お悩み社長
前回、大阪で同様の記事を掲載しました。
「大阪でM&Aをするならこの仲介会社がオススメ」という記事は疑ってみたほうが良い理由
ステルスマーケティングをするような会社は大阪だけでなく、全国各地で同じような手法で売手企業を集客しているので、今日は名古屋についても取り上げてみたいと思います。
そもそも、ステルスマーケティングって何?っていう人はこちらの記事をご参考下さい。
「検索でよく出てくる仲介会社を選ぶ落とし穴」M&A業界でステマ(ステルスマーケティング)が横行している理由
M&Aというのは成果物が分かりにくいので、そもそもランキングで順位付けできない、というのが筆者の考えですが、巷には、あたかも客観的な意見として「この仲介会社がオススメ!」と自分の会社をゴリ押しする仲介会社が多いので問題だと思っています。
なので「この仲介会社がオススメ!」という記事を見つけたら、まず「一番ゴリ押しされている会社が自分で記事書いてるんじゃないの?」と疑ってみることをお勧めします。
「手数料が一番安い」「従業員数が一番多い」などであればどんな人がランキングを作っても大体一緒になるのですが、「専門的」「短期間でM&Aを成約した実績がある」とか抽象的な理由でランキングを作ると恣意的なランキングになり、ネットでプロモーションが上手な仲介会社が一方的におすすめされているように見せることができるわけです。
これがM&A仲介会社をネットで比較検討する上で、ユーザーを混乱させている最大の要因になります。
本日の記事が参考になる方
それではいきましょう!
その地域でオススメという仲介業者こそオススメできない理由
中小企業でも、遠方の会社同士が普通にM&Aをする時代です。
「特定のエリアだけでM&Aを支援してます」、という会社は、「遠方の買手企業を探してこない」ということと等しいように思います。
当然ですが、遠方の買手企業を紹介できない仲介業者に依頼をすると、買手企業の選択肢が狭まり、場合によっては譲渡条件も妥協しないといけなくなる場合があります。
M&Aの手法は別に他県に行ったからといって変わるわけでもないので、全国規模で動ける仲介業者を選ぶべきです。
あと、ネットで仲介業者を比較している方は、オススメの根拠については厳しく見るようにしてください。同業者である筆者からみても、全然他社への比較優位になっていないなと思うような理由を挙げているケースが散見されます。
例えばこんな感じです。
「専門家が数多く在籍」
⇒M&Aコンサルタントは専門家でないと務まりませんので当たり前です。会計士・税理士の在籍数をアピールしているのであれば、社内に何名在籍しているのかを他社と比較する必要があります。
「完全成功報酬」
⇒着手金などが発生しないのは良いのですが、成功報酬や最低報酬の金額は他社と比べて安いのか高いのかが重要。完全成功報酬だけど高額な最低報酬額の設定があり、小規模案件なのに手数料が法外に高い、というケースも多々あります。
「地元の買手をよく知っている、買収ニーズをたくさん持っている」
⇒地元の買手の方が取引条件が良くなる、というのは誤りです。むしろ、その地域に進出したがっている買手の方が良い条件で取引できるケースも多いです。また、買手からの買収ニーズは日々変わるので、昔聞いた買収ニーズを持ち歩いているような仲介業者は、いざ進めてみると買手が今は検討していないというケースもよくあります。
「成約までの期間が短い」
⇒買手企業を複数並べて交渉していない可能性も考えられます。また、買収監査の時間が少なく、最終契約書で買手が売手を拘束するような文言がたくさん入る可能性もあります。ゆえに、条件が標準よりも悪かったり、売手に不利益な契約書になっていることもあるわけです。
挙げ出すときりがないですが、数字上比較ができないアピールポイントは「他社よりもこれが優れています」とは必ずしも言えず、良いイメージを持たせようとしていることに他なりません。
M&Aいろは塾では、仲介会社の手数料を比較した表を作成しておりますので、こちらの記事もご参考下さい。順位付けする、ということはこういう明白な数字を並べて比較できるものでないと信憑性が無いということです。
「M&A仲介会社の手数料一覧表」決定版!!
ネットでは書き方次第でなんでも「良さそう」に書けてしまうので、特にM&Aに関する情報については、疑ってみることをお勧めします。
「この会社大丈夫かな?」と思う方は、ネットで「M&A + 他の地域」で検索してみて同じようなアピールがされてないか確認してみるのも有効だと思います。
M&A業者の名古屋での営業活動は?
それでは、実際に名古屋ではどういうM&A業者が動いているかという話です。
名古屋は中部を代表する拠点をして位置づけているM&A仲介会社が非常に多く、東京、大阪の次に拠点を設けることが多い場所です。
まだ、名古屋に拠点を置いて人を常駐させるところまで手が回っている仲介会社は実際には少なく、名古屋事務所があるように見えてサテライトオフィス的な感じで拠点を構えていることも多いです。
全国的に見て、中部圏は首都圏の中でとりわけ保守的な人が多いと言われますが、そういった会社へのアプローチは新規で声掛けするよりも、知っている金融機関などからの紹介で営業を掛けていく方が肌に合っているのかもしれません。
この他、地元の金融機関などのM&Aに関する取り組みも徐々に盛んになっており、地元地銀などがM&A案件推進の為の連携を行っていたり、元々信金が強いエリアなので、信金キャピタルなどとの連携で幅広なM&A仲介などのサービスを展開しています。
なお、以前書いた記事ですが、こうしたDMは名古屋も非常に多いです。
「貴社と資本提携したい」というDMは大抵ウソ、という事実
M&A仲介会社が出店前のプレマーケティングでも行うことがあるDM営業ですが、今後名古屋に仲介会社が進出すればするほど、会社に届くDMの量が増えるのではと想像できます。
愛知県の引継ぎ支援センターに相談しにいったらどうなるか?
上では民間のM&A業者の話をしましたが、公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターに相談に行った場合についても記載しておきます。
参考 愛知県事業承継・引継ぎ支援センター(外部サイト)愛知県事業承継・引継ぎ支援センター
まず、事業承継・引継ぎ支援センターについてですが、各都道府県に設置されている事業承継やM&Aの相談所的なところで、無料でアドバイスをもらうことができます。
各センターの体制や運営方針は一定の決まりや共通のシステムがありますが、どういった形で登録機関である仲介会社と付き合うかや、案件対応方針は各地域によって異なっています。
愛知県の引継ぎ支援センターでプロマネをしていた方はかなりの改革派だったらしく、引継ぎ支援センターに相談された方でかつ仲介会社の利用を希望される方は、コンペ形式で仲介会社と面談を組むということでした。
そのため、登録している仲介業者の数は、他県の引継ぎ支援センターと比較して多いかもしれないです。
色々な仲介会社と話をしてみて決めたい、という方は良いかもしれませんが、各社仲介手数料の設定は異なりますので、仲介会社の利用には注意してください。
M&A業者は信用できる本物のコンサルタントに任せるのがベスト
M&A業者は信用できるコンサルタントに任せるのが鉄則です。
ネットでのオススメ記事を見て依頼してしまったが為に、高い仲介手数料を払うことになってしまったり、最初はいいことばかりを聞いて仲介契約を締結してしまったが、実際のサービスはそれとかけ離れていたということは実はとても多いです。
仲介契約を結んでしまったら最後、くらいの感覚できちんと比較して、信用のおけるコンサルタントを探すようにしましょう。
ましてや情報操作して他社よりも優れているように見せている業者を信用のおける会社と思えないので、ネットで情報収集する時には気を付けて下さい。
筆者の会社は何でも正直がモットーです。仲介手数料について、他の仲介会社と比べてかなり安い方だとは思いますが、「一番安いです」とは言いません。だって極端な話、0円で仲介を請負っている会社もあるからです(こういう会社は買手から手数料を高めに取るんですが)
事実を歪めず、きちんと伝えることが仲介をする上ではあるべきスタンスかなと思います。
いかがでしたでしょうか?
名古屋はこれからM&A仲介の営業エリアとしても盛り上がってくるような地域です。
色々な仲介業者で出会う機会が増えるかもしれませんが、十分警戒しつつ見定めるようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!