以前の記事で、M&Aで発生する費用についても利用できる「令和2年度の事業承継・引継ぎ補助金」についてご紹介しました。
概要的なことを確認したい方はまずこちらからご覧ください。
「M&A仲介手数料で使える!」令和2年度の事業承継・引継ぎ補助金まとめ(続報)
筆者も補助金事務局の方と会話する機会も増えてきたので、注意点についてお伝えし、申請方法についてもまとめたいと思います。
※詳細は公募要項・交付規定をご自身で必ずご確認いただくようにお願いいたします。
M&A補助金を申請しようとするならgBizID プライムアカウントが必須!
補助金を申請するならjGrants(Jグランツ)のgBizID プライムアカウントにまずは登録しましょう。
(登録には印鑑証明書が必要です!)
jGrantsとは経済産業省がリリースした補助金の電子申請システムです。最近では補助金の申請はjGrantsからということが増えてきました。
無料で使えますが、申請してからアカウントの取得まで時間がかかるので、補助金の申請期間中にアカウントが取得できずに申請できない、ということもありますので注意が必要です!
現在言われているのは、申請からアカウントの取得まで2~3週間かかるということですので、かなり前もって申請しておかないと間に合わないです。
下記補助金の申請期間を考えると、6/21で締め切りの3週間前なのでかなりタイトです。。
筆者が事務局の方に「これ、間に合わなかったらどうなりますか?」と聞いたところ、「2次募集(2021年7月中旬~8月中旬予定)があるのでそちらで申請してください」とのことでした。
ただ、まだ2次募集の募集要項は発表されていないので可能なら1次締め切りに間に合わせられるよう動きましょう。あとは、交付決定日以降にM&Aが成約する必要があるので、近々に成約してしまうという案件であれば急いだ方が良いと思います。
以下は、jGrants(Jグランツ)の登録方法になります。既に登録している人は読み飛ばして下さい。
jGrants(Jグランツ)登録方法
②画面中盤の「GビズIDを取得する」をクリック
③必要事項を記入、申請書を作成する
④申請書と印鑑証明書(法人なら法人の印鑑証明書、個人事業主なら個人の印鑑証明)を郵送で送付
入力自体は簡単です。
注意点としては住所の記載を印鑑証明書の通りに記入してください。
電話番号・メールアドレスも必要となりますので予めご準備下さい。
また、発行が3カ月以内の「印鑑証明書」が必要となりますので注意が必要です。
M&Aの補助金では以下の資料も必要となる可能性があるので、法務局に行く際には一緒に履歴事項全部証明も取得しておくことをお勧めします。事務局の方に確認しましたが、各1部でよいとのことです。
・印鑑証明書(gBizID プライムアカウントの取得で必要。3カ月以内に発行されたもの)
・履歴事項全部証明書(補助金申請で必要。申請日から3カ月以内に発行されたもの)
・住民票(補助金申請で必要。申請日から3カ月以内に発行されたもの)
ご自身がどの書類が必要なのかは、下の「必要書類チェックリスト」でご確認下さい。
「交付申請類型番号」がどれか分からない方は公募要領の9ページ目に記載があるのでそちらでご確認下さい。
事業承継・引継ぎ補助金の申請手順
事業承継・引継ぎ補助金の電子申請方法はこちらをご覧ください。
参考 電子申請マニュアル(外部サイトPDF)事業承継・引継ぎ補助金事務局
先程の「jGrantsポータル」から、「申請したい補助金」を検索します。
「事業承継」と検索すると次のような画面になりますが、M&Aの仲介手数料で使える補助金はこの赤枠の補助金ですね。
そして、上で作成した「gBizID プライムアカウント」を使ってログインし、申請を行うという流れです。
基本的には流れに沿って記入していけばよいのですが、分かりづらい部分について補足します。
・「補助事業」というのは、今回のM&Aのことです。
・補助金を使うためには補助事業期間内に補助事業(M&A)をしないといけないのですが期限は2021/12/31となります。開始は交付決定日なので申請時には決まっていません。事業終了日は2021/12/31で申請してください。
・「事前着手」というのはこの補助期間より前にM&Aの検討を進めるというもので、M&A仲介業者と「アドバイザリー契約」とか「仲介契約」を補助期間前に結ぶ(結んでいる)場合に
は事前着手有で申請が必要です。
・M&Aは基本合意くらいまで行かないとスケジュールが読めないところもありますので、現在の計画ベースで入力してください。判断に迷うケースは事務局の方に確認しましょう。
また、補助金申請が原因で情報漏洩しないようにしましょう。
申請担当者を記載する箇所がありますが、必ずM&Aに関与している方を指定下さい。M&Aを他の従業員の方には公表せずに進めている方も多いと思いますので、思わぬところでM&Aを検討している事実が漏れないように気を付ける必要があります。
他の注意点
一番気を付けないといけないのは、「gBizID プライムアカウント」の取得に時間がかかりすぎて申請期間に間に合わなかった、というものですが、次のようなことについても気を付けましょう。
交付決定以降に成約する案件であること
申請してから1か月程度で交付決定されます。
事務局の方のお話では、2021/8/中旬に一斉に交付決定通知がされるようなので、この交付決定を受けて補助事業(M&A)を進めましょう。話の早い案件ですと、交付決定通知が来る前に成約してしまう、ということもありそうですが、この取扱いについては事務局の方に相談してください。
申請できる金額は税抜金額
事務局の方の話では、申請金額は税抜表記でお願いします、とのことでした。
筆者は「免税業者の場合もそうですか?」と聞きましたが、「そうです」との回答でした。
ゆえに、補助金額は実費の2/3ですが、税抜費用の2/3なので、仲介手数料が税込550万円(消費税50万円)ということであれば、申請金額は500万円で補助金は満額でも333万円という計算になります。
事業譲渡の場合は、「常用する」従業員の異動があるかを厳しくみられる
例えば不動産の居抜き物件だけを事業譲渡する、Webサイトだけを事業譲渡する、というものは一応M&Aではあるのですが、補助可否の審査では厳しくみられそうです。
あくまで、譲渡の目的・必要性がちゃんとしていて、譲渡による効果や地域経済への影響が合理的に説明できるような案件が補助金で認めうるM&Aということですね。
費用の支払いは原則銀行振込
費用補填系の補助金は実績報告時に実費のエビデンスを求められます。銀行振込もそうですが、きちんと客観的に履歴の残る形で費用の支払をしましょう。請求書・領収書なども都度管理しておくことをお勧めします。
M&A仲介業者については原則2者以上から見積を取り、最低価格を提示した仲介業者を選定
レーマン方式以下の報酬だった場合には除外規定などもありますが、多くの中小企業のM&Aで発生する仲介手数料は「最低報酬」が適用されているケースも多いです。この「最低報酬」が妥当かどうかを相見積によって判断するということです。
同一案件で売手・買手両方が申請できる
1つのM&Aで売手、買手が両方補助金を貰える可能性がある、ということです。但し、基本合意までは複数の買手がいるケースも多いので、買手側は申請するタイミングについて事務局の方に相談しながら検討する必要があります。昨年度の制度とは違い、今年度は買手側にも事前着手届が認められているようなので、具体的なM&Aの検討フェーズにある買手企業はとりあえず申請しておくのがよいかもしれません。
実績報告は補助事業完了後15日以内!
M&Aの最終契約締結・クロージングが済んだら、すぐに実績報告しましょう。バタバタすると思いますので、申請に必要な書類は整理しておくことをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?
上記申請の手順については、必ずご自身で公募要領等をご確認いただき、不明点は事務局にご確認していただけますようにお願いします。
参考 事業承継・引継ぎ補助金(外部サイト)事業承継・引継ぎ補助金
注意が必要なことも多いので、時間に余裕を持って進めるようにしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました!