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M&Aいろは塾を作ったきっかけ

M&Aいろは塾は、M&Aで会社を売ろうとしているオーナー様向けに、M&A業界のリアルな情報をお伝えしているサイトになりますが、今回は筆者がこのサイトを作ったきっかけについてお伝えしていきたいと思います。

 

当ブログの記事を書いている筆者の”人となりと考え方”を理解していただく記事なので、こういう考えのコンサルタントもいるんだくらいの気持ちでお読みいただけると嬉しいです。

 

筆者がどんな料金・考え方でM&A仲介をしているかについては、こちらもご参考ください。

M&Aいろは塾の筆者が行うM&A仲介サービス

 

M&A業界は怪しい業界になりつつある

 

突然ですが、筆者は過去6回くらい引っ越しをしています。

 

引っ越す度に不動産仲介業者に行くわけですが、そこでは毎回嫌な思いをしているような気がします。

 

それは、仲介業者が「できるだけ手数料を取りたい」のがみえみえな営業で強引に特定の物件を勧めてきたり、「これだけ払ってくれたら先約がいますが交渉します」という変な交渉を持ち掛けてきたり。

 

挙句の果てには、明らかに仲介業者に落ち度があるようなことが起きても開き直ってきたり、契約後は知りませんみたいな態度を取られたりしました。また、退去の時も、契約時には返ってくると説明を受けていた保証金が返ってこず、「文句があるなら裁判もできますがもっと高くつきますよ」と言われ、学生の時ですが泣き寝入りしたこともあります。

 

皆さんも経験あるのではないでしょうか?

 

さすがに何回もこのような経験を積むと、単に担当者が良くないというよりも、業界そのものが異常な業界なのではないかなと思うようになってきました。

 

構造的に、不動産業というのは一般消費者にとっては一回ポッキリの取引になります。

 

家なんてそんなに何度も買うものでもないですし、部屋を借りるにしても同じ場所で何度も引っ越すケースは稀です。

 

だから、不動産業者にとってみれば、「その取引さえ完了してしまえば、後でどういわれようが関係ない」という意識でひたすら利益を追ったり、そんな人達に囲まれて、早く成績を出さないとという意識から、「不動産取引なんてこういうもの」と割り切って仕事をしている人が非常に多い気がします。
(もちろん、そういう人ばかりではないと思いますが、筆者は「多い」と感じています)

 

筆者はこういう人らに正直嫌気がさしてますし、不誠実な方にはできれば関わり合いたくないというのが本音です(笑)

 

不動産業は歴史も長いですが、色々法律やらガイドラインもできたりしているのに、不動産取引を巡る消費者のトラブルが多いのはこういう業界構造自体に問題があると筆者は思います。

 

 

M&A業界はどうでしょうか?

 

会社を売る経験なんて人生であったとしても1回あるかないかです。売主側についてはリピートなんて普通ありませんし、サービスの特殊性から他の仲介業者との比較なんて簡単にできません。

 

さらに、M&Aコンサルタントは特殊な資格がいる訳でもなく、規模の小さいM&Aでも成約すれば数百万円、それなりの規模になってくると数千万円以上という報酬が手に入るという業界です。

 

あれ、これって不動産業界と一緒なんじゃないの?と筆者は思いました。

 

一回ポッキリの取引で稼いだらさようなら、のやつ。

 

で、案の定、「コンサルタントと言いつつメッセンジャーボーイになっているだけ」、「交渉の相手方の味方っぽいことを言ってくる」、「連絡が途絶えた」、「不信感しかない」みたいなクレームが大量に発生しているというのが今の現状です。

 

最近では大手M&A仲介会社を中心に自主規制団体を作る取り組みなども始まっていますが、そもそもM&A業界では大手仲介会社が大規模に色々な問題を起こしている張本人なので、誰がどういう立場で規制しているのかもよくわかりません。これって自民党が裏金問題を起こしているのにろくに説明もせずに、「不記載」という表現を歪曲させて、挙句の果てに法律を改正したから「きちんと対策しました」と開き直ってる感じに似てて、なんだか白々しいです。

 

また、どの仲介会社も不動産業と同じようにインセンティブで従業員のモチベーションを上げる仕組みを導入してしまっているので、個人の利益最優先の不動産業界っぽい胡散臭さが劇的に変わることは普通に考えて期待できないと思います。

 

なので、根本的にはよっぽど倫理観が優れているプレーヤーだけにするか、法律でガチガチに縛るか、どっちかしかないくらいの話ですが、筆者は現状難しいと思っています。

 

倫理感や行動規範については規則を作っても形骸化しやすいのと、不動産と違って会社の売買は負債も一緒に株式を引き継ぐというケースもあるため、取引金額に応じた手数料設定に規制をかけにくいという特徴もあります。

 

そんな状況にヤキモキした結果、筆者はあくまで消費者目線で、「こういう怪しい業界と関わりたくないな」と不信感いっぱいの売手オーナーに「こんなところに注意した方がいいよ」「こういう形であればM&Aは悪くないよ」ということを伝えたい、と思ったのが、M&Aいろは塾を作ったきっかけです。

 

 

M&Aって終わってみないと「どのくらいのサービスが必要だったか」が分からない

 

想像していただける分かるのですが、M&Aコンサルタントの仕事は、M&Aが終わってみないとそのサービスの評価ができないです。

 

「適切なタイミングで適切なアドバイスはもらえたか」、「アドバイスの内容は正しかったか」、「自分の理解度に併せた説明の仕方だったか」、「極端にリスクを負わされてないか、リスクを負う場合は自分が納得した上で判断したことか」、「仲介なのであれば自分が交渉されたり、相手に交渉したりしたことは無かったか」などなど。

 

でも、こんな事前に確認のしようのないことが、M&Aコンサルタントを選ぶ超重要な要素です。

 

とはいえ、仲介会社と報酬を決めるのはM&Aが始まる前になるので、「どんなサービスを提供するかわからないけど、報酬は決定する」というのが実務上はほとんどです。

 

この結果、顧客側はとっても不安定な状態になりますのでまずはこの状態を理解するのが変な仲介会社に騙されない為に重要です。

 

手数料については、M&Aコンサルタント自身が正しく自分の提供できる価値を客観的に理解して、それぞれ適正な値付けをしていれば問題無いのですが、「M&Aってこのくらい稼げるもの」という考え方で値付けしている業者が大手含めて非常に多い印象なので、最終的に顧客側からみて「提供されたサービスと支払う報酬額がミスマッチだった」という意見が多くなるのは実は当たり前なのです。

 

仲介会社としては、そのお客さんの満足度が次の自分たちのビジネスにそれほど影響を及ぼすことにならないので、特に評判を気にせず、また同じことを他の新規のお客さんにも繰り返すということになります。

 

いわゆる「焼き畑営業」です。

 

単純に売上と利益を求めていくのであれば、お客さんから取れる分だけ手数料を徴収して、できるだけ早く成約させて次の案件に着手するのが合理的、という発想になるのかもしれません。

 

こういう発想なので、手数料をホームページに記載せず、お客さんの足元をみた値付けをする仲介会社が大手でも普通にやっています(最近は中小企業庁の指示でしぶしぶ公開されていますが)。また、迷惑顧みず、とにかく受託件数を増やすために、なりふり構わずDMやら電話をしまくるというのもM&A業界では日常茶飯事です。

 

結果、仲介会社を選ぶ側としてみたら、「どこにお願いしたらいいのか分からん」「まともな業者はおらんのか」という状態になり、やがてM&Aは怪しいということを思い始めるわけです。

 

筆者としては、M&A自体は当事者が全員ハッピーになるとっても良い手段だと思っていますし、そもそも後継ぎのいない会社が行きつく先は上場か廃業かという中で、M&Aも選択肢に入るのはとても可能性が広がる話になると思っています。

 

なので、「M&Aは怪しいからやらない」という想いにならないように、筆者はM&A業界の仕組みを多くの人に理解してもらおうと思っています。

 

M&Aいろは塾を批判記事っぽく見る人もいますが、書いてあることは実は当たり前のことしか書いていません。

 

筆者は他の業界での実務経験があるのでM&A業界がどれだけ違和感があるか分かった上で書いていますが、M&A業界に毒された人からすると批判に感じてしまったり、「業者だけが知っていることをバラすなよ」と否定的な感情を持つようになってしまうのは大変残念だなと感じます。

 

 

仲介手数料が高すぎる

 

色々な仲介会社が「後継者不足に困っている中小企業を一社でも多く救いたい」というメッセージで活動しているように見えますが、手数料水準から考えると「そもそも中小零細企業相手に商売しようと思っているの?」と疑問に思うような設定がされています。

 

業界でよく使われるレーマン方式という料率があり、定義は様々ですが、例えば「譲渡金額5億円以下は5%」ということを考えると、一部の仲介会社が最低報酬で設定している2,000万円とか2,500万円とかの金額は、譲渡金額が4億円とか5億円とかで成約する水準感です。

 

譲渡金額が4億円や5億円で売れる中小企業が一体どのくらいあるのでしょうか。

 

筆者はおそらく数百社以上の中小零細企業の財務を見てきましたがそんな会社は少数です。

 

でも「最低報酬額」というくらいなので、譲渡金額が1億円だろうが5,000万円だろうが、数千万円という高額な仲介手数料を徴収するわけです。

 

本来株主が得られるはずの創業者利益からこれほどの金額を徴収されているのが従来のM&A仲介です。これらを踏まえると、高額な報酬を取る仲介会社は小規模・零細企業にとって利用しずらいといっても良いと思います。

 

なぜこんなに手数料が高いのでしょうか。

 

筆者は以前こちらの記事でも書きましたが、普通にM&A仲介事業をする分にはそれほどコストはかかりません。

M&Aの費用が高額な理由【原価を大公開!】

 

それにも関わらずかなり割高な仲介手数料を設定している会社も多いです。

 

これは、「同じ手間をかけるなら手数料が高い方がいいんじゃない」と考え、少しでも規模が大きい案件を追い求めていき、手数料もできるだけ取ろうとなっているに他なりませんが、この利益率が他業界に比べて非常に高いのは上場仲介会社のIR資料でも明らかです。

 

「一社でも多く救いたい」「後継者不在の会社に寄り添いたい」と言いつつ、こういう動き方になっていることも、不信感を与えている原因なのではと筆者は感じています。

 

それと同時に、「M&Aコンサルティングなんてそれほど原価がかからないんだから、横並びの手数料設定やインセンティブとかそういう考え方をやめたら、高い最低報酬を設定しなくていいんだから、常識的な値段でサポートできるのでは?」と考えました。

 

筆者は自社でM&Aのお手伝いをするときは売手側の最低手数料を300万円で対応していますが、かたや大手の仲介会社になると最低手数料で2,500万円やら3,000万円やら提示しているので、ぼったくりバーの方が易しいんじゃないか、とすら感じている節があります(笑)

 

これ、逆に、良く調べもせず仲介会社を選ぶと、その差額分(両手仲介なら差額分×2)だけ損することを知った方がいいです。

 

数千万円とかあれば家だって買えますよ

 

 

匿名でブログをしている理由

 

このブログを匿名で運営している理由は、M&A業界の舞台裏も熟知した筆者が自由に自分の意見を伝えるためです。忖度なしで、おかしいものはおかしいと言いたいわけです。

 

M&A仲介業者の中には、「仲介が売手からも買手からも手数料を取ることを知られたくない」という人や、「仲介手数料において最低報酬額がどういうものか詳しく知られたくない(できれば、着手金・中間金無料という謳い文句に飛びついてほしい)」という人などがいます。

 

筆者がブログで伝えているのは「仲介なら売手からも買手からも手数料を取るのが一般的です」ということや「最低報酬金額が高額であるにも関わらずそうでない仲介会社よりも安く見せようとする仲介会社がいる」という事実ですが、そういう業者からのやっかみを防ぎたいのもあります。

 

 

 

色々と筆者の想いも伝えてしまいましたが、「なんかこの人のいうことは本当のことを言ってそう(筆者は100%本当だと思って書いてます)」「仲介会社から営業を受けてもやもやしてたけど霧が晴れた」と言ってもらえることも多いので、悩みがある方はご相談いただいても極力返します。

 

コンサルタントや仲介会社も色々なので、色々お話されるのも良いと思います。是非納得するようなM&Aを実現していただければ筆者は嬉しい限りです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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