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ジャパンM&Aソリューションが東京証券取引所グロース市場へ上場

 

ジャパンM&Aソリューション株式会社(本社:東京都千代田区)が

 

M&A業界では新規上場が続いていますが、今後も上場仲介会社は増えていくように思います。

 

有価証券報告書も開示されていますので、その内容に沿ってどのような会社か見ていきたいと思います。

 

ジャパンM&Aソリューション社とはどのような会社か

 

ジャパンM&Aソリューション社は、2019年11月に設立された、M&Aアドバイザリー事業を行う会社です。

企業名 ジャパンM&Aソリューション株式会社
所在地 〒102-0083
東京都千代田区麹町三丁目3番8号 麹町センタープレイス7階
電話 03-6261-0403
役員

代表取締役 三橋 透
取締役   中島 秀浩
取締役   河合 寿士
取締役   﨑 恭生
常勤監査役 五十嵐 敬喜
監査役   阿部 慎史
監査役   酒井 奈緒

資本金 1億7,830万円(資本準備金、利益準備金含む)
事業内容 ・M&Aアドバイザリー事業
・M&A仲介事業
・コンサルティング事業
・宅地建物取引業 東京都知事(1)第104739号
特徴 ・相談されたら断らない
・お客様のために
・徹底したプロセス管理
外部株主
(順不同)

・株式会社ディア・ライフ(東証プライム:3245)
・株式会社エアトリ(東証プライム:6191)
・ジャパンベストレスキューシステム株式会社(東証プライム:2453)
・日本ビズアップ株式会社

 

 

業務の内容としては、主に中小企業を相手に、M&Aしたい譲渡企業と譲受企業に対し、M&A成就まで支援するというM&Aアドバイザリー業務です。

 

現在、上場している以下のM&A仲介会社と業務内容は比較的近いといえます。

・日本M&AセンターHD(2127)
・M&Aキャピタルパートナーズ(6080)
・ストライク(6196)
・名南M&A(7076)
・オンデック(7360)
・M&A総合研究所(9552)
・ブティックス(9272)

また、上場していない企業では以下のような会社と業務内容が近いです。

・経営承継支援
・インテグループ
・パラダイムシフト
・M&Aコンサルティング
・M&Aベストパートナーズ
・MJSM&Aパートナーズ
・fundbook(ファンドブック)
・ペアキャピタル
・M&A DX
・みつきコンサルティング
・グローウィン・パートナーズ
・Byside
・M&Aロイヤルアドバイザリー
・CBパートナーズ  他

 

公開されている資料によると、ジャパンM&Aソリューション社は、

成約手数料は「譲渡価格の5%」、最低手数料は500万円(消費税を除く)の低料金設定をしている

とのことです。

参考 (外部サイト)M&A成約件数日本一を目指すジャパンM&Aソリューション社と資本業務提携

 

ジャパンM&Aソリューション社の業績

 

公表されているジャパンM&Aソリューションの直近の業績は以下の通りです。

(単位:千円) 2020年10月期 2021年10月期 2022年10月期
売上高 143,101 342,083 434,298
経常利益 ▲4,683 47,824 61,343
当期利益 ▲2,567 31,979 43,311
純資産額 150,732 207,712 251,023
売上高経常利益率 約▲3.3% 約14.0% 約14.1%

※「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」の財務データ一部を抜粋

 

2019年11月に設立した会社にも関わらず、短期間で黒字化し、堅調に業績を伸ばしているように見えます。

 

同業他社の直近期決算は以下の通りです。

(単位:千円) 日本M&Aセンター(2023.3) M&ACP(2022.9) ストライク(2022.9) 名南M&A(2022.9) オンデック(2022.11) M&A総研(2022.9)
売上高 41,315,716 20,706,403 10,727,244 1,382,854 1,339,199 3,911,607
経常利益 15,472,889 9,766,176 4,226,531 349,513 213,421 2,082,579
純利益 9,842,935 6,794,777 2,962,404 230,982 151,316 1,326,616
純資産 54,720,538 32,598,659 11,248,550 1,445,422 1,271,320 2,929,901
売上高経常利益率 約37.5% 約47.2% 約39.4% 約25.3% 約15.9% 約53.2%

 

既に上場しているM&A仲介会社と比較し、ジャパンM&Aソリューションの売上規模はまだ小規模ではありますが、成長率の面では顕著に増加しています。

 

また、有価証券報告書の記載によると、ジャパンM&Aソリューションがターゲットとする顧客層が想定譲渡金額が5億円以下のボリュームゾーンであることからも今後の成長が期待できます。

 

最低報酬額が500万円の上場会社

 

近年のM&A業界のトレンドとして、中堅・大手仲介会社が最低報酬金額を引き上げるという傾向があります。

 

これは利益率を上げたいという背景があります。

 

仲介会社毎に「売上高経常利益率」はかなりバラつきがありますが、会社を売りたいという譲渡企業を「紹介」で探すのか「直接」探すのかという点と、最低報酬金額の高さという点などによって、この利益率は変わってきます。

 

「紹介」で探す場合は紹介者に紹介フィーを支払うことが一般的なので、「直接」探した方が会社としては利益率が高くなります(ちなみにこの紹介フィーは成約時に売手側手数料の2~5割程度をバックするくらいが業界的には多いと思います)。

 

また、M&Aアドバイザリー業務というのは規模に関わらず一定程度の工数がかかる業務であるため、規模の大きい案件よりも小さい案件の方が利益が取れなくなります。そのため、仲介会社によっては、最低報酬金額を高く設定することにより、小規模案件でも利益が取れるように設定することがあります。

 

そのため、最低報酬金額の高い仲介会社ほど、会社としての利益率が高くなる傾向が見られます。

 

ジャパンM&Aソリューションは最低報酬額が500万円ということで、上場仲介会社の中では比較的安価な設定となっていますが、これは、規模の小さな案件でも他の上場仲介会社と同等の高い最低報酬金額の設定をせずリーズナブルにM&Aアドバイザリーサービスを行っていると言えるかもしれません。

 

この点、上場すると株主からの圧力などもあり、より高い利益率を求められるようになるため、最低報酬金額が非公表になってしまったり、いつの間にか最低報酬金額を上げているということもあるかもしれませんが、これを維持しつつ、他の上場会社と売上・利益の面で遜色ない程度に成長したら、業界でも珍しいケースになるのではないかと思います。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

今後も最低報酬額が比較的安めに設定されている仲介会社の上場もあるかもしれませんが、どのレイヤーの顧客層をターゲットにしているのか、最低報酬額はどのような設定なのか、利益率はどのくらいか、などで事業内容や競合する会社もイメージが湧きやすくなるかと思います。

 

M&Aアドバイザリー業務を行う会社は様々ありますが、最低報酬額の設定については、中小企業庁も客観的なデータを公表していますので、参考にされるとよろしいかと思います。

「M&A手数料って平均はどのくらい?」中央値は500万円という事実

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ご参考いただけると幸いです。

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