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「M&Aで会社を売った後ってみんな何してるの?」引退した後の事例と注意点

お悩み社長

実際、M&Aで会社を売った後ってみんなどうしてるの?

 

M&Aを考え始めたときこんなことが気になるのではないでしょうか?

 

筆者が売手オーナーさんと会話していると、

「会社を売って気持ちが楽になるのはいいけど、別に次にやりたいことも無いしな~」

という方が割と多かったりします。

 

事業として何かやりたい(例えば、飲食店をやりたい!みたいな)ことがあれば、既に今の法人を使ってやっていることも多いですし、今の仕事に全力投球している方が多いので、「会社を売ってしまったらやりたいことは特にないけど、とりあえず世界一周旅行でもしようかな」みたいな方も多いです。

 

ここについてはそれぞれの人生なので答えが無いんですが、お金のやりくりはどうしてるんだろう?とか他の売手オーナーのその後が気になるところだと思います。

 

多くの経営者は自分が経営する会社から報酬をもらっているわけなので、会社を売却することでその収入も無くなることにも繋がりますからね。

 

 

今日は少し気が早いですが、こんな「M&Aした後の生活」に焦点を当ててみたいと思います。

 

 

本日の話題が役に立つ方

・会社を売った後、どうやって生計を立てるのか前例を知りたい方

・ゴールを決めてからM&Aに取り組みたい方

 

それではいきましょう!

 

 

M&A後、不動産オーナーになるパターン

 

筆者が色々お手伝いしてきた案件の中でも、一定額以上の金額でM&Aできたオーナーは割とこのパターンになるケースが多い気がします。

 

今まで人繰りの部分で大変な思いをしてきたので、「もう、人を雇って重荷を背負う商売はしたくない!」という考えになるのもとっても分かります(笑)

 

手元にまとまったお金がある状況で、人を雇わず一人でできる商売で、安定収入があって、あんまり手間のかからない商売、、、そうだ、不動産投資をしよう!と思うのは自然なのかもしれません。

 

筆者の過去やりとりをした売手オーナーさんのお話すると、

 

1億円で会社を売却した70代の夫婦は、奥様の方が不動産分野に結構知見のある方だったので、M&Aの決済(クロージング)の日の午後に早くも競売物件を見に行く予定を立てていたりとなかなか積極的に投資したい意欲を示されていました。

 

また、数千万円で会社を売却した40代の方は、そのお金を元手に区分所有の中古物件を買い、自分でリフォームして賃貸物件として貸し出す事業を始めました。

 

中には、M&Aで売却しようとしている会社に事業と関係の無い不動産を保有していたため、M&A前に会社を分割して、その不動産を保有する会社を資産管理会社として残しているパターンなんかもあったりします。

 

この場合は、M&Aでキャッシュを手にできる一方で、どのくらい賃料収入を生むか分かっている不動産を保有する法人が手元に残るので気持ち的にはとても楽な感じですね。

 

 

こんな感じで、不動産を持ち、M&A後の生活費を稼ぐようなプランを立てる方も多いようですね。

 

ただ、良い物件を探すのは容易ではないので、物件情報の入手にある程度知見やノウハウが無いと変な物件を掴まされてしまう可能性もあります。

 

不動産業者は1回ポッキリの商売なので、あまり信用せず慎重に手を出しましょう(笑)

(ちなみに、M&A業者もそうですが、1回ポッキリの商売は放っておくと業者側が無責任になりがちです。。)

 

不動産投資はロットが大きくなってしまいますので、上場株式や債券なども含めて分散投資しているよ、という売手オーナーさんもいらっしゃいます。

 

上場株であれば銘柄を選べば平均利回り5%で運用することは普通にできるので、1億円程度投資できるのであれば税金分を引いても普通に暮らしていける生活費は確保できそうですね。

 

とはいえ投資にはリスクがつきものなので、自分にとってリスクとリターンが合う投資先を考えてみましょう。

 

 

M&A後もしばらく売却した会社で働き続けるパターン

 

このパターンでは「働き続けたい」と「働かざるを得ない」の2つに分かれるような気がします。

 

まずは、「働き続けたい」というケースですが、大体は、

「資金繰りとかそういうことから解放はされたいけど、仕事自体は好きなので今まで通り続けたい」

という方が多いです。

 

割と職人気質の売手オーナーさんもいますが、営業や経営などには時間は割かなくてよくなるし、純粋に仕事に集中でき、更に給与が得られるという点では良いかと思います。

 

ただ、あまりに仕事にプライドを持ちすぎるあまり、効率化を重視する買手企業との間で軋轢が生まれ、「面倒な人」扱いされてしまうことになってしまうこともあり、これは会社にとってもあまり良いとはいえません。

 

この「面倒な人」にならないように、「経営権を譲渡したら、基本的にはどんな仕事でも指示通りに行わないといけない」ということは売手側として予め覚悟しておく必要があります

 

 

ちなみに筆者は、売手オーナーさんが「面倒な人」扱いになったケースと、そうでないケースを経験しています。

 

前者の場合は、金属部品製造の会社だったのですが、売手オーナー(前社長)はコンマ〇mmの加工技術などが自慢だったゆえに、買手企業の持ってきた量産品の仕事をやりたがらず、買手企業からしてみたら扱いづらい人になっていました。結果、しばらくした後、取締役も解任されてしまいました。

 

後者の場合は、電気工事会社だったのですが、売手オーナー(前社長)は生真面目な職人でしたが温和な方だったので、買手企業の持ってきた仕事に素直に取り組み、人材育成にも協力的だったので今でも取締役の地位で買手企業グループを支えています。

 

その後の会社の運命にも関係してきますので、「売ってよし」ではなく、今までの会社の問題を自分の責任として捉えて、それを良くしてくれるために買手企業が関与してくれているのだと感謝する気持ちが大切ではないかな、と思います。

 

 

次に、「働かざるを得ない」というケースです。

 

これは、M&Aの取引で売手オーナーの残留が必須条件になるケースや、会社を売却してもその後の生活に余裕が生まれないくらいの金額しか手にできなかったケースなどが考えられます。

 

前者は買手事情、後者は売手事情ですね。

 

買手企業がM&Aを検討するにあたり、元オーナーが会社に残っても嫌々働いているのであれば社内の雰囲気も悪くなるので、「辞めたい」と言っているのに無理矢理引き留めるようなことはしませんが、その元オーナーがいないと会社が回らないという会社なのであれば、それも総合的に判断してM&Aするかどうかを考えます。
(「売手オーナー個人に依存したビジネス」であり「売手オーナーが早く辞めたがっている」という状態の会社はそもそも買手が付きにくいです)

 

この場合は、売手側が腹をくくればM&Aが成立しますし、継続的に給与ももらえる可能性が高い話になってきます。

 

一方で、売手オーナーが今後も報酬が欲しいからと残留を希望しても、買手企業がそれを望まないというケースもあるので、その辺りはどの程度「売手オーナー個人に依存したビジネス」かどうかを冷静に見極める必要があります。

 

 

「働かざるを得ない」というケースについて、会社を売ってまでその会社に縛られるということに疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、M&A時に金融機関等の個人保証から解放されることで、経営の失敗で個人が金銭的なリスクを負う事を回避できたり、給与が引き続き得られたりと決してデメリットばかりではないです。

 

筆者もたまに、株価1円でもよいのでできるだけ早く会社を譲渡して個人保証外したほうがいいな、と感じる会社様をみかけたりはします。

 

売手オーナーさんは「売ってから生活どうするの?」というお考えで、M&Aを先延ばしになってしまうこともよくあるのですが、よほど会社が急回復しない限りは企業価値が落ちていく可能性が高い会社もあったりして、「安くても売って身軽にする」か「将来倒産して個人も自己破産もする」の2択が、将来的には「将来倒産して個人も自己破産もする」の1択になってしまったりします。

 

こうした「M&Aしてもその会社で働かざるを得ない」状態になっている原因は、他ならぬ「金融機関借入の多い事業運営」や「従業員に権限移譲できていない事業運営」ともいえますので、もし、会社を売却して夢のような生活を送りたい!と思っているのであれば、それ相応の事業運営を予めしておく必要があるように思います。

 

 

ちなみに、M&Aしたら会社を去るパターンのM&Aであっても、しばらくの間は引継ぎという形で売却した会社で業務が残っていることが多いので、「すぐに新しい事業始めよう!」とか「すぐに長期の海外旅行に出かけよう!」みたいなことは、できなくはないですが、しにくいと思っていた方が無難かと思います。

 

 

独自の夢を追いかけるパターン

 

これも少なからずあります。

 

親の代から続く会社を引き継いで今まで頑張ってきたけど、ホントは違うことがやりたかったという方が、M&A後に全く別の事業や趣味のようなことを始めるケースです。

 

前代から食品加工の会社を引き継いだが、とにかく釣りが好きだから、会社を売却して引退したら朝から晩まで思う存分釣りがしたい、という売手オーナーさんもいらっしゃいました。

 

この気持ちの中には、今の仕事から解放されたいという想いも強いものがあるので、M&Aを思い立ってから現職へのモチベーションを下げないように注意しておく必要があります。

 

M&Aってそんなにすぐできるものではないので、買手企業に渡すまでに会社が傾かせないように、「M&Aはできたらいいな」くらいの感覚で捉えておくとよいかもしれません。

 

 

また、別のケースで、売手オーナーさんの中には「自分は0を1にするのが使命」という志を持っていたりするケースもあります。

 

1つの事業を形にしたらM&Aで売却して、また新しい事業を1から着手して売却するまで経営を頑張る、というイメージです。

 

とってもエネルギッシュだなと感じますね。

 

若い方に多い印象ですが、事業承継でM&Aをした高齢な売手オーナーさんの中には、M&Aで手にしたお金で旅行も行ったし、家も車も買い替えたけど、なんか退屈だと新しい事業を始める方もいらっしゃったりします。

 

こういう方は今後も是非活躍していただければと思いますが、M&Aをする際の「競業避止」の制限は十分に気を付けましょう。

 

売手オーナーさんが会社を売って、今までの経験をもとに新しい事業に挑戦してみよう、と思って始めたことが、売却した会社と競合になってしまう、なんてことにならないよう競業避止は契約書上でもきちんと明記されています。

 

道義的にもダメですが、契約違反にもなるということです。

 

今後行う可能性のある事業については、M&Aの交渉の際にも買手側にきちんと伝えて、未然にトラブルを回避するように心がけましょう。

 

 

「自分の今後の必要資金」と「M&Aの希望条件」は分けて考える

 

M&Aで会社を売った後、そのお金で不動産投資をしたり、しばらくは会社で今まで通り働いたり、はたまた、全く新しい事業をしたりと、色々な方がいることをお伝えしてきました。

 

ただし、M&Aで会社を売却するときの希望条件については、ある程度現実的な条件を前提にしないと買手企業と交渉すら始まらないこともありますので注意しましょう。

 

中小企業のM&Aではよく、希望金額の理由について「老後●●円必要だと思うから」とか「新しい事業を始めるのに●●円必要だから」と仰られる売手オーナーさんがいらっしゃいます。

 

そのような気持ちはすごく分かるんですが、一旦横に置いておきましょう。

 

もし、M&Aで買手が見つからなければ何の問題もなく今まで通り会社を経営し続ける、ということならそういう目線感もアリなんですが、必要に迫られてM&Aをするのであれば、きちんと買手側にも納得できる条件で募集することが重要です。

 

今では気軽に無料で株価算定をしてもらえる時代ですので、希望する金額が相場としても高すぎないくらいに、会社の利益や純資産を積み上げる経営努力をして、準備が整ったらM&Aに取り掛かる、という発想もよいと思います。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

M&Aをした後、お金を持って自由になっている自分の姿を想像するとなんだか楽しくなってきますよね?

 

でも、あんまり夢を広げ過ぎると、M&Aの希望条件を1ミリも譲歩できないと意固地になってしまったり、本業にやる気が出なくなってしまったりするので気を付けましょう。

 

筆者も過去色々な売手オーナーさんと接してきましたが、これは本当にそう感じます。

 

「どう考えても乗っておくべき条件」を拒否して、後から後悔してしまう、、という現象は、こういう理想と現実のギャップから来ているように思ってならないところもあったりします。

 

きちんとM&Aはまとめつつも、第2の人生を謳歌していただければと感じます。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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