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「それって信頼できる助言?!」M&A仲介業のビジネスモデルとは【図解】

お悩み社長

M&A業者って本当に信用できる助言なの?

 

これからM&Aをしよう、という方の中には、

「業者がどういうタイミングでどのくらいの手数料を貰うのか」

「その仲介者や紹介者の発言の裏側にあるお金の事情を知りたい」

と思う方も多くいらっしゃいます。

 

これってとても良い着眼点です。

 

なんにも分からないM&Aを任せる相手は信用できる人であることが前提ですが、「本当に信用できる人なのか」を判断するためには、「どういう立場に置かれてる状態でそれを言っているのか」を理解することで判断しやすくなります。

 

例えば、某銀行担当者に「M&Aを任せるなら大手の方が絶対にいいです」と言われ、「あぁ親切なアドバイスだなぁ」と思って何の疑いもせずに紹介された仲介会社に高額な手数料を払うか、「この人は仲介手数料の高い大手のM&A会社に取り次いだ方が紹介料も多くなるからこういうこと言ってんだろうな」と思って自ら色々な仲介会社を調べて、コンサルタントの質や経験、手数料を比較検討して仲介会社を選ぶのか、という違いみたいな感じで、M&A仲介のビジネスモデルを知っているか知っていないかで全然違う結果になると言えます。

 

また、この例で言えば、「ただただ自分の銀行に有利な内容を押し込んでくる担当者」よりも「きちんと理由を伝えて(なんなら自分の立場も伝えた上で)オススメする仲介会社について説明してくれる担当者」の方が信用がおけるのが明白です。

 

今日はこんな正しい理解・後悔しない為の知識として、M&A仲介業のビジネスモデルを解説していきたいと思います。

 

このM&Aいろは塾ではかねてから、高額な仲介手数料を徴収する仲介会社に対して、中小企業庁の公表している「中小M&Aガイドライン」などで公表されているデータを根拠に、

「いやいや、こんなに仲介手数料高くなくても普通に仲介できるでしょうに」

という立場で主張をしてきていますので、M&A仲介会社にとって都合の悪いこともバシバシ書きますのでご参考いただければ幸いです。

 

 

M&A仲介業のビジネスモデルとは

 

M&A仲介業とは簡単に描くとこんな感じのビジネスモデルになっています。

 

基本的にM&A仲介会社は、売手と買手を結び付けて成約したらその報酬をもらうというシンプルなビジネスモデルです。

 

ただし、よくある誤解や注意点もあるのでその点に触れたいと思います。

 

仲介手数料はM&Aの相手方からも徴収している

これ、意外と勘違いしている人多いです。

 

例えば仲介手数料2,000万円の仲介会社A社のコンサルタントと話している時、「弊社は仲介手数料1,000万円のB社よりも倍手数料は高いけど、全国にネットワークがあり、実績も・・・」みたいなことを言われたことは無いでしょうか?

 

確かに売手側だけをみればA社の手数料はB社よりも1,000万円高いです。

 

でも、買手側からもA社が2,000万円、B社が1,000万円取っているのであれば、A社を使うコストはB社よりも2,000万円高いということになります。

 

買手は売手へ提示する買収価格は仲介手数料を差し引いた形で提示します。なので、いくら買手側の仲介手数料だからといって売手は関係ないということにはならないわけです。

 

直接売買すれば1億円で売却できる案件であれば、B社を使うことで2,000万円中引きされ、A社を使うことで4,000万円中引きされるということです。

 

初めてのM&Aであれば直接売買することはあまりお勧めはしませんが、誤解を招くような説明をして納得させようとしてくるM&Aコンサルタントは非常に多いので気を付けましょう。

 

士業専門家費用は当事者もち

「弊社はM&Aの専門家を揃えています」とアピール仲介会社はめちゃくちゃ多いですが、M&Aで締結する契約書類のチェックは仲介会社がしてくれるわけではなく、「ご自身で弁護士を雇ってやってください」と言われます。

 

仲介会社の言い分としては、「仲介者がどちらかに有利な助言をすることはできない」というもので、これ自体は間違ってないのですが、じゃあ「専門家がいることをアピールして高い仲介手数料を請求するのはおかしくない?」という話です。

 

M&Aのスキームを検討したり、税メリットを確認したり、契約書のひな形を作ったりで仲介会社自身が会計士・税理士・弁護士を利用するケースはありますが、その費用などたかが知れているので高い仲介手数料を請求する理由にもなりません。

 

以前こちらの記事でも原価モデルを紹介しましたが、仲介会社の案件毎の利益率は非常に高いです。

M&Aの費用が高額な理由【原価を大公開!】

 

この辺の背景を理解すると、「専門的だから仲介手数料も高い」とアピールする仲介会社の手数料に疑問を持てると思いますので、十分気を付けましょう。

 

紹介者は紹介料目当て

最近では、金融機関が直接M&Aの仲介をする機会も増えてきましたが、金融機関や顧問税理士などからM&A仲介会社を紹介されるケースも多いと思います。

 

確かに、よく分からないDMを送ってくる仲介会社よりも、顔を知っている人から紹介される仲介会社の方が安心できる人も多いかもしれません。

 

でも、こういった多く紹介者は「あなたの会社の事を思って紹介している」のではなく、「紹介料が欲しいから紹介している」のです。

 

あくどい人だと、あなたの会社のM&Aのニーズを察知するやいなや「さもあなたの会社の為に言っているんでよ」みたいな感じで近寄ってくるかもしれません。

 

こういう怪しい人、信用できない人を見抜くためには、紹介者には高額な紹介料があることを知っておくしかありません。

 

ちなみに、紹介料の仕組みは、一般的には「成約時に、受け取った成功報酬の10~40%程度を紹介者に支払う」ということが多いようです。売手紹介は高めで、買手紹介は低めな印象です。

 

なので、「売手や買手が実際に払う成功報酬に対する割合で紹介料が発生する」ということは、「紹介者は当事者の手数料負担が重くなる仲介会社を紹介したくなる」ということになるのです。

 

できるだけ仲介手数料を払いたくないと思っている当事者とは逆行する動きを取られる可能性が高いので、そもそも仲介手数料が異なる複数の仲介会社を紹介者の意見で決める、というのは理にかなっていないと言えます。

 

仲介者は基本的に成約させることを目的に動く

最近では完全成功報酬制を取る仲介会社も増えてきました。

 

こちらの仲介会社の手数料一覧記事でも紹介しましたが、中間金を取る会社もちらほらありますが、そのレートはだいたい成約時の成功報酬の10%程度です。

「M&A仲介会社の手数料一覧表」決定版!!

 

つまり、多くの仲介会社は、「成約させないと商売のうま味があんまりない事業と考えている」ということです。

 

なので基本的には、「仲介会社は成約させるような動きをする」と考えておきましょう。

 

売手の目線が買手からみて高いと感じられるものであれば「社長、もうちょっと安くしないと売れません」と言われるかもしれませんし、金額以外の条件についても落としどころを見つけるように促してくるかもしれませんが、それも成約させるという目的があるからこそです。

 

「希望金額で売れないなら別に急いで売る必要はない」と考えているのであれば、このなんとしてもM&Aを成約させようしたい仲介会社の思惑とは違う方向に行く可能性はあるので、仲介会社選びの段階でよく精査した方が良いです。

 

一方で、月額報酬を取る仲介会社がいたとしたら別の事に注意しないといけません。

 

以前、このいろは塾にご相談にこられた方で、「月額報酬で30万円も請求されています」という方がいて筆者はびっくりしましたが、月額報酬を徴収する仲介会社は「M&Aが長引けば長引くほど得をする」というインセンティブが働きます。

 

M&Aのスケジュールというのは結構流動的になることも多く、割と仲介者の働きかけや段取りで伸びたり縮んだりするものです。

例えば買手の決定機関に諮るために数週間M&A検討の動きが止まるみたいなことも良くありますが、この間、売手も仲介会社も待っているだけになります。

 

スケジュール調整の裁量を仲介者に任せつつ、高額な月額報酬を支払うというのは、当事者としてはリスクでしかないのではと筆者は思います。

 

補助金の存在を伝えない仲介会社もいる

前回こちらの記事でM&Aの仲介手数料で使える補助金について紹介しました。

【2022年4月~】事業承継・引継ぎ補助金の受付開始!

 

とある売手の社長は、依頼している仲介会社にこの補助金の紹介もされずにM&Aを進められてしまった(申請できる時期だったのに)、ということを仰っていました。

 

これは単純にその仲介会社の担当者が補助金などの情報に疎い可能性もありますが、実はこの補助金を使う際、複数の仲介会社からの相見積の提出が必要になるケースもあるので、手数料の高い仲介会社は敢えて補助金を勧めたがらない、という事情もあります。また、補助金について色々聞かれても面倒な仕事が増えるだけと考えて、聞かれたら答えるというスタンスのコンサルタントも実際います。

 

この補助金は、売手や買手が申請をして、実際に仲介手数料を支払った履歴をもって実績報告し、売手や買手に補助金が振り込まれます。なので、結局のところ補助金が出ようが出まいが仲介会社側は他人事になることもできてしまうわけですね。

 

M&Aを検討していて補助対象者に該当するならみんな補助金申請はしておいた方が良いような補助金なので、仲介会社の都合で有益な情報を伝えないというのは間違いなく親切な仲介会社とは言えないですね。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

仲介会社や紹介者がどういった形で誰からお金をもらっているとか、どういう場面でメリット・デメリットがあるかを知っておくだけで、その仲介会社や紹介者の発言の真意を理解するのに役立つと思います。

 

あるいは、上記のような背景は知っているけど知らないふりして聞いてみて、紳士的な回答が得られるかどうかで信用のおける人かどうかを確認するのもいいかもしれません。

 

筆者としては、M&Aで腹の探り合いをするのは取引の相手方だけで十分だと思っているので、仲介者は変な腹の探り合い無しで常にフェアに正確なアドバイスが貰える人であるべきかなと思います。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

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