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」のどれにするか、もしくは併用するか、を考えるようにしましょう。
この補助金は併用もできるようで、例えば「今の事業を廃業して、他社の事業を譲受して経営革新する」ということで「経営革新」「廃業・再チャレンジ」の併用をしたり、「M&A専門家に依頼して事業を他社に売却して、残った法人を廃業する」ということで「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」を併用する、というなこともできます。
とても便利ですね。
ただ、「うちの会社って後継者いないけどM&Aできるのかな」と考えている売手オーナーさんが、「あれを売ってこれを廃業させて・・」と考えるのも難しいと思います。そもそもM&A専門家を使うべきかも迷う方も多いのではないでしょうか?
M&A専門家も手数料は安いものではないので利用するか悩み中の方はこちらもご参考ください。
「高額なM&A仲介手数料を払いたくない売主オーナーが絶対知っておくべきこと」4選
基本的には初めてのM&Aの場合、M&A専門家に相談しながら色々決めていく方も多いと思いますので、実際「専門家活用」の費用として使うケースが多い補助金かもしれません。
公表されている申請数・採択率をみても申請者数に偏りがあるように見えます。
中小企業生産性革命推進事業「事業承継・引継ぎ補助金」(令和4年度第2次補正予算)について、以下の期間において第5回公募を行いました。
経営革新事業:2023年3月20日〜2023年5月12日
専門家活用事業:2023年3月20日〜2023年5月12日
廃業・再チャレンジ事業:2023年3月20日〜2023年5月12日
外部審査委員会による厳正な審査を行った結果、経営革新事業については、申請がありました309件から以下のとおり186件を、専門家活用事業については申請がありました453件から275件を交付決定いたしました。
尚、廃業再チャレンジ事業については、0件の単独申請と37件の併用申請があり、うち17件を交付決定いたしました。
採択率をみると「経営革新」で約60%、「専門家活用」で約61%、「廃業・再チャレンジ」で約46%となっています。
ものすごく採択されやすいというものではなさそうなので、「申請しておいて、採択されたらラッキー」ぐらいの感覚で取り組むのが良いと思います。
どのくらい補助してもらえるの?
まず前提として、この補助金は「実際に払った費用の一部を補填する補助金」です。
タダでもらえるわけでもないですし、きちんと申請して採択され特定の期間内に申請した内容を実施して、実際に支払った証憑も見せるなどきちんと対応しないといけません。
その上で、補助率は1/2~2/3以内、上限は600万円前後と設定されているので、使い方によってはかなり負担感が少なくなる、とも言えます。
「経営革新」(パンフレットより抜粋)
「専門家活用」(パンフレットより抜粋)
※売り手支援型の補助率は、「①物価高等の影響により営業利益率が低下している者」「②直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者」のいづれかに該当する者は2/3、それ以外は1/2
「廃業・再チャレンジ」(パンフレットより抜粋)
この補助金を使うとM&A仲介手数料ってどのくらいになる?
比較的活用されやすい「専門家活用」ですが、どのくらい仲介手数料が安くなるかというとこのような感じになります。
M&A仲介手数料について制限する法律はないので、M&A会社によって手数料は異なるのできちんと比較しましょう。
いづれの場合も、補助金をもらうことで負担感は軽減しているような形になります。
手数料1,000万円くらいが補助金の上限フルフルで使えるような印象ではありますが、補助率は仲介手数料の大小にかかわらず1/2か2/3のどちらかになるので、仲介手数料は安ければ安いほど実際に支払う手数料(仕上手数料)は安くなります。
ちなみに、補助金は消費税部分は含まれないので、免税業者や簡易課税業者の場合には、M&A専門家には税込みの手数料を支払い、補助金は税抜きの金額で支払われるという点は注意しておきましょう。
いつまでに申請すればいいの?
申請期限は以下の通りです。
2023年6月23日(金)~2023年8月10日(木)17:00※予定
また、交付決定は、2023年9月中~9月下旬になされます。
そして、補助事業完了日は2024年4月24日となります。
※補助事業完了日というのは、この日までに補助金の対象になる事業承継を実行しましょう、という意味です。
例えば、第三者にM&Aをするのに専門家を活用するため仲介手数料の補助金を申請しよう、ということであれば、6/23~8/10までに申請を済ませ、9月中~下旬に発表される交付決定から2024年4月24日までに、売手と買手で最終契約を締結して、M&A専門家に手数料を支払うところまで完了しないといけません。
M&Aが成立するかなんて最後まで分からないので、”とりあえず”にはなりますが、M&A検討を進めるのであれば申請しておくとよいでしょう。
なお、申請する際には「gBizIDプライム」アカウントが無いと申請できませんので、8月10日締め切りギリギリになって申請しよう、というのはおススメできません。
これって誰が申請するの?
この申請は基本的に補助金を受領する方が行います。
M&Aをしようとしているのであれば、売手もしくは買手が直接申請します。
「M&A専門家がやってくれるだろう」と期待していると申請漏れに繋がる可能性もあるので、きちんとコミュニケーションを取っておくことをお勧めします。
M&A専門家の中には、補助金の存在について教えてくれる会社もあればそうでない会社もあります。教えてくれる会社であっても代行しているケースはあまりないかと思いますので注意しましょう。
何か注意点はある?
この補助金では以下のような点が注意点がありますので気を付けましょう。
※公募要領に細かい内容が書いてありますので、必ず確認してから申請するようにしましょう。
・M&A専門家を使う場合は、中小企業庁の定める「M&A支援機関」を使わないとこの補助金は使えない
・中小企業者と個人事業主しか使えない
・不動産業の場合は常勤従業員1名以上の引継ぎが必要(あくまで事業を承継している実態が必要)
・事業譲渡の場合経営資源一体での譲渡がされないと認められない可能性がある(ただの物品等の取引はNG。あくまで事業を承継している実態が必要)
いかがでしたでしょうか?
事業承継というのは差し迫って行うものでないことも多々あるので、期日を設定されるというのは逆にメリハリをつけて進められることにつながるかもしれません。
もらって損するような補助金ではないので、事業承継の可能性がある方は一度検討してみましょう。
参考 公募要領(外部サイト)事業承継・引継ぎ補助金
最後までお読みいただきありがとうございました!
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