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「中小M&A仲介を登録制にして優良業者を選別できる?!」筆者の見解

お悩み社長

経済産業省がM&A業者を登録制にする、って聞いたけどどういう影響があるの?
 

 

こちらの記事の通り、経済産業省が中小企業のM&A仲介をしている業者を登録制にするということが計画されているようです。

参考 中小M&A仲介を登録制に、経産省 優良業者を選別(外部サイト)日本経済新聞

 

これについて、中小企業庁が検討会の取りまとめ発表していますが、要約するとこんな感じです。

・公的な機関である引継ぎ支援センターに登録されている仲介業者の登録基準を見直します
・この登録を受けた業者を使った場合は250万円まで補助が出ます
・引継ぎ支援センターの職員も増員します
・M&Aに関する補助金を拡充します
・企業価値を評価するツールを提供します
・M&A仲介の自主規制団体を作ります
・中小M&Aガイドラインを普及させます
 
 
お国がM&Aでボロ儲けして評判の悪いM&A仲介業者を縛ろう、という趣旨なのかは分かりませんが、中小企業オーナーにとってはよい話ではあります。

 

ただ、筆者の感覚としては、もう少し強制力がある縛りができないと、仲介業者への不信感は消えないかな、と想像しています。

 

そんな感じで、今日は、

・そもそも、なぜM&A仲介業者に不信感を抱くのか
・不信感をぬぐい去るためにはホントは何が必要か
・実際それが今回の取り組みで果たされるのか
・で、結局中小企業オーナーはどうしたらいいのか

という内容でお伝えしておこうと思います。

 

これからM&A仲介業者を選ぼう、とか、M&Aの補助金を使ってみようとしている人にもお役に立てばと思います。

 

それではいきましょう!

 

そもそも、なぜM&A仲介業者に不信感を抱くのか

 

この「M&A仲介業者の登録制」の背景には、M&A仲介業者に不信感を持っている人が多くて、M&Aに踏み切れない人がいっぱいいる。だから、国が主導で働きかけて不信感を無くして、M&Aを普及させよう、という意図があります。

 

ここまで市場原理でM&Aが普及してきたわけですが、不利益を被る人がたくさん出てきたのでお国が登場したわけですね。

 

筆者が実際にお客さんから聞いている話では、不信感はこんな点にあるのではないかなと思います。

・手数料があいまい(着手金?成功報酬?なんで仲介会社によってバラバラなの?)
・そもそも仲介手数料が高すぎるし、計算方法もよく分からん
・いきなり契約させようとしてきたり、営業の仕方がすごい強引
・しょっちゅう「会社を売りませんか」とか「会社を買いませんか」というDMや電話が来る
・「貴社と資本提携したい先がいる」とか言って、実際会ってみたらガセネタ
・M&Aを進めてみたはいいけど、仲介業者が全然動かないし、ただのメッセンジャーボーイになっている。ほんとに専門家?

まだまだありますが、だいたいこんな感じです。

 

つまり、「手数料」と「営業方法」について不信感を感じるわけです。

 

実際、ほとんど同じことをしているのに、A社は手数料が2,000万円、B社が1,000万円だとしたら、「その差は何?」ってなりますよね?利用者目線では当然疑問に思うはずです。

 

ただ、仲介会社目線では少しアプローチが違っていて、「A社よりうち(B社)は知名度がないから価格下げとくか」とか、「売手は集客したいから、売手だけ価格下げとくか」とか、そういうレベルで報酬を決めています。当然、原価を考えれば1,000万円でも黒字のはずです。

 

B社については、それでもできるだけ報酬が欲しいので、計算方法をややこしくしたり、最低報酬をこまめに設定したりとするので、結局、仲介会社は各社バラバラの報酬体系になってしまったわけです。

 

不信感をぬぐい去るためにはホントは何が必要か

 

筆者が考えるに、こうした不信感をぬぐい去るための根本的な対策は、

・報酬設定を法律で規制する
・仲介会社やコンサルタント個人を免許制にして、情報漏洩やクレームなどの問題を起こせば免許をはく奪する

というような措置が必要ではないかなと思います。

 

不信感の多い不動産業などでは報酬上限が法律で定められていたりと、消費者保護の観点で規制が厳しくなった経緯もあります。M&A業界も同様に、徴収される仲介手数料に対する不信感は無くなるのではないかと思います。

 

また、クレームを頻繁に起こすような仲介業者を排除するために、免許制にして、ユーザーが通報できる仕組みなどもいいかなと思います(強引な営業については、元をたどれば頑張れば頑張った分だけ稼げるという「インセンティブ制度」が仲介会社内で設定されていることが原因ですので、こうした制度が無くせれば早い気がするんですけどね。。)。

 

どこも手数料が一緒だったら、手数料で仲介会社を選ぶことが無くなるので、コンサルタントの質や過去の実績だとかに目がいくでしょう。

 

 

実際それが今回の取り組みで果たされるのか

 

将来的には法律などもできるかもしれませんが、今回の「仲介会社の登録制」取り組みでは、「引継ぎ支援センターの登録基準を見直す」とか「自主規制団体を作ります」とか「ガイドラインを普及させます」といった内容なので、強制力はさほどないと思われます。

 

仲介会社は評判悪いけど、あんまり厳しくし過ぎてやる人減っちゃったら、M&A件数下がるしな・・・というお国の配慮なのかもしれませんね。

 

あと、報酬水準を法律で規制する、という点においては、今回の検討会でオブザーバーとして出席している大手仲介会社が猛反発するはずです。

今回オブザーバーとして出席しているのはM&A成功報酬が最低でも1,000万円~2,000万円などの仲介会社が多いので、自分たちの首を絞めるようなことはしないでしょう。

 

このようなメンバーで「自主規制団体」を作ることで自分たちの営業方法が拘束されるような規制は作りにくいでしょうから、拘束性はそこでは生まれないのでは、と筆者は思います。

 

 

で、結局中小企業オーナーはどうしたらいいのか

 

これから会社を売ろうとしてる中小企業オーナーは、今回の登録制はあまり過度な期待しなくてもよいと思います。

 

もし、登録制が始まれば、「できるだけ登録されている仲介会社を選んで、補助金を貰いましょう」ということにはなりますが、250万円程度の補助金で、2,000万円かかる仲介手数料の補填をしましょういっても焼け石に水程度なので、それであれば、そもそも仲介手数料が安い仲介会社を探しましょう、という状況は変わりません。

 

補助上限額を考えれば、目安としては手数料が600万円までの仲介会社を利用する場合には補助金を効果的に使えます。「仲介手数料」「補助率」「ご補助金額上限」を考慮して、有効に補助金を使うのもよいかと思います。

 

売手が賢明に仲介会社を選べば、問題のある仲介会社は淘汰され、結果M&A業界全体が健全になっていきます。

 

あと、企業価値を測るツールはどの程度の精度のものか分かりませんが試してみてもよいでしょう。仲介会社に企業価値算定をさせると、受託したい仲介会社はあえて高い株価を出して気を引く営業をするケースもあるので、自分でフェアな株価を調べてみる、という姿勢は重要です。

 

いかがでしたでしょうか?

会社を売ろうとしている方にとっては朗報ではありますが、あまり強制力がなさそうなので、本当に任せられそうな仲介会社を探す、という点は自分自身で色々調べる必要はあります。このブログではかなり本音ベースで書いてありますので、仲介会社選びやM&Aの進め方についてお役立ていただければ嬉しいです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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