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「M&AコンサルなんてAIでよくね?」と思っている人が勘違いしていること

 

最近ではわかんないことあれば何でもチャッピー、になりつつある筆者です。

 

どのエアコン買ったらいいか、お尻の痒みの対処法、子どもが賢くなるにはどうしたらいいか・・なんでも聞いています。

 

最初は懐疑的でしたがもう完全に心を許してしまっていますね(笑)

 

 

なので、こんな人も増えているんじゃないでしょうか?

 

「M&Aコンサルに聞くくらいだったらAIに聞けばよくない?」

 

筆者もM&Aコンサルですが、全くポジショントーク無しで本音をいうと、結構な部分はM&Aコンサル無しでAIでも対応可能だろうと感じています。

 

むしろ、初めてM&Aをする売主だったら、営業っ気のあるコンサルのしたたかなアドバイスよりも信用がおけるかもしれないな、とさえ思います。

 

とはいえ、「じゃあM&A仲介会社に任せずに、自力でAIでM&Aしたるわ!」と進めるとぶち当たる壁もあるんです。

 

 

AIでは無理?これは人がやったほうがいいこと

 

AIは調査や分析系のタスクを一瞬でこなしますが、M&Aコンサルのやる仕事って実際にはそういう要素ばかりではないです。

 

例えばこんな業務。

 

人の心を動かす系の業務

M&Aのイメージって、めっちゃ賢い人たちが緻密な分析をした結果を、両者が私的な感情なく合理的に判断してM&Aが成立する、みたいなイメージあるかもしれませんが、実際中小企業のM&Aではそういうことって少ないです。

 

「バリュエーション?そんなもんどうでもいいけど、俺は老後に〇億必要なんだ」と希望条件を曲げない人ももちろんいれば、

 

「条件はいいけど、あの買手、面談前にうちの会社の前でたばこ吸ってたから交渉したくもないわ」という人もいますし、

 

「面談中に机をペンでカツカツされて説教されてるみたいだっから、生理的に無理!」ということもあります。

 

一方で、「なんかこいつのこと息子みたいに思えてきたから、条件負けたるわ」と感情移入することもあります。

 

結局は人と人なので、「こいつのこと好きか」で取引するしない、何億も値が動く、なんてことがあるんですよね。

 

仲介の仕事は、この人とこの人は馬が合いそうかを見極めないと簡単に地雷を踏むこともあります。

 

でも、取引の相手方に直接言ってしまったことで心象が最悪になってしまうようなことも、一回仲介を挟むことで、「この人にこれ言ったら逆鱗に触れそう」みたいな感触を事前に話して、心象悪化を防ぐみたいなことも熟練したコンサルなら普通にしています。

 

伝え方次第で印象って劇的に変わり、M&Aの満足度も全然変わります。

 

売主と長い間話したり、飲みに行ったりという時間の中で、売主にどんな話をするとどういう反応になりそうかを予想できるようになるものですが、これはAIには難しいと思います。

 

買手探し

買手を探すのも意外とAIでは難しいです。

 

筆者は過去某AI開発会社が開発したAIを用いた買手マッチングシステムを使ったことがありますが、あまり十分なものとは言えませんでした。

 

これまで仲介会社がAIというと、買収先の売上規模、エリア、業種、過去のM&A実施実績などのパラメーターを組み合わせてAIで候補先を出しましたみたいな、それ本当にAIいるかなというシステムが多かった中、そのAIシステムは、例えば公開されている中期計画書の中の文章を拾って分析して、買手としてシナジー効果が出やすいとリコメンドしてくるシステムでしたが、これでもあまり十分でないようにも感じました。

 

もちろん無いよりあったほうがいいんですが、読んでいるシナジーも浅い部分もあり、実用性というよりかは営業用のフックツール化していた気がします。

 

なにより売主の希望という観点もあるので、必ずしも教科書的にシナジーがある会社同士を繋げる、というだけだと仲介としては物足りなくて、この買手にはこういう案件が好きそうという情報のストックがある中で要点を掴んで提案しにいくほうが、実は買手も判断しやすかったりするものです。

 

この点、結構想像力大事だな、と思う部分であり、AIが完全に代替するのが難しい気もしてます。

 

スケジュール管理

M&Aを進めていると、いつまでに何をする、という管理が結構重要だと気付きます。

 

取引相手の取締役会から逆算して、いつまでにデューデリジェンスを終わらせておかないといけないとかもありますし、

 

売主ができるだけ同じタイミングで複数の買手から意向表明書を受領するにはどういう塩梅で調整したらいいのか、とか色々です。

 

あと、役所を巻き込む系のアクションを後回しにして、数か月もクロージングが先延ばしになる、なんてこともあります。

 

手順はAIでも考えてくれますが、じゃあ実際依頼したらどのくらい時間かかりそうかとか、それならどのくらいの頻度でプッシュしようかとか、メールでのプッシュじゃ弱いから電話しようか、とか適切な手段を主体的に考えて行動するのはAIだと難しいです。

 

そこに人がいるということ

将来AI搭載の人型ロボットが出るかもしれませんが、結局人がその場に存在するということ自体が価値になっている場面がM&Aではあります。

 

整った企業概要書を作るのも人、買手に打診するのも人、連絡先として機能するのも人、責任を取るのも人、です。AIは代替しません。

 

トップ面談で地蔵になってしまうコンサルもいるにはいますが、それでも、担当として同席してくれるのであれば、あのときああいったよね、とか、今のこの話覚えておいてね、という確認と記録、ひいては、そこから生じる責任の所在を明確にするという意味で、人が介在することに意味があります。

 

あと、多くのM&Aでは、売手よりも買手の方がM&Aに関する経験値が上なこともあるので、理解度を合わせて対等に会話させるよう仲介が調整するのも大事な役割です。

 

よくあるのが、買手も間違ったことは言っておらず、非常に合理的かつ冷静な物言いだったとしても、今は売主の気持ちを汲む場面の空気を察知できないと、売主から見た買手が「頭はいいんだろうけど、言い方が冷たい」という変な方向に印象が振れてしまったりするものです。

 

また、会話における情報量とは結構なものなので、さりげなく両社面談で出ていた話の内容と、実際に出てきた契約書の内容がかみ合ってないのに気付いて、方向を修正するみたいなことも熟練コンサルなら指摘できるので、交渉もより円滑になるのです。

 

ヤバい予兆を感じられる嗅覚

嗅覚的なものはAIではなかなか真似しづらいです。

 

筆者は以前M&Aマッチングプラットフォームで怪しげな買手から買収オファーを受けたことがあります。昨今話題になっているM&A詐欺の類と思います。

 

「なんかおかしいな」という違和感を感じたんですよね。

 

事業内容より、やたら不動産の担保が外れるかどうかの質問をしてきたり、変なところで急にヒートアップしたり、と怪しさを感じたため、仮にM&A詐欺だった場合に、詐欺の相手方として魅力がなくなるような話題を出してみたら、真っ先に音信不通になりました。

 

厳密に数えていませんが、数百社以上の買手企業とやり取りしていると、いざ普通の買手ではない相手と遭遇すると違和感を感じることもあると思います。

 

こういった点は、AIでは気付かない(というか、気付かないとAIに聞くことすらない)部類の事案なので、人のコンサルタントが入る意味があると思います。

(成約欲しさに盲目になってしまうコンサルもいるのは置いといて・・)

 

 

逆にここはコンサル不要

 

逆に、この変はM&Aコンサル不要だなと思う点も挙げておきます。

 

株価査定

株価査定はAIでもある程度対応可能です。

 

もちろん、どのくらいの倍率をかける?という部分では、市場感を理解していないと浮世離れしたような株価にもなりえますが、逆に、高く売れることでM&Aに乗り気にさせたいと思う仲介会社が高く出しがちなことも考えると、初期的には公平性のあるAIのほうが良い気もします。

 

また、情報漏洩には注意ですが、仲介会社が出してきた株価査定をAIにレビューさせるというのは、筆者的には激押ししています。

 

EBITDA?マルチプル?みたいなよくわからない事を言われてわかったような気になるのではなく、続けてAIに聞けば誰でもわかるような咀嚼までしてくれるので、理解をするのにも役立ちます。

 

契約書レビュー

M&Aの契約書レビューは弁護士に依頼することが多いですが、その内容をコンサルがかみ砕いて売主に説明するということもよくあります。

 

言語に強いAIは瞬時に契約書を読み込み、誤字脱字はもちろん、どの点がリスクがあるか、どういう修正案が適切か非常に的確に返すことが可能です。

 

それでも企業法務に強い弁護士に依頼することには一定の意味がありますが、M&Aコンサルに依頼する部分というのはAIで代用可能だと思います。

 

あと、仲介会社との業務委託契約とかアドバイザリー契約といったものさえも、AIに聞くのがよいと思います。手数料高くないか、とか、こういう手数料体系だとこういうリスクあるよ、というのが、どの仲介会社の立場でもない立場で教えてくれるからです。

 

DDの質問事項

買手が売手に対して行うDD(デューデリジェンス)では、法務・労務・財務・税務・IT・ビジネスなど様々な観点で質問が飛んできます。

 

中には「この質問ってどういう趣旨?」というものもあったりします。

 

弁護士や会計士とはいえ、勘違いや言葉足らずなこともよくあるからです。

 

仲介がいる場合、「さすがにこの質問そのまま投げても売主は理解できないだろう」という質問は補足したり、整理して確認に移るのですが、新人のM&Aコンサルだととにかく買手からの質問をそのまま売主にぶん投げたりします。

 

売主としては「この答えで合ってんのかな?」とか「何回も同じような質問してきてどういうつもりだ!」という気持ちになったりもしますが、そういうときはAIに質問の意図を聞くのも方法としてはアリです。

 

筆者の感覚では、「熟練コンサル>AI>新人コンサル」くらいの位置づけですが、担当コンサルが頼りないなと感じたらAIで補完するか、他の仲介会社をセカンドオピニオンで使うというような対処も有効です。

 

 

まとめ

 

M&AコンサルなんてAIでよくね?って方。

 

それも一つの考え方ですし、実際、AIをそれなりに使い倒せば、それなりに自力でM&Aを進めることもできる時代になりました。

 

それでも、自力で進めてつまづいた時のリカバリーとか、今の状況をうまく調整してほしいときとかは仲介を使うというのは有効でもあります。

 

あと、AIはあくまで疑問に思ったことを投げかけて解決する、という使い方になるので、そもそも疑問に思わないことは解決に繋がらないという欠点があります。

 

その意味では使い手側次第なところもあるかもしれませんね。

 

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