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お悩み社長

色々M&Aについて論評している筆者はどういうM&Aの進め方をしているの?

 

筆者は本ブログや書籍でM&AやM&A仲介会社などについて論評しています。こういう活動をしていると、

 

「そういう筆者はどういうM&A仲介をしているの?」

 

と、思われる方もいるのではと思いますので、筆者がM&AコンサルタントとしてどういうM&A仲介をしているのかについてもお伝えできればと思います。

 

 

M&A仲介の仕事はすごく曖昧な部分が多く成果物を最初の段階で示すことが難しいものなので、どうしてもM&A仲介会社のPRは、「弊社はプロフェッショナルな専門家が在籍している」「最短〇日で成約させた実績がある」「〇〇業界で多数成約実績がある」みたいなアピールが多めなのですが、筆者からするとこれを鵜呑みにM&Aを依頼すると期待外れな結果になることも多いと感じています(実際そういう相談も売主から受けてます)。

 

プロフェッショナルといいつつ入社1~2年目の新米コンサルタントに担当されることもよくありますし、M&Aの成約期間の短さをアピールするのだってM&Aで必要なフローをすっ飛ばしていることも多いですし、成約実績も会社の成約実績をさもコンサルタント個人の実績のように語るのが日常茶飯事です。

 

でも、M&A業界や仲介会社の仕組みを知っていれば、こういうことになるのはむしろ自然なのです。

 

一番可哀そうなのは、こういう仕組みを知らずに、なんとなく良さそうだからという曖昧な理由で仲介会社を選んでしまったばっかりに成約しなかったり、高い仲介手数料を払わされたりするお客さんです。

 

筆者は、元々大手仲介会社にいましたが、「これってどう考えてもお客さんに不誠実だよな」とか「ここにいたら思ったような仲介できないな」と感じたので独立した経緯がありますので、筆者のM&A仲介の進め方は、M&A業界ではこういう慣習があるけどそれは違うと思うから弊社はこうやる、というようなポリシーをもってやっています。

 

お伝えする内容は筆者の考え的なところなので、特に筆者のしている仲介のPRではありませんし感じ方は人それぞれかと思いますが、世の中にはそういう考えのM&A仲介もいるんだという感じでご覧いただければ幸いです。

 

 

仲介会社ではなくコンサルタントに任せるM&A

 

筆者がM&A業界に入った時に一番驚いたのは、M&A仲介という仕事はめちゃくちゃ属人的な仕事だということです。

 

例えば、卸売業をしている会社であれば、商品はここから仕入れなさいとか、相見積は取りなさいとか、マージン率はこのくらいは最低乗せなさいとか、出荷数量は最低このくらいでまとめなさいとか、在庫は〇ヶ月で破棄しなさいとか、色々社内ルールがあるものです。

 

こういうルールがあることで、誰がその業務を担当しても、ある程度は同じような結果が出ます。

 

でもM&A仲介の場合はそういうものはありません。

 

売主にどれだけ買手企業を紹介しても納得せずに先に進まなくなったとき、買手企業の探し方に問題があるのかそもそもの売主の希望に無理があるのかといった原因はコンサルタントが考えて進め方を修正する必要がありますし、どう考えても売主に不利な契約書なのに売主が契約内容をあまり詳しく理解せずに同意してしまいそうな時にどこまで注意喚起をするのかもコンサルタントの判断です。

 

この判断が、成約するか否か、成約したとしても潜在的な問題を抱えたままの成約なのかの分かれ道です。

 

コンサルタントを雇っている仲介会社は、コンサルタントに対して、基本的に「案件受託しろ」「成約させろ」「今期中に成約させれば次の賞与で〇%インセンティブを払う」くらいしか言わないので、基本的にコンサルタントは多少の問題があることを認識していたとしても何とかして成約させる方向にしかいきません。最近ではこういう進め方でトラブルが続出しているので中小企業庁がガイドラインを更新していますが、ここについてもトップダウンで「ガイドラインを遵守してM&A仲介しろ」が追加されたくらいです。

 

この環境を考えると、M&A仲介の質、というのは結局のところ、仲介会社ではなくコンサルタント個人の「経験値」と「倫理観」によって決まるといっても過言ではありません。

 

それなのに、お客さん側がこれを見極める手段が乏しすぎるという現状があります。

 

人の「倫理観」は数字でも測れないですし、伝えるのも難しいです。筆者もブログや書籍で何年も情報発信していますが、丁寧に読んでくれる人でないと共感を得るところまでいかないのが正直なところです。どうしても、仲介会社の規模が大きい、上場している、コンサルタントの数が多い、みたいな分かりやすいところを拠り所にして仲介会社を選んでいる人が多いなと感じます。

 

考え方は人それぞれなのでそれはそれでよいのですが、結局メインで動くのはコンサルタント個人なので、コンサルタントで選ぶのが期待を裏切られない方法だとM&A業界を熟知している筆者は考えています。

 

筆者の会社の場合、「●●(仲介会社名)に依頼する」ではなく「●●(筆者)だから依頼する」というお客様ばかりですが、現にこれまで筆者にM&A仲介を依頼していただいた先で、お客様と仲介会社の間でトラブルになった先は無いですし、成約したお客様からは感謝されていますし、成約しなかったお客様からもご友人の経営者の方をご紹介いただくなどもありました。

 

コンサルタント個人ではなく、仲介会社をみてM&Aの依頼先を選ぶと起こることを図に表すとこうです。

 

 

大手・中堅の仲介会社で拡大意欲のある会社というのは積極的に人材を採用しており、M&A経験者のみならず未経験者も採用していたりします。企業が大きくなるためには育成の部分も当然必要になってくるのでこれ自体は仕方がないことです。

 

ただ、そうすると経験値の高いコンサルタントとそうでないコンサルタントが混在することになります。

 

譲渡を検討している会社オーナーとしては当然経験値の高いコンサルタントに担当してほしいと思うものですが、工数の問題もあるので、全ての案件に関与することは難しくなります。結果、フロントの部分は未熟なコンサルタントも含めたメンバーが対応し、テクニカルな部分や難易度の高い部分に対して経験値の高いコンサルタントが部分的な関与をする、という体制になります。

 

なので、例えば、会社オーナーがどの仲介会社にしようかな、と迷っているフェーズではフルメンバーで挑むのに、一度受託して(アドバイザリー契約を締結して)しまったら、よく訪問して会話するのはあまり経験のないコンサルタント、ということになることもままあります。

 

また、たとえ、たまたま経験値の高いコンサルタントが主担当になった場合でも、途中で担当変更ということも起こり得ます。

 

筆者の場合は、筆者の会社で受託する場合は、最初から最後まで筆者が対応するので、コンサルタントに関する「こんなはずではなかった」少ないものと思います。

 

 

仲介手数料

 

筆者がM&Aをお手伝いをする時には、現在、以下の仲介手数料でお受けしています。

 

 

M&A仲介手数料には法律上の制限が無いため、最低報酬として2,500万円、上限はレーマン料率による計算で設定、としている仲介会社もあります。また、めちゃくちゃ仕事がなくて売手側手数料は無料でやりますみたいな会社もあるので、実際の相場がどうか判断に困る人も人もいます。でも、以下の分布データが公表されている中では、300万円は業者の中央値よりも安いくらいの水準です。筆者よりも安い手数料でやっていますという仲介会社もあるとは思います。

「M&A手数料って平均はどのくらい?」中央値は500万円という事実

 

どちらかというと、一定規模の売手においては、手数料を固定にしているというのがメリットが大きいと言っていただけていると感じています。そして、固定でやっている仲介会社は大手・中堅では皆無です。後で手数料の計算で仲介会社と揉めることもありません。

 

一般的なレーマン料率が5億円以下の部分は5%、5億円~10億円以下の部分は4%とすると、取引額1億円であれば500万円、3億円なら1,500万円、5億円なら2,500万円、10億円なら4,500万円です。

 

対して固定300万円の場合は、取引額がどれだけ大きくても一定額です。よい買手と出会い、よい条件が得られれたとしても300万円なので取引規模が大きくなるにつれて他社との差額が大きくなってきます。億単位の取引になると手数料の話が麻痺してしまう方がたまにいますが、冷静に考えてこの差額数千万円というお金はすごい金額です。

 

他社との手数料の比較についてはこちらの記事をご参考ください。

「M&A仲介会社の仲介手数料ランキングでどこが一番高い?」見極め方についても解説

 

 

ちなみに、正直にお伝えすると、M&A仲介会社の仲介手数料というのは「売手の金額目線を上げ」「買手の金額目線を下げる」という効果があるコストです。

 

売手から2,500万円、買手から2,500万円を徴収する仲介会社を使い、売手が1億円受け取りたいと思っているのであれば、1億5,000万円を提示してくれる買手を見つける必要がある、ということです。

 

仲介手数料が邪魔になって成約しなくなっている案件というのは世の中にたくさんありますが、仲介手数料を安くすることで売手と買手の金額ギャップが縮まり、成約率が上がる関係性はあるといえます。

 

それゆえ、もし、仲介会社をこれから選ぼうとしているのであれば、仲介手数料が安い仲介会社を選ぶことを筆者はお勧めしています(もちろん信用できるコンサルタントであることが前提ですが)。

 

 

また、最初に仲介手数料が高い仲介会社を選んでしまうと大きな機会損失を伴うケースがあることも考慮に入れておくべきです。

 

M&A業界には同じ買手に複数の仲介会社が同時に打診をすることを避けるという暗黙のルールがありますが、これをいいことに、手数料の高い仲介会社が芽のある買手を独占してしまうことがあるからです。

 

利益相反義務があるので仲介会社によって売手に対する買手の評価が変わらない前提とすると、「より高い提示条件を出してくれる買手は安い仲介会社経由で探すべき」ということになります。

 

この話、少々分かりにくいので、図で表すとこういう感じです。

 

 

売手の仲介手数料が2,500万円の仲介会社がA社とB社の2社の買手を連れてきたとして、A社は提示額が9,000万円、B社の提示条件は9,500万円。このとき、売主は、AとM&Aをすれば6,500万円を受け取り、B社とM&Aをすれば7,000万円を受け取ることになります。

 

金額だけで選ぶ場面であればB社を選ぶ場面でしょう。

 

ところがそこに、売手の仲介手数料が500万円の仲介会社がC社という買手を連れてきたとします。

 

このC社はA社やB社よりも低い8,500万円を提示したのだとしたら、買手3社の中から選ばれることは普通は有りません。でも、それを連れてきたのが仲介手数料が安い仲介会社なので、CとM&Aをしたときには売手は8,000万円を受け取ることができます。

 

仲介手数料があることによって、提示金額が一番低い買手が、一番手取額が多い買手になってしまうこともあるということです。

 

実際、筆者も、過去他の大手仲介会社とコンペになった際もこういう関係性で最終的に選ばれたこともありました。でも、同時に筆者がA社やB社にあたる買手を紹介できたなら売主はもっと大きい手取額になっていたはずだな、と感じました(実際紹介は可能だったのですが、既に打診済みということから売主から打診NGだったため断念)。

 

買手のうち、基本的にM&Aの案件紹介を特定の業者からしか受けません、という買手は筆者の経験上ほとんどいません。買手は情報源を特定の業者に絞ることにそれほどメリットがないからです。

 

だとすると、どの仲介会社でも打診ができるA社やB社といった買手をわざわざ仲介手数料の高い仲介会社に紹介してもらうメリットは売主にもないということになります。

 

大手の方がたくさん買手を紹介してくれそう、と思っている売主も多いですが、筆者が売主の立場であれば、手数料の安い仲介会社である程度広めに買手を打診してもらい、それでも目ぼしい先がなければ細かい買手を手数料がそれより高い仲介会社に探してもらう、という使い方をして、より実入りを大きくしたいと考えます。

 

 

買手探しの仕方

 

仲介会社はどうやって買手探しをしているのだろう、と思っている方もいると思います。

 

大体多くの仲介会社はこういう探し方をしています。

① 過去の成約実績から、今回の事案に近い事例の買手をピックアップ
② 外販している企業のデータベースから諸条件を入れてピックアップ
③ 過去打診したことのある買手の中からピックアップ
④ 国の案件共有データベースやネットマッチングサイトに登録して探索
⑤ 売主から依頼された先に打診
⑥ 同業や関係のある士業事務所などと協力して探索

 

筆者も同様にこれと同じ方法で探索をします。

 

 

よく、「買手探しのことを考えると大手の方が良いのでは?」ということを仰る方もいます。

 

これ間違っているわけではないのですが、ただ、イメージだけで高い仲介手数料を払うのはもったいないので補足しておくと、正確には以下の関係性にあります。

① → 外販しているので小規模M&A仲介会社でも入手可能
② → 外販しているので小規模M&A仲介会社でも入手可能
③ → ここは過去の取り扱い案件の数や種類がものをいう

    (が、同業者間で共有されることもある)
④ → 国の登録、マッチングサイトへの登録で小規模M&A仲介会社でも利用可能
⑤ → 情報不要
⑥ → ここはネットワークの広さがものをいう

    (が、関係者を増やすと紹介料が発生し、実入りが減るのでルートがあっても使わないこともある)

 

大手であれば有利なのは、③と⑥ですが、どの仲介会社もいきなり⑥を試みて実入りを減らすことは普通しません。

 

また、③については、大手から独立した方と交流していると部分的に入手できることもあるので、他の①②④⑤も含めれば筆者は大手仲介会社とそれほど遜色なく戦えていると思います。

 

買手のリストアップには、データの量だけでなく選別能力も買手探しでは必要で、「ここは買うかも」「ここは買わんやろ」というのは過去膨大な買手に打診してリアクションを直に受けたコンサルタントでないと想像しにくい部分もあるため、情報量の不足をスクリーニング能力でキャッチアップしているのかもしれません。

 

 

買手探しについては、貴社と資本提携したいクライアントがいるんですDMに引っかかってしまう売主も結構いるのですが、こういう一本釣りの買手探しは大抵こういう末路になります。

 

仲介手数料が高かろうが一度売主と関係を作ってしまえばどんな買手でも持ち込める、という感じで入り込む営業が結構主流なのは、売主自身が途中で業者選びが面倒くさくなってしまうこともあるのかもしれません。

 

だから、買手いますDMは永久に終わらないということです・・。

 

筆者はこういう引っ掛け的なやり方は好きではないので、業者が本来言わないことも正直に言った上で理解してもらって受託をします。

 

仲介会社が売主にコンタクトを取る際、いいことばかりを伝えるところから話が始まると、売主と買手との認識のギャップが生まれやすいので結局成約しにくくなります。

 

高い株価査定を出してくれたり、いろんな買手を紹介してくれそうな話を受けると、その仲介会社に任せたくなる気持ちになるのは分かりますが、きちんとした経験を背景にして正直な感想を伝えてくれるコンサルタントの方が誠実だし、納得感のあるM&Aになるだろうと筆者は思って活動しています。

 

 

対応している案件

 

最後に筆者が対応している案件です。

 

以下にまとめますが、基本的に業種関係なく対応可能で、会社の規模感としても幅広で対応しています。

※ただし、宗教法人の売買とか、風営法に関係するような業種はやっていません。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

M&A仲介に関しては、業者に対する法整備が整っていないので色々な業者がいます。

 

筆者のような考えの仲介会社もいるでしょうし、全く違う業者もいるでしょう。

 

筆者のスタンスは業者しか知らない情報を売主に言わずに騙し騙し仲介をする、ということはせずに、結構何でもオープンに話します。

 

それでこそ信用してもらえる部分もありますし、仲介者に対して変な不信感を抱かずに安心してM&Aを進めることができているものと思います。

 

是非、共感していただけると嬉しいです。

 

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