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「M&A仲介会社への転職はブラックだからやめた方がいい?」転職者は毎日電話するって本当なのか

 

こんにちは、M&A職人です。

 

最近、M&A仲介の転職も盛り上がりを見せているように見えます。

でも、異業種から始めてM&A業界へ入ってこようという方は不安も多いです。

 

「M&A業界に入ったらまず新規営業に配属される?」

「毎日電話して成果でなかったら干されるって本当?」

 

なんて声もちらほら。

 

筆者も過去M&A業界以外から転職した経緯もありますので、前職と比較してM&A業界ってどこが変なのか、どんな良いところがあるかはそれなりに理解しているつもりですが、おそらく何年も前に転職した人と、今転職しようとする人では環境も違うのではないかと思います。

 

筆者は長年M&A仲介を仕事としてしつつ、M&Aの実際のところをお伝えしていくという活動をこのM&Aいろは塾というブログで行っていたりもしますが、今日は、

「今M&A業界に未経験で入るなら」

というテーマで考えてみたいと思います。

ご参考いただけると嬉しいです。

 

転職した後は電話で新規営業させられる?

 

M&A業界に未経験者として転職する際、たぶん一番気になるのは激しい新規営業が待っているのでは?ということかと思います。

 

この点についていうと「入る会社によっては新規営業しかやらせてもらえない」というのは事実だと思います。

 

M&A仲介業務というのは、M&Aコンサルタントが最低限身につけておくべき知識やトークに重みを持たせる経験というのがどうしても必要になります。それゆえ、そういった知識や経験が無い未経験者でもできる業務として、M&Aの売手や買手のフックをするという業務をやらせよう、と経営側は考えるのです。

以前、某仲介会社で、未経験者が入社後新規営業に配属され、そこで成果が出ない社員は退職に追いやられるという話もありましたね。

 

この新規営業とは具体的に何か、というと、知らない会社に電話をかけ「M&Aで経営問題を解決しませんか」「貴社と資本提携をしたいとご検討の会社がいるのですが」と入り込み、興味を持ってもらったらアドバイザリー契約なり仲介契約を取りに行く、というものです。あるいは、会社のお問合せフォームにひたすら定型フォーマットを打ち込んだり、DM作成・送付を繰り返すというようなものです。

 

ただ、こういった営業は国内に数千社いる仲介会社が毎日のように同じことをしてくるので、お客さん側としては「またか」「M&Aの営業うっとおしいな」と思う方も少なくないです。

 

なので、そう簡単に契約が取れるものでもないですし、社長に取り次いでもらえずに受付で断られることも多いです。毎日数百件電話をする、という営業マンも普通にいます。

 

難易度的には、不動産の営業とかウォーターサーバーの営業とかそういう類の競合感でしょうか。

 

ある程度鉄のメンタルがないと「自分って営業に向いてないのかな」とか「M&Aに向いてないのかな」と落ち込んでしまう転職者も多く、実際にM&Aコンサルティングに入る前に退職してしまうこともしばしば。

 

でもこれは営業の素量や能力というよりは、成果物が示せないM&Aというそもそも難しい商材をレッドオーシャンの中で売り込むというアグレッシブなことをしているだけですので、無意味なキャリアを作ってしまったなくらいの反省でよいかなとも筆者は思います。

 

M&A仲介業界というのは、いかにお客さんをその気にさせてだまくらかすか、みたいな低レベルな新規営業も横行しているので、自頭が良くて性格的にも仲介者向きの方より頭は良くないけど人当たりがよく成果の為に新規営業を無心でやりきれるようなタイプが生き残っていたりもする業界です。

 

この新規営業という最初のハードルでつまずいて脱落してしまうという方も結構多いかと思うので、人によっては入社する会社を間違えないことが重要かなと思います。

 

どういう仲介会社に入ったら成長できる?

 

よく転職先を選ぶ際、「この会社に入ったら成長できそう」とふわっと考える方もいると思いますが、「成長できそう」という内容はもっとよく考えた方がいいです。

 

前述したようなただひたすら新規営業する業務を「成長できる仕事」とするのは、M&A仲介を長年してきた筆者からすると「仲介会社側の都合」「やりがい搾取」という印象がしています。

 

だって、新規営業ばかりしていた人は別にM&Aコンサルタントでもなんでもないからです。専門家ではなくアポインターです。

 

あらゆる営業職を経験して、「どんなレッドオーシャンでも仕事を取ってくる」というスキルを愚直に高めたいというドM体質の方であれば別ですが、専門家としてのキャリアを作っていきたいのであれば、こういう新規営業のキャリアは無駄な時間になるかもしれません。

 

もしM&Aコンサルタントとして成長したいのであれば、こういう会社を選ぶとよいと思います。

・新規営業はしなくてよい

・先輩コンサルタントと一緒にエグゼキューション工程を経験させてもらえる

 

こんな仲介会社あるの?と思うかもしれません。

 

実際、新規営業が前提の仲介会社の方が求人が多いと思います(だって、みんな嫌で辞めるから)。

 

でも中には、会社として新規案件を半自動で受託できるような仕組みがあり、受託してから成約に持っていくための人員を募集している会社もあります。

 

こういった会社に入社すれば、受託した案件を成約に持っていけるような人材が求められるわけですので、エグゼキューションというM&Aコンサルティングの肝の部分に早く従事できますし、実際に成約する場面にも立ち会えますので、成約していくイメージ感も腹落ちすると思います(当然会社としては求職者選定の際、未経験者よりも経験者を優遇するはずですが)。

 

同じタイミングで転職した人でも、エグゼキューション工程にいきなり見習いでも投入された人と、まずは新規営業に投入された人では、1年後の差が間違いなくはっきり出ると思います。

 

もし「新規営業は自分のタイプ的に合わないな・・」と思っているのであれば、入社した後行う業務は何かを面接後にきちんと聞くのがいいと思います。また、面接の時に聞いた話と齟齬が出ないように、どちらかというと本質的な質問をした方がいいかもと筆者は思ったりします。

 

こんな感じの質問です。

 

「御社は案件ソーシングをする際はインバウンド営業(プル型営業)ですか?アウトバウンド営業(プッシュ型営業)ですか?」

 

アウトバウンド営業しないと仕事がこない会社ですか?それとも何等かの情報発信や他社からの紹介などで仕事が賄えている会社ですか?と暗に聞く感じですが、前者の場合は当然入社後新規営業に投入される可能性が高いと言えます。

 

アウトバウンド営業で募集している会社の方がインセンティブなどが充実している可能性があったり、平均年収が高額な会社だったりするかもしれませんが、M&Aコンサルタントとしての成長速度が速いかは怪しいですし、脱落率も高いのでこの辺は求職者が何を優先するかという話かと思いますね。

 

M&A仲介業界は経営者の色が強い会社が多い?

 

M&A仲介業界は、大手の会社でも創業者の色がめちゃくちゃ強いのが特徴です。良くも悪くも。

 

M&A仲介自体、比較的新しい業界なので、代が変わり創業者の子どもが代表になるというようなことがまだあまり起こっていません。規模が大きくなればなるほど、ゴリゴリ営業をしてM&Aで稼いで、従業員も増やしてきたということを自負している経営者が多い印象もありますかね。

 

それでいて、M&A業界は厳しい規制や法律もあまりない無法地帯なので、「我が覇道が正義なり」みたいな人もいたりします。

 

こういう会社が多いので、普通の大企業と同じような感覚で入社するともしかすると違和感を抱くかもしれません。

 

社長に嫌われたら会社に居づらくなる、成果が出ないと他の社員から見下される、みたいなことは普通ですし、社会的にそれはやりすぎだろ、やったらマズくない?ってことも会社的にOKになっているケースもあったりと、コンプラ的に激弱な業界かもしれません(第二のビッグモーターみたいなことにならないといいですが・・)。

 

逆に言えば、社長の考えに共感できればその会社について理解がし易いともいえるので、できれば入社前の最終面談などで社長と会話できるといいですね。

 

所得水準はまだまだ高いけどレッドオーシャンは覚悟が必要

 

M&A業界は平均年収が高いから、ということで転職者が後を絶ちませんが、今ではかなりレッドオーシャンな状況になっているのでそれは覚悟して転職するのがよいと思います。

 

なぜ平均年収が高いかというと、顧客から徴収する手数料が非常に高いからなわけですが、この手数料水準で今後も運営できるのかは今後の年収にも関係するところだと思います。

 

実際、大手仲介会社のIR資料でも案件平均単価が下がっているような会社もありますがこれは年収にも影響するでしょう。

 

早期に中身のある経験を積んで独立する、というのも一つですし、M&A以外の要素も入れつつ独自性を出していくなども一つだと思います。

 

単に「会社売りませんか」では仕事は取れないという現状は知った上で、どんなキャリアを作ってどう稼いでいこうか、ということを考えた上で、転職先を決めていくことをお勧めします。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

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