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M&Aの仲介会社に不信感がある時に読む話

お悩み社長

M&Aの話で騙されてないかとにかく不安です…

 

初めてのM&Aで慣れない話も多いので「騙された!」とか「詐欺にあった!」と思うこともありますよね。

 

今日はそんな話題について、本当に騙されているのか、普通のことなのか、解説していきたいと思います。
(ここで書ききれるのも限界があるので、触れてない話題で騙されたか知りたい方はお気軽にいろは塾にご相談ください)

 

よくいただく、騙されたと感じるは以下のようなものが挙げられます。

✔ 仲介会社に着手金を支払ったのに全然買手を連れてこないし、コンサルタントは全然来てくれない
✔ 仲介会社はすぐに成約すると言っていたのに全然成約できない
✔ 仲介会社に試算してもらった株価算定よりも、実際の買手企業の提示金額が思いっきり安い
✔ 口頭や意向表明書で提示された金額よりも、買収監査後だいぶ安い金額で提示された
✔ 仲介会社から当初聞いていた話よりも高い手数料を要求された
✔ 最終契約書締結の段階で今まで聞いていなかった保証を負わされることになった

 

一つ一つみていこうと思います。

 

仲介会社に着手金を支払ったのに全然買手を連れてこないし、コンサルタントは全然来てくれない

 

これは非常に多い相談です。

 

大手のM&A仲介会社では、着手金として100~300万円取る場合などもありますが、あくまでこれは「売手企業を分析し、資料作成し、買手企業に打診をする」コストとして返還しない前払費用という位置づけのようです。

だから、返還不可などの文言がアドバイザリー契約などの契約書に盛り込まれていることがほとんどです。

 

筆者の知るところでは、上場しているM&Aの仲介会社でも受託して一年内に成約する確率は良くても50%というくらいの水準なので、決まらない案件は売手企業からしてみたら不満が溜まるのも分かります。

 

ただ、場合によっては次のようなケースで決まらない案件になってるケースもあるので、あなたの会社がそういう状態になっていないかは一回考えてみる必要があるかと思います。

・売手企業の価格目線が高すぎる
・売手企業に魅力がない(収益力が無い、技術力がない、従業員が高齢過ぎる、等)
・売手企業に致命的な何かがある(反社であることが明るみになった、労働組合に加入している 等)
・売手企業の業界全体でM&Aが盛んなため埋もれている
・仲介会社のコンサルタントが活動していない

 

最後のは論外ですが実は意外と多いです。手数料目当てで契約するような仲介会社は最悪ですが、少し知っている買手企業に打診して全部NG食らったので塩漬けになっている、ということは良くあります。

 

コンサルタントが来てくれなくなるというのは、買手企業の打診状況を聞かれたくない、すなわち意欲的に買手企業探しをしていない可能性もあるので、活動状況を聞き、買手企業があなたの会社にNGを出している理由などを確認しても良いでしょう。

 

買手企業探しで全然動いてくれないようなら早いタイミングで契約の合意解除も視野に入れた方が良いかと思います。

 

 

仲介会社はすぐに成約すると言っていたのに全然成約できない

 

これは仲介会社の説明が悪かった、という一言でしょう。

 

そもそも成約するかどうかは、最終契約を結んだ後ですら確実ではない(株式譲渡なら資金決済して株を譲渡して初めて確実な状態といえる)ので、すぐに成約できるなんて言えるわけではないのです。営業上のリップサービスみたいなもんです。営業の仕方に問題があるといってよいでしょう。


また、”すぐに”という時間軸も人によって違いますので、最初の段階でスケジュールは認識合わせしておくべきでしょう。

 

一般的な株式譲渡の案件では、規模にもよりますが買手企業が順調に見つかったとしても半年くらいは普通にかかるものなので、1カ月くらいで決まるケースがあることを良くあることのように言う人は、本来必要な工程を省いて対応しているような人やそもそもM&Aの流れを理解していないブローカーのような人かもしれませんので安易に信用してはいけません。

 

 

仲介会社に試算してもらった株価算定よりも、実際の買手企業の提示金額が思いっきり安い

 

この原因は、色々考えられますが、「仲介会社の試算が甘い」ということが可能性として大きいような気がします。

 

近年ではM&Aの仲介会社や銀行、税理士などでも株価の試算をサービスの一環として取り入れる会社も増えてきましたが、大体は「純資産プラス営業権」「類似会社比較」で評価する会社が多いです(ここではこれらの試算方法について詳細は割愛させていただきます)

 

これらの評価方法自体は何ら悪くないのですが、例えば純資産に毀損が無いか、とか、退職金は本来積み立てるべきではないか、とかの考察なく試算したり、参考にすべき類似会社を適当に選んだりすることで、場合によってはとんでもない株価が計算上出てしまうこともあります。

 

しかし、コンサルタントの経験値が未熟な場合は平気な顔をして、こんな感じです、などと実際よりもかなり高い株価試算を提示していたりします。

 

筆者はこれを、“誰も幸せにならない進め方”だと考えています。

 

だって、そんな金額では売れもしないのに、売手企業の期待値を上げたにも関わらず、実際はそれより低評価な回答しか来ず、時間を無駄にするか妥協するしかなくなるからです。

 

高い株価試算を出してくる会社に任せたくなる気持ちも分かりますが、算定根拠や背景の説明は必ず確認するようにしましょう。

 

 

口頭や意向表明書で提示された金額よりも、買収監査後だいぶ安い金額で提示された

 

これは違反行為では無いのですが、道義的に問題ある可能性もあるので、粛々と値下がりの理由を詰めていくことを考えましょう。

 

大体のM&Aは書類で検討→トップ面談→買手から売手に意向表明の提出→基本合意→買収監査→最終契約、という順番で、買収監査によって、買手企業は売手企業の重要な情報を知ることになります。

 

買収監査前にやり取りする金額の情報というのは、買手企業からしたら、

「詳しくは調べてみないと分からないけど、今知っている情報をもとに考えたら〇〇円くらいかな」

という意味合い程度のものなので、ここに何ら法的な拘束力はないです。

 

金額が下がる原因としては、買収監査によって値下げせざるを得ない情報が発覚した、か、最終契約前に交渉したい、というところですが、後者の場合は足元を見られている可能性もあるので、あなたの会社の置かれている状況を踏まえ対応するようにしましょう。

 

買手企業の中では、わざと高い価格を出して基本合意で1対1の交渉に持ち込み、他の買手候補を排除してから価格交渉するという会社も稀にいたりもしますが、実際には買収監査にもそれなりの費用が買手企業の負担で発生することを考えると、成約確度を下げる価格交渉は気軽にできることでもないため、紳士的に交渉が進むケースが多いものです。

 

 

仲介会社から当初聞いていた話よりも高い手数料を要求された

 

これはアウトですね。

 

仲介会社との契約書は一番最初に締結することが多いですが、そこに報酬についての記述があります。それよりも高い手数料を請求するということは契約違反なので、あくまで契約書をもとに話し合いをしましょう。

 

そもそもが多くの仲介会社で使われている「レーマン方式」というのが分かりにくいものなので、契約書でもきちんと理解しつつ、いくらで譲渡した場合いくらの手数料なのか、は都度確認するようにしましょう。タイミングとしては、「最初の株価算定時」「買手企業からの意向表明提出時」「買手企業からの最終条件提示後契約締結前」です。

 

つまり、交渉の段階で提示価格の話が挙がる度に都度成功報酬を確認すれば良いわけです。メールとか資料など証憑を残しておくと万全ですね。

 

成功報酬ではない部分、例えば交通費などでも揉めることがあるので、こちらも仲介会社との契約書をベースに話をしましょう。普通の仲介会社では、本来成功報酬以外には交通費くらいしか発生しないものなので、妥当な費用なのかは目を光らせてみることも重要です。

 

余談ですが、仲介の立場でありながら売手に対して「希望は〇〇円ですがそれより多い〇〇円で交渉できたら、その〇%をバックしてほしい」という変な交渉を持ちかけてくるコンサルタントも世の中にはいます。これはどう考えても利益相反行為なので仲介会社として信用を落とす行為ですし、バックする口座をコンサルタントの個人の口座にしたりして懲戒解雇になる事例もたまにあったりします。

 

 

最終契約書締結の段階で今まで聞いていなかった保証を負わされることになった

 

最終契約書というのは、仲介会社がいたとしても、彼らの話を鵜呑みにせず、自ら一言一句、目を皿にして確認しましょう。ここでは多少お金はかかりますが、スポットで弁護士を雇うのが万全です。

 

基本的に最終契約書の位置づけとして、買手企業はお金という間違いないものを支払うが売手企業は事業や会社という不確実なものを譲渡するという取引をするわけなので、売手企業側が特に色んな保証をさせられること自体はおかしい話ではありません。

 

ただ、強めの拘束や損害賠償義務を交渉するケースもあるので注意が必要です。

 

経験値のあるコンサルタントであれば、最初の相談の段階で売手企業側のリスクを知った際、最終契約書でのインパクトも伝えてくれることもありますが、買手企業とのメッセンジャーボーイのようなコンサルタントだと一番最後の場面でとんでもない保証の話が降ってかかるということもあるかもしれません。

 

契約書については、あなたが全責任を負う、という前提で読み込むものという認識をもちましょう。

 

ちなみに、一般的な最終契約書では、「完全合意」という聞きなれない文言もあります。これは、「交渉の段階で言ったか言ってないか、に関わらず、契約書に盛り込まれていないことは主張したらあかん」という趣旨の文言です。それゆえ、最終契約書だけはゆっくり時間をかけても良いので、理解し腹落ちできるまで読み込むようにしましょう。

 

いかがでしたでしょうか?

 

もし身近でM&Aをやったことがあるという方がいれば相談してみるのも良いでしょう。かなり強力な助っ人になってくれるでしょう。

 

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