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資本提携しませんかというニセDMを解説(レター本文公開)

お悩み社長

実際他の会社にはどんな偽DMが届いているの?

 

ここでは、最近よく見かける「貴社と資本提携したいという会社がいる」という手紙やDMの本文を公開して、解説していきます。

同じような文章が届いたという方、是非見比べてみましょう。

 

資本提携を装ったDMの本文

 

会社名は伏せますが、一例ですがこういうニセDMが実際に中小企業に届いています。

 

〇〇株式会社
代表取締役 〇〇様
拝啓 貴社益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。突然の大変不躾なお手紙となりましたことを何卒お許し頂き、最後までお読みいただけると幸いでございます。この度は〇〇社長にM&Aに関するご提案の機会を頂戴したく、本状をお送りしております。
 弊社はM&A仲介・助言会社でございまして、中堅・中小企業様の事業承継支援や戦略的成長を目的とした友好的なM&Aサービスを提供しております。現在までの仲介支援実績は〇〇社以上に上り、成約実績とネットワークを保有しております。
 さて、今回〇〇社長にご面談をお願いしている趣旨と致しましては、以下の二点でございます。
 一つ目と致しましては、貴社のようなブランドと実績を持たれる企業様と資本業務提携をお考えの企業様がございまして、当該企業様とのお取組みを直接〇〇社長にご提案申し上げたいというものでございます。先方とされましては貴社には独立した法人として存続頂き、戦略的な資本業務提携を行っていくことで、両社相互に企業価値の向上を図っていければとお考えでございます。今回のお話に関しましては、極めて高度な経営判断を必要とするお話ですので、今すぐ具体的に動くといったお話ではないことと承知しておりますが、是非中長期的な選択肢の一つとして、お話をお聞き頂けると幸いでございます。
二つ目と致しましては、弊社のご紹介及び貴業界に関するご意見交換の機会を頂戴したいというものでございます。前述の通り、弊社はM&A仲介・助言会社でございますので、貴業界における主要企業の経営戦略や過去にご支援させて頂いた案件の誕生背景及び当事者の思惑についても、お話させて頂くことが可能でございます。
つきましては、ご多忙の中、誠に恐れ入りますが、ご面談の機会を頂戴出来れば幸いでございます。末筆ではございますが、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
敬具
 
で、これとセットで、FAXの返信用紙と会社紹介資料が同封されています。
 

 

どうでしょう?多少言い回しは違っても、この記事をご覧の方にも同じDMが届いているのではないでしょうか?

 

 
 

どういったあたりで偽DMと分かるのか

 

話に具体性が無い

記載されている内容に全く具体性がありません。どんな会社に届いても当てはまるような内容で記載されています。

 

ちなみに「貴社のようなブランドと・・」と書いてありますが、実際に届いたこの会社は一般の人が知るような事業をしていないBtoB事業主で、DMを受取った社長本人も「うちブランド無いけどな」という会社でした。

 

独立した法人として存続、という点についても、普通M&Aで行う株式譲渡や事業譲渡では元々の売手企業の法人格は存続するので、当たり前の内容となっています。

 

このレターよりももう少し具体的な記載例としては、「貴社の〇〇業界では近年人材が不足しておりM&Aが活発に行われています」みたいな、あなたの業界分かってます風を装っていたりします。

 

いづれの場合も、「貴社の〇〇(具体的な商品名)という製品に魅力を感じている買手がいて」とか「貴社にしかない〇〇(特許など特定の技術)という技術を必要としている買手がいて」とかは書けないのです。

 

なぜなら、こういったDMは1通、2通出すわけではなく、数百~数千通を一気にばら撒き、反応のあった会社に営業をかけているからです。

 

買手の企業について詳しく書かれていない

どんな会社が資本提携を申し出ているのか書いてありません。

秘密裏に進めたい買手風を装っているようにも見せたりもしますが、単に買手に了承を取っていないケースがほとんどなので、買手の詳細は書きたくても書けないのです。

 

たまに、本物っぽい打診に見せるために、こういうような買手企業の情報が書いてあることもあります(これは某M&A仲介会社がメールで営業してきたとみられる文面です)

多分これに該当するような買手は実在するんでしょうけど、こういう動きをすることについて許可を取っているかは分かりませんし、買手としてもあなたの会社を知らない可能性もあります。

業種:人材派遣業(技術者派遣・事務派遣を中心に幅広い業務領域)
地域:北陸地方(その他主要都市に複数拠点あり)
規模:約50億円程度(単体)
背景・狙い:地方に根付いた人材サービスができていないとの認識をお持ちであり、地域に根付いている優良企業をグループに迎え入れることで、自社の営業力や採用力などを組み合わせ、成長することが狙い。

 

買収目的が抽象的過ぎますね。

どこに送信したとしても当たり障りない文章といえます。

 

ちなみに、詳しく買手の情報を書いてしまうことで、もし送った先の会社から連絡が来ても「この会社がこの会社をホントに買うの?」という可能性が高くなってしまいますので、この手の仲介会社は抽象的に書きたがる傾向があります。

 

どういうことかというと、

例えば人材派遣なら、人材派遣業をしている会社に対して、「大手人材派遣会社の●●が御社と資本提携したがっています」と営業DMや営業メールを送るわけですが、人材派遣業といっても種類は様々で、介護人材を派遣している会社や工場内の軽作業員を派遣している会社など様々なので、「営業事務派遣大手の●●社」と記載してしまうと、「え?営業事務やっている会社が介護始めるの?」みたいな感じで変な話になってしまうということです。

 

そもそもDMの送り先がどんな事業をしているかを一社一社調べているわけではないので、買手の情報を出すことで、明らかにシナジー効果がなさそうな組み合わせになってしまうんだったら、「買手の欄は抽象的な内容にしとこう」と考えるわけです。

 

 

FAXの回答用紙に社名を書く欄があったり、レターや封筒に通し番号が書いてあったりする

本当に特定の会社に具体的な話を持っていくのであれば、特定の会社にピンポイントで送るはずです。なのでわざわざ返信するFAX用紙に会社名を書いて返信する必要などありません。

 

これは、M&A仲介会社が、FAXの返信を受けたときに「どんな会社に送ったっけな」というのを確認する為のものです。

この時点で不特定多数に送付していると判断できますね。

 

また、仲介業者がDMの送付を行う場合には大抵外注を使います。場合によって、その外注業者から封入作業の際に番号をチェックして封入したいから番号をふってくれ、と言われるケースもあります。そこでレターなどに番号を振らないといけないので、分かりづらいところに分かりづらい番号などを振ってあることもあります。

 

封筒には切手ではなく料金別納

この手のDMは大量に送るので、基本的には封筒1通1通に切手を貼らず、既に「料金別納」のマークがついた封筒を使います。ここでも大量に送られたDMか判断できます。

 

ちなみにこういったDMの返信率は昔で0.数~数%台、それが徐々に下がっているという感じです。
なので、なおさら1通2通手間暇を込めて手紙を送っても何も反応がない可能性が高いため、大量にばら撒くわけです。

そんなことをやっているので、DMを送った先の1社1社が何をやっている会社かもあまり理解していないケースも少なくありません。

 

 

こういったDMは徐々に巧妙になっています。

 

中には手書きで手紙が届いた、なんて方もいますが、こちらでも紹介したように手書きでも量産ばら撒きDMの可能性は全然あるので、根本的に仲介会社から「買手がいる」というDMが来たら読まずに捨てるが正解かもしれません。

「手書きのM&Aレターが届いた?」量産DMの見抜き方を解説

 

 

ニセDMを受取ったら

 

もし、あなたが受け取ったDMがここで紹介しているようなものであった場合、送られてきたDMに反応してはいけません。

 

こうしたDMを送ってくる仲介会社というのは、総じてコスパが悪い可能性が高いからです。

 

待っていてもお客さんの方から選んでもらえる仲介会社というのは、こういった営業をする必要が無いので、逆にこういう営業でお客さんを引っ掛けようとしている仲介会社というのは、お客さんの方から選んでもらえない(=使うメリットの無い)仲介会社とも言えると思います。

 

PRが盛んな仲介会社の中には最低でも1,000万円、2,000万円、もっと高いところだと2,500万円などと設定している仲介会社も存在します。

 

この仲介手数料はとても高いと感じます。

中小企業庁の作成している中小M&AガイドラインではM&A支援機関として登録されている仲介会社の手数料分布も掲載されていますが、客観的にも2,000万円などの金額が高いことは明らかです。

 

こちら各社の手数料を一覧にしたものになりますので、参考までに張っておきます。

「M&A仲介会社の手数料一覧表」決定版!!

 

仲介手数料というのは高ければ利益率も高くなり、それだけもっと多くのDMを大量に撒くことができ、引っかかるお客さんが増えます。そしてそれが悪循環になっています。

(仲介会社側もこれが勝ち目のある戦略だと考えているのでとってもタチが悪いです)

 

M&Aを考えてみよう、という方はまずはこういったウソのDMに反応せず、客観的な情報(主に手数料)を並べて仲介会社選びをきちんと考えましょう。

 

売手から高額な仲介手数料を取る会社は、買手からも高額な仲介手数料を取りますので、こういう仲介会社を使ってしまうことで買手の数が減り、交渉の土台についても提示される金額が減ります(仕組みとしては、買手からしたら投資できる金額は一定なので、仲介手数料が高くなれば、売手への提示額は低くなるという仕組みです)。

 

こんな不都合な内容は絶対仲介会社は言いません。

 

本当にしっかりしたM&A仲介を希望するなら、騙して引っ掛けようとする倫理観の低い仲介会社ではなく、倫理観も高く仲介手数料も手ごろな仲介会社に任せましょう。

 

 

いかがでしたでしょうか?

こういうDMがたくさん来るとうんざりしたり、逆に心が浮かれてしまったりもするかもしれませんが、会社を売るとか買うとかというのがこれだけオープンになってきたということですので、必要以上にびっくりしないことをお勧めします。どこの会社にも来ています。

 

また、本記事をもう少し知りたい方はこちらもご参考下さい。

「貴社と資本提携したい」というDMは大抵ウソ、という事実

 

最後まで読んでいただき有難うございました。

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