お悩み社長
この手のご相談は最近増えているように思います。
今日はSIer(システムインテグレーター)やSES会社のM&Aの仲介手数料を安くする方法について解説していきたいと思います。
M&A業界の中では、SIerやSES会社の買手企業はたくさんいることから、M&A仲介会社の営業もかなり盛んに行われています。
あなたの会社にも「貴社と資本提携したいといっている買手がいる」というDMが届いたことは、1度や2度でなく何回もあるのではないでしょうか?
M&A仲介会社としては受託できれば成約できる可能性が高いこともあり、「なんとか弊社で進めてくれ!」「是非弊社と仲介契約を!」と熱気ムンムンで営業してこられる、と感じる売手オーナーの方も多いです。
よーく見ると目が「¥」マークになっているので気を付けましょう(笑)
M&Aに興味がある人であれば手数料がどのくらいかなども確認したことがあるかもしれませんが、どこも最低でも2,000万円とか平気で言ってくるので、「高すぎだろ」って思う方もいると思います。
「ちゃんとM&Aをしたい」けど「仲介手数料にそんな高額な金額は払いたくない(払えない)」と方は参考になるかと思いますので、是非最後まで読んでいただければと思います。
それではいきましょう!
実際どのくらいSIerやSES会社はM&Aで人気なのか?
システム受託開発を行っているSIerやSESは、中小企業のM&A市場では大人気です。
以前筆者はSIerのお客さんに、「SESとは違う!」と強めに言われたことがあるので(汗)、補足しておくと、SIerやSESは「ソフトウェア開発技術者が資本のビジネス」という点は一緒で、「ソフトウェア開発技術者を確保したい!」という買手企業から大変高いニーズがあるといえます。
どのくらい人気かっていうと、以前筆者が担当させていただいた年商2億円で十数名のソフトウェア技術者が在籍しているような会社様の案件をM&Aプラットフォームに掲載したところ、1カ月もしないうちに50社程度の買手企業からオファーが来たことがありました。
それで、相当数の買手企業が「トップ面談させてほしい!」という意気込みだったので、全社トップ面談することをためらう程でした。
その様は、例えて言うのであれば、ガッキーが一般男性が集まる婚活パーティに参加したかのような様ですね。ワ―って殺到する感じです。
買手企業にとっては、1人1人技術職を採用していくよりもまとめてM&Aという形で譲り受けた方が離転職も少なく、効率よく人材確保ができるという考えの会社もいます。人が資本の商売なので、何とかして人材確保しないとビジネスがスケールしていかない、という背景もあるようです。
売手側からしてみれば、こんな状況なので、よほど特殊な会社やソフトウェア開発技術者がすぐに離転職しているような会社でなければ、買手探しに困ることは普通無いといえます。
だから、「貴社と資本提携したいと言っている会社がいる」なんて営業をされても、「全然自分で見つけられますんで結構です」と言い返せるかもしれません。
※ちなみにその手のDMや電話の背景についてはこちらの記事も参考にしていただければと思います。
「貴社と資本提携したい」というDMは大抵ウソ、という事実 「M&A仲介会社からの迷惑電話!?」資本提携?どういう目的でかけてくるの?
高額なM&A仲介手数料を払う必要は必ずしもない
M&A仲介業者の役割として最も大きいものの1つが、「交渉相手を探してくる」という役割です。
これは実際に適当なM&A仲介会社に聞いていただいても良いと思いますが、「なんでおたくの仲介手数料ってそんなに高いの?」と聞いたら、「交渉相手を探してくるからです」みたいな回答もあるかもしれません。
企業概要書を作ることや、両者面談・買収監査に同席すること、最終契約書の雛型を渡すことにそんな何千万という付加価値が無いことは仲介会社も理解しているので、「交渉相手を探してくる」役割に付加価値を感じていただきたい、と考える仲介会社は多いはずです。
この役割があるから、高い仲介手数料を払ってでも仲介業者に依頼しようと思う人もいるかもしれませんね。
でも、前述の通り、多くのSIerやSES会社は自分でもM&Aプラットフォームを使って買手企業を探そうと思えばいくらでも見つけることは可能です。
「それであれば高い仲介手数料なんて払わないでいいんじゃない?」と思うのも自然なことかなとも思います。
ではどのくらい安くなるのか
「M&Aの手数料って譲渡金額の5%くらいだよね」って思っている方、危険なのでそのイメージを今すぐ捨てましょう。
総資産の5%取る仲介会社もあれば、最低報酬額の設定額が高いために仕上がりで譲渡金額の数十%にもなってしまう仲介会社もあります。
総資産や譲渡金額の何%でもその他の手数料や最低報酬額を設定させていただきますという仲介会社がほとんどなので、単純に比較しづらいというのも、「仲介会社の手数料で分かりづらいわ」と思ってしまう要因だったりします。
仲介会社を使う、という前提であれば、最低報酬額はできるだけ低い会社を選ぶ、完全成功報酬で費用が発生する会社を選ぶ、総資産ではなく譲渡金額で手数料計算する会社を選ぶ、などで、場合によっては数千万円以上のコストダウンを図ることができます。
手数料は法律によって定められているわけではないので、任せる会社は慎重に検討するのが良いでしょう。
また、仲介会社を使わず自分でM&Aする相手を探して直接M&Aをやってしまう、というのも実際一つの手段かと思います。
M&Aの流れがよく分かっていない人が普通だと思うので、ある程度の企業規模になると自分で1から10までやるというのは結構しんどいと思いますが、「仲介会社なんて絶対使わない!」という強い意志であれば自分でM&Aのプラットフォームを登録して買手企業を募集することも可能です。
一点注意点として、世の中には死ぬほどM&Aのプラットフォームが生まれていますので、どのプラットフォームを使った方が良いかはこちらの記事もご参考下さい。
非公開: 「トランビ(TRANBI)」の評判・口コミ・手数料・注意点って実際どうなの?記事の中にプラットフォーム別の比較なんかもしてます。
プラットフォームの中には、買手側にプラットフォーム手数料が結構発生してしまうサイトもあるので、買手企業にとっても安いプラットフォームを使うのが良いと思います。
(結果的に売手への提示額も上がる可能性もあるからです)
あと、M&Aの仲介手数料にも使える「事業承継・引継ぎ補助金」という補助金もありますので、スケジュール感が合えば使った方が良いと思います。
「令和2年度の事業承継・引継ぎ補助金」まとめ今年(2022年)もおそらく4月くらいには申請が始まるとは聞いていますので、是非チャレンジしてみてください。
※ちなみに、M&A支援機関を使わないとこの補助金を使えません。
いかがでしたでしょうか?
たくさんM&Aの営業を受けてしまうと「どれも怪しいな~」とためらったり、「買手もいるって言ってるしもうこの仲介会社でいいかな」と思ってしまう気持ちは分かりますが、あなたの会社のM&A市場でのニーズもきちんと理解して、M&Aの取り組み方を工夫することで大幅に手取金額を増やすことができます。
M&Aいろは塾では他にも色々売手オーナーから見てお役に立つ情報を発信しておりますので、色々参考にしていただけると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!