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M&Aの「トップコンサル」が本当に優秀とは限らない理由

 

M&A業界を見渡してみると、こんなアピールよく聞きます。

 

「私はM&Aブティックでトップコンサルでした」
「弊社はM&A業界のトップコンサルが集結した会社です」

 

なんだか凄そうに感じますが、正直石を投げればトップコンサルにあたるってくらい巷にはトップコンサルが溢れています。

 

「トップコンサル」という肩書きを見ると、「この人なら高く売ってくれそう」と感じる方も多いでしょう。

 

でも実際はそういうわけではありません。

 

これからM&Aで会社を売却しようとしてる人には分かりづらい部分も多いかと思いますので、ここで一度整理したいと思います。

 

 

M&Aのトップコンサルって何者?

 

トップコンサルといっても、大体はこのようなケースが多いです。

・M&A仲介会社の中である特定期間において成績トップだった
・M&A仲介会社のある部署の中で成績トップだった
・M&A仲介会社のある分野の中で成績トップだった

・客観的な裏付けが確認できないケース

 

トップというのは営業成績がトップだったという意味合いで使われます。

 

どれだけM&Aの知識があるかをコンサル全員でテストをして順位を競う、なんてことやってる仲介会社は筆者が知る限り無く、KPI指標である「受託件数」「成約件数」「成約金額」「手数料収入」などの分野において順位を競っていることがほとんどだと思います。

 

それも各部署で毎期、半期、四半期ごとに項目ごとに順位を出したりするので、トップコンサルと言おうと思えば言える人が次々と量産されているというわけです。

 

しかし、この中にはたまたま紹介先からたくさん案件紹介してもらった、たまたま受託した案件の規模が大きかった、たまたま決まりやすい案件を担当していた、みたいなガチャ要素も大きいケースもあるので、今までランキングに出てこなかったコンサルがいきなり上位に入るみたいなこともあったりします。

 

なのでトップコンサルと一口にいっても、たまたま成績が良かったみたいな人も含まれるので正直あんまり当てになりません。

 

あと、トップでもなかったのにトップコンサルを名乗る者にも注意が必要です。

 

筆者は色々な仲介会社に知り合いがいるので関係者へ確認したところ、トップというのは無理がある人物だったケースもありました。

 

M&Aの売主としてみたら知ることはできないので何とでも言えるといえば言えるのですが、さすがに仮に事実と異なる経歴をアピールしているのであれば問題ですね。

 

 

トップコンサルだったら優秀なの?

 

ここも勘違いされやすいポイントですが、トップコンサルだったら売主から見て優秀なのか?というと必ずしもそうとは限りません。

 

トップコンサルだと聞いていたのに微妙だな、とか、えらい強引な進め方するな、と感じる売主も実際にいます。

 

そもそもトップコンサルというのは所属しているM&A会社の中での評価の話なので、売主が求めるコンサルの質の話とは一緒ではないからです。

 

売主からみてその実績がコンサルとしての質としてみなせるかどうかについて、筆者の私見はこうです。

 

受託件数トップ

直接営業の場合はいかに心折れずに営業電話をかけまくれたか、DMを送りまくれたか、中小企業オーナーへどれだけ接点を作れたか、という部分が大きいです。

M&Aに関する知識や経験という部分をアピールすることで売主側から選ばれやすくなるという要素もあるにはありますが、売主側もM&Aについて詳しくない方がほとんどですので、感じの良さ・フットワークの軽さ・レスの速さ・身なりの清潔感・所属している会社のイメージなど、一般的な営業マン選びに近い感覚で選んでいる売主も少なくないです。

実際のところ、長年M&A業界におり知識や経験がある人よりも、絶対的な行動量が多い人の方が成果を出しやすい分野です。

その為、受託件数がトップだったというだけで、必ずしもそのコンサルにM&Aを任せて安心かというとそういうわけではないといえます。

 

成約件数トップ

1コンサル当たり年間成約件数が1件程度が平均のM&A仲介業界において、成約件数でトップを取るというのは、数件・十数件成約するようなペースで成約実績を積む必要があります。

M&Aの成約件数は受託件数とは異なり、最終的に両者が納得する条件までまとめ上げるという点では仲介としての素量がないと難しい部分はあります。

その意味では売主としては一定の安心感はあるといえます。

一方で、成約までの期間が比較的短い調剤薬局など特定分野の小規模事業譲渡ばかり数をこなしたというコンサルや、サイト売買中心に行っているコンサルの場合は、成約件数が驚くほど多いということもあるので、どういう規模のどういう業種の会社をどういうスキームで成約させたかまで見ないと判断を誤ることも往々にしてあると思います。

 

成約金額トップ

M&Aの成約金額の積み上げで高い金額を実現させたという場合は、大抵の場合で大型案件を成約させたという可能性が高いです。

M&Aは、多くのケースで成約金額が2倍になったからといって成約までの手間が2倍になるようなものではなく、より大きな案件を対応した方が成約金額が大きくなります。

なので、成約金額トップだったからといって「高く売ってくれそう」なんて思うのは幻想で、たまたま大型案件を成約させたというだけではないかと見たほうが実態を理解するのに役立ちます。

 

 

短期間で成約したことをアピールするのは優秀さとほぼ関係ない

 

トップコンサルの実績に近いもので「短期間で成約した実績」をアピールするケースについても考えてみます。

 

早く売りたい売主からすると短期間で成約させてくれるコンサルは魅力的に映ります。

 

でも、ここは冷静に考えたほうがよいです。

 

だって、短期間で成約させるってことは、きちんと複数の買手と交渉する機会を与えてくれたかも、必要なM&Aフローをすっ飛ばしてないかも、経営判断や契約書の確認などに十分な時間を要してくれたかも、買手による監査をきちんと行わせたかも疑う余地が出てくるってことです。

 

雇い主の仲介会社からしたら「よく、短期間で成約してくれた(手数料稼いでくれた)」「弊社の成約最短レコード更新だ」みたいに喜びます。

 

コンサル自身も短期間で成約して評価も上がり、インセンティブも貰えてよかったと思うでしょう。

 

でも顧客は?

 

実はこういう短期間での成約はこういうリスクをはらんでいます。

・複数の買手と交渉せず安売りするリスク
・売手と買手が十分な情報交換ができず実際にミスマッチなM&Aであるリスク
・買手による買収監査が不十分であり、その代わりに契約書で過大な責任を売主が負うリスク
・判断する時間が与えられず、後悔する判断をしてしまうリスク など

 

実際、筆者は上場している事業会社で買手側の立場も経験しているので分かりますが、買収監査だけでも1~2か月かかることなど普通にありますし、役会など会議体のタイミングもあるので初期相談から成約まで1~2か月とかは普通に無理です。

 

なので、短期で成約させた案件として公表されている事例というのは、形式だった買収監査もしないオーナー会社の買手で、契約書もほぼ仲介会社が出してきた雛形のまま、両者面談も1~2回(もしくはゼロ)しかしなかったというような事例の可能性も十分あると思います。

 

当然、売手側が色んな買手と交渉したいという要望があればこれも実現しない可能性が高いですし、十分な企業分析や企業概要書の作成まで行われていたのかもどうかなんだろうという疑問もあります。

 

 

コンサルには何を確認したらいい?

 

じゃあ、本当に経験値のあるコンサルかどうかは何を確認したらよいでしょうか。

 

筆者が思うに、その場で急に取り繕えないような質問を投げかけるのが効果的だと思います。

 

例えばこんな質問です。

・過去成約した時の写真とかある?
・DCFで株価査定する場合はどんな情報を用意すればいい?
・組織再編でもっとよいスキームを組み立てることができる?

 

これは不思議なんですが、M&Aコンサルは割と過去の成約した時の写真をいつも持ち歩いていたりします。

 

写真は誤魔化しがきかないので実績を図るには非常にわかりやすいです。ちなみにそのコンサルが写っていないとあまり意味がないです。

 

また、M&Aコンサルに株価査定を依頼することもあると思いますが、「DCF」について突っついてみるのも効果的です。

 

DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)とは財務評価の手法ですが、コンサルの中には結構苦手意識を持っている者が多いです。

 

仲介会社の株価査定では簡便的に「年買法」とか「類似会社比較法」で行うケースが多いですが、それよりも「DCF法」は計算式も複雑なので、数式アレルギーがあるようなコンサルでは一度はつまづくかなと思います。

 

なので、この話題に積極的に説明してくるコンサルか、できるだけ話題を逸らそうするコンサルかでレベル感を図るのは有意義です。実際のところ、M&Aの買手はDCFで計算することも多いので、理解が十分でないと買手との議論で苦労する場面もあるでしょう。

 

あとは、組織再編などのスキームも知っているかというのも一つだと思います。

 

株式譲渡や事業譲渡しか経験のないコンサルであれば、どういうケースで組織再編をするのか、その手順はなんなのかもわからないことがあるので、経験値の幅を確認する指標になります。

 

他にも、反対株主がいるときの対処法とか株に質権が付着しているときの対処法、といった話題を当ててみるのも効果的です。

 

 

結局トップコンサルに依頼するのはどう?

 

結論からいうと、トップコンサルと名乗っているかどうかは一旦無視して、コンサルの中身の部分をきちんと見たほうがいいです。

 

これはコンサルの肩書についても一緒です。

 

本当に実力や経験のあるコンサルは自分からそういうアピールなどしなくても会話の節々でそれがにじみ出るものなので、肩書を無視して、複数の仲介会社・複数のコンサルと会話をしてみて比較するのが一番わかりやすいと思います。

 

あと、数字面で成果を出す人のタイプとして、押しが強い、営業マンっぽさがある(実際営業マンとしては優秀)、みたいな特徴があるので、あんまりグイグイこられるのが苦手な人は、タイプ的に合わない可能性もあるかもしれません。

 

また、こういうタイプのコンサルは、一見すると頼りがいがありそう、買手にも交渉してくれそう、と売主は初期的に感じることも少ないないですが、あくまで仲介なんで、売主だけの味方という見方で選ばないほうがよいと思います。

 

一般的に、売手よりも買手の方がロジカルに話してくる傾向があるのと、売手よりも買手の手数料の方が大きい仲介会社もいるので、結果として押しの強さの矛先が売手に向かってくることもありますから。

 

そもそも仲介という立場であれば売手にも買手にも交渉はしません(できません)ので、有能なコンサルなら高い値段を引き出してくるだろう、というのはそもそも勘違いであり、交渉させたいのであれば「仲介」ではなく「FA」を選ばないといけません。

 

筆者は色々な業種で色々なスキームで、売手・買手両方を単独で仲介する案件を数多くやってきましたので、同じコンサルを見る目はある程度正確に見れる部分はあると思います。コンサルとの会話の中で疑問に思うようなことなどあればお気軽にご相談いただければと思います。

 

下のボックスから筆者に非公開で質問もできますので是非ご活用下さい。

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