2021年8月24日に中小企業庁から、M&A支援機関登録制度の公募が開始されました。
参考 M&A支援機関登録制度(外部サイト)中小企業庁
「それって何?売手、買手に関係あるの?」
と思う方もいるかもしれませんが、大いに関係あります。
筆者はこのブログでも、不透明な営業をしているM&A仲介業者が多く、一般の中小企業がM&A自体に不信感を抱く原因になっていると述べてきました。
実際、政府にもM&A仲介会社に対する苦情や意見が集まるようになってきたため、こういった「中小M&Aガイドライン」が策定されています。
参考 中小M&Aガイドライン(外部サイトPDF)中小企業庁
ただ、これはあくまでガイドラインで、法的拘束力は無いため、より強力な締め付けをしていく必要があるという議論は今までなされてきました。
そんな中で始まったのがこの「M&A支援機関登録制度」です。
名前がなんだか難しそうですが、かいつまんで説明するとこんな感じです。
・昨年よりスタートしているM&A仲介手数料に対する補助金を売手、買手が利用するためには、このM&A支援機関を使わないといけない
・M&A仲介業者がM&A支援機関になるためには、「中小M&Aガイドライン」を遵守するなど、健全な姿勢で業務に当たるなどの誓約をする必要がある
・M&A支援機関の情報は公で公表され、苦情が殺到しているようなM&A仲介業者は登録が継続できない可能性がある
M&A仲介手数料に対する補助金についてはこちらの記事をご参考いただければと思いますが、仲介手数料の2/3(上限400万円)が補助金としてもらえるというものです。
「M&A仲介手数料で使える!」令和2年度の事業承継・引継ぎ補助金まとめ(続報)※補助金については申請期間がまちまちなのと、補助上限・負担率についても変更があるので注意してください。
この制度の趣旨としては、
「公に言えないようなことをしている仲介業者や苦情が殺到するような悪質な仲介業者は、M&Aの補助金も出ないので、お客さんから選んでもらえないよ」
ということです。
売手や買手の立場から言えば、
「このM&A支援機関の中から選べば、何かあった時に国に陳情できるよ」
とも言えます。
補助金と絡めてこうした取り組みが開始されるのは非常に面白いように思います。
昨今ではできるだけ多くの譲渡案件のご相談を頂きたい、という一心でM&A仲介業者の営業が加熱している感がありますが、この「補助金出る出ない」「健全な仲介業者であることを宣言しているかしていないか」という差はご相談を頂く上でかなり大きいものと思います。
公募要領を見る限り、次のような情報は公表されるらしいので、HP上で専門コンサルタントを多く見せて集客している仲介業者や、事業規模が大きいように見せているけど実はそんなでもない仲介業者とかは登録をためらうことも想定されます。バレちゃいますからね。
・法人番号
・企業名(商号)
・代表者氏名
・本店所在地
・資本金
・従業員数
・業種
・売上高
・会社 URL
・M&A 支援機関の種類
・FA/仲介業務の別
・M&A 支援業務専従者の従業員数
・M&A 支援業務の開始時期(開設時期)
・支援業務提供都道府県
なお、ウソ・ハッタリが多いM&A仲介業界ですが、こういう情報で虚偽の内容を申請すると、民事上・刑事上の法的責任が生じる可能性があるので、騙し騙しやりたい業者は申請自体しない可能性も考えられます。
M&A支援機関になるためは審査があるようなので、実際に公表されてみないと登録機関の傾向は分かりませんが、健全な業者が選ばれることを筆者は切に願っております。
また、M&A仲介会社へのクレームの数で言えば、新人コンサルタントが多い会社、すなわち、大手の仲介会社に関するクレームが多い可能性が高いです。なので、たとえ上場大手の仲介会社でもクレームが殺到すれば登録取り消しにするのか、という国の姿勢が見える仕組みかもしれませんので、そうした部分も注目です。
現在公募が始まっていますが、以下のようなスケジュールで登録機関が発表になるようなので、今から仲介会社を探そうとしている人はこの公表を参考にしても良いと思います。
第二回目公表 9月下旬頃
公募は受付期間が決まっているので、二回目の公表でも名前が挙がっていなかった仲介業者はしばらく登録機関にはならない可能性があります。
M&Aいろは塾では、こうしたM&A支援機関なども見ながら、M&A仲介業者の実態に関する記事も書いていければなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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