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モラルの低いM&A仲介会社の問題行動①

 

最近、M&Aの関係者の間でも、「M&A業界ってモラル低いよね」ということが具体的な会社名も出た上で情報が飛び交うことが多くなってきました。

 

モラルの低いコンサルタントはお客さん(会社を売る人、会社を買う人)だけでなく、同業のM&A関係者にも迷惑を掛けるケースも多いため、同業の怒りを買った仲介会社が暴露の対象になるという話は珍しくないです。

 

「〇〇〇(M&A仲介会社)はやり方が汚い」みたいな特定の仲介会社のイメージは、実はみんな同じだったりします。

 

もちろん仲介会社の中にはちゃんとしたところもたくさんありますし、同業他社に対しても紳士的にビジネスをされている会社もあるのですが、どうしても一部の会社が悪目立ちしている部分もあります。

 

とりわけM&A仲介という事業についていえば、「汚いことしてでも仕事を取る」⇒「稼ぐ」⇒「自社の広告と汚いことをさせる社員を増強することに資金を投じる」というサイクルで会社を大きくできてしまう一面もあるので、目につきやすくはなってしまいます(拡大している会社がみんなこう、という意味ではないです)

 

紳士的に仕事をしているM&A関係者自身が、自らM&A事業をしながらも「M&A業界は変な慣習がある」「M&A業界が信用されない業界になっている」と危機感や嘆きみたいな声を出してしまうのは、こういった背景を感じているからこそな気がします。

 

このM&Aいろは塾では、今まで会社の売却を考える会社オーナーさんに向けて「こんな仲介会社に気を付けて下さい」という趣旨で、問題のある仲介会社の見抜き方をお伝えしてきましたが、今回は実際同業の中で話が出ているような問題行動について触れ、M&A業界のコンサルタントの中でも「ヤバい仲介」とされる人がどんなことをしているのか背景も踏まえてお伝えしていきたいと思います。

 

結構普通では考えられないようなこともあったりしますが、実際発生しているようなことなので、売手オーナーの方はそのような雰囲気のある仲介は選ばないなどの参考にしていただければと思います。

 

それではいきましょう!

 

 

社長の自宅にDM・電話の営業をする仲介会社

 

結構前から「御社を買収したいといっている会社がいる」というDMはそこら中に出回っていますが、最近でも多いです。

 

筆者がM&Aいろは塾で最初に取り上げたこちらの記事も2020年1月に書きましたが、今だ多くのアクセスをいただいていたりもします。

「貴社と資本提携したい」というDMは大抵ウソ、という事実

 

こうした打診がなんで無くならないかっていうと、会社オーナーの中には「M&Aは相手がいるなら考える」というタイプの方が一定数いるからです。

 

つまり、「弊社はこんな会社ですよ」とか「手数料〇〇万円ですよ」という手紙はあんまり響かないってことですね。

 

でも、最近では売主側も「ああ、どこにでも同じ文章送ってるんでしょ」と知恵もついてきたので、あまりこうしたDMに引っかからなくなっているのも事実です。

 

それでも仲介会社の営業マンは、なんとか売主にコンタクトを取り会社を売らせないといけないわけなので、アプローチの仕方を試行錯誤するわけですが、M&A仲介会社の中には社長の自宅にDMや電話をしたりします。

 

受け手にとっては「どこで自宅まで調べたんだ」と怖くなる人もいますが、悪びれず行っている会社もいます。

 

筆者も以前、休日に個人携帯宛に不動産投資の勧誘の電話がかかってきたことがありましたが、まず最初に感じるのは「どこで連絡先を調べたのか」で、次に感じるのは、プライベートな時間にプライベートな連絡手段で電話をかけてくる業者への不信感や、「そんな営業しないといけないくらいお客さんがいない業者なのか」という感情です。

 

M&Aに関わらず「比較も無しに受動的にこういう営業を受け入れて良いことは何もない」というのが世の常なので、筆者は相手にはしませんが、「どんな会社なんだろう」とは一応調べ、「あーやっぱり不動産系か」という業界の評判に繋がる部分もあるので、営業する側もあんまりメリットは無いようにも思います。

 

 

勝手に買手に打診し始める仲介会社

 

これも結構多いです。

 

「具体的な買手がいないと売却を検討しないのであれば、買手と事前に話をしておこう」という発想です。

 

もし事前に買手とその会社のM&Aについて可能性があるかどうかを聞いておければ自信を持って「御社とのM&Aを検討したいと言っている会社があります」と言えるわけなので。

 

どんな優秀なM&Aコンサルタントでも、実際に買手に打診を開始してみないとその案件が買手にとって検討の土台に上がるものかは分からないものなので、売手にM&Aの実現性の話をする際には売手の会社名を出した上での買手との会話が必須になります。

 

例えば、「関東で、年商5~10億円程度で、人材派遣の会社を買収したい」という買手がいたとしても、実際その条件にマッチする案件を紹介しても「これは検討できない」と言われることはM&A仲介では日常茶飯事です。当然ですが、買手としては人材派遣の中でもどんな業種の人材派遣なのか、取引先が自社の取引先を鑑みてコンフリクトを起こさないか、社員の年齢層や賃金や派遣単価はどうなのか、債務の引継ぎがあるか、売手の目線感は適正か、などM&Aでは見るべき部分がたくさんあるので、仲介会社が事前に確実なマッチングを予見できるレベルでないということです。

 

それゆえ、買手と譲渡企業名を出して話を詰めない限りは、「M&Aの実現性について具体的な話は一切できない」というのが正論となります。

 

でもそれだと売手に興味を持ってもらえないので、仲介会社の中には、「売手からDMや電話での反応があった後に、急いで仲の良い買手に相談し、話を具体的にしてから売手との面談に臨む」という仲介会社もいたりします。

 

これ、「売手の許可を得ずに、買手に売手会社名を出してしまう」という情報漏洩を犯しています。

 

その買手が、売手にとってはM&Aに関心があることさえも知られたくない会社だった場合にどういう責任を取るのでしょうか?と筆者は思ってしまいます。

 

M&Aでは「ネームクリア」といって、仲介者が売手に対して、打診する買手の社名を伝えて打診可否を判断していただく、という工程があるので、普通はこういうことは起きませんが、偽の買手いますDMの嘘を真にするためにこういうことをする輩も出てきてしまうということですね。

 

初めから具体的すぎる話をする仲介会社には実はこういうリスクもあるのです。

 

また、「事前に買手に打診する」というのは情報漏洩の問題だけでなく、特定の買手と仲介会社にしがらみができるという売手側のデメリットもあります。

 

どういうことかと言うと、上記で相談を受けた買手としてみたら「最初の段階で相談してくれたんだから優先的に交渉させてくれるだろう」と思うはずですし、仲介会社としてみたら、既に関心のある買手がいるんだったら、他の買手を探すという面倒なことをせずに、売手の売却条件を買手の許容範囲に収めさせて短期間で成約させようとする、ということです。

 

つまり、買手と仲介会社がグルで買い叩いてくる可能性が存在する、といっても過言ではありません。

 

売手がよい条件で売却するためには、フェアに色々な買手を物色できる状況が望ましいわけなので、「具体的な買手を挙げて」「スピード成約をアピールしてくる」という仲介会社は逆に売手が警戒した方が良いと言えます。仲介手数料も高かったらなお危険ですね。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

 

次回も「仲介会社のモラルの低さから発生する行動」について事例を取り上げてみたいと思います。

 

売手オーナーさんは、「なんで仲介会社はそんなことをしてるのか?そんなことを言ってくるのか?」という背景も感じていただけると思いますので、是非ご自身のM&Aの検討にお役立ていただければと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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