書籍「M&A仲介会社からの手紙は今すぐ捨てなさい」好評発売中

【営業電話してた側が解説】M&A仲介会社の”迷惑電話”は怪しい?目的を解説

 

M&A仲介会社からの直接的アプローチとしてはDMか電話がほとんどです。

例えばこんな感じです

 

 

「はい、〇〇株式会社でございます」

 

 

「M&A〇〇の〇〇と申しますが、〇〇社長いらっしゃいますか?」
「社長に親展でお手紙をお送りしておりますので、その件でお電話しました!」

 

 

「営業はお断りしておりますので、失礼いたします」

 

 

この記事を読まれている方は、実際にこうした電話を受けた方も多いかと思います。

 

迷惑だからやめてほしい?

それは業者側も分かっています。

 

センミツ(1,000回に3回当たればいい)の精神で掛けまくっているだけなのです。

 

とはいえ、あまり頻繁にくると迷惑ですよね。

 

実は、筆者も昔大手のM&A仲介会社に勤めているとき、実際に営業電話もしていました。結局、こういう営業が嫌で辞めたんですが。

 

ここでは仲介会社側の目的や、電話が繋がった場合どういう話の展開になるかを内情を知っている立場で解説していきます。

 

目的とかその後の展開とか、そんなのどうでもいいから早く撃退法を教えてほしい、という方はこちらをご参考ください。

M&A迷惑電話を断る・減らす具体的な方法【受付担当者さんも必見】

 

なお、M&A仲介会社が「怪しい」と言われる背景や、安全な見分け方については、以下の記事でも詳しく解説していますのでこちらもご参考ください。

M&A仲介会社は怪しい?ヤバい?安全な見分け方【現場目線で解説】

 

 

【結論】M&A仲介会社からの営業電話の目的

 

結論からいうと、M&A仲介会社がこうした電話をする目的は「あなたの会社を売ってくれ」か「紹介する会社を買ってくれ」のどっちかです。これ以外基本無いと思ってください。

 

どう考えても売りもしないし、買いもしない、だったら、M&A仲介会社というのは必要のないものなので、無視でいいです。

 

例えば、あなたが信号待ちをしているとき、不動産会社の色黒な若手営業マンが物件チラシを見せながら「この近くでいい物件が出たんですよ!」とウッキウキで近寄ってきても相手にしないでしょう?

 

だって、別に今不動産探してるわけじゃないし、そもそも営業マン走らせないと売れない物件なんて人気ないんだろうし。M&Aだって一緒です。

 

M&Aを仲介することで稼ぎたい営業マンからの営業的アプローチ、という見方でOKです。

 

 

では、ここではもう少し踏み込んで、掛かってきた電話が「あなたの会社を売ってくれ」の電話なのか「紹介する会社を買ってくれ」の電話なのかの見分け方、取り次いだらどういう話になるのか、無視してもいいのか、詐欺ではないか、というのもこの記事を検索されている方は気になると思います。

 

ここではそんな話題について深堀解説していきます。

 

この記事では、電話営業を実際していた筆者が業者サイドの内情をお伝えするので、電話の受け手としても「そもそもこの電話どうしよう」の解決になるはずです。

ぜひ最後までお読みいただければと思います。

 

 

「あなたの会社を売ってくれ」パターン

 

どんな感じの電話か?

 

M&Aの売手を探している時のM&A仲介会社が電話をかけたときには、大体このような内容でかけてきます。

 

 

「社長宛に郵便物を送ったのでその内容で説明させていただきたい」

「代表者様に(業務資本提携の話で)重要な話がある」

 

 

 

M&Aの売手を探している時のM&A仲介会社が電話をかけたときには、大体このような内容でかけてきます。

ほぼ100%の確率で代表者宛ての電話ですね。ここである程度見分けられます。

 

なぜかって、M&Aというのは経営権を持っている人と話しないと何も始まらないのでまずは社長、というわけです。

 

厳密には株主なんですが、中小企業は社長=株主がほとんどなので。経理部長とかにも用は無いです。

 

この電話では、場合によっては社長と知り合い風を演じたり、既に何度かやり取りしている風を演じてくることが多いですが、ぶっちゃけ社長と知り合いでも何でもないです。

 

ある意味、「いかに不審がられず受付を突破できるか」の能力を愚直に磨いているのがM&A仲介会社です。

 

社長につないでほしいのに受付の人が断ると、「こんな大事な話を社長に聞きもせずに断るんですか?」と逆ギレする営業マンもたまにいますが、こういうのは「会社としてお断りしてます、ガチャ」でよいです。

 

M&Aで最も慎重に扱わないといけない売手会社の従業員になるかもしれない人にそういう態度をとる仲介でまともな仲介はいませんので。これは確実。

 

電話を社長に取り次ぐとどんな話になるのか?

 

もし、こういった電話を社長に取り次いでしまったり、社長自身が電話に出てしまったらどうなるでしょうか?

 

 


「御社と資本提携をしたいと言っている先がいます」

「関心を持っている内に交渉すれば良い条件になります」

 

 

だいたいはこんなことを言ってきます。

 

「御社を買収(資本提携)したいと言っている会社がいる」と言われて、なんとなくその仲介会社を通すことでメリットがありそうな気持ちになってしまうこともあるかもしれませんが、基本作り話なので気を付けましょう。

 

仲介会社としては、この段階では「嘘でも何でもいいので関心を持ってもらい、とにかく直接面談の機会を得ること」だけなのですから。

 

前述の通りあなたの会社のことなんてよく知らないのにこんなハッタリかますことなんて、アポインターからしたら朝飯前です。

 

ここで、もし少しからかってみたいなら、逆に、「弊社をどういう会社だと思って、どういう点に興味を持って資本提携だなんて言ってるんだ?」って聞いてみてください。

 

途端に「お電話ではお伝えできないので実際お会いして」とかHPに書いてある程度の当たり障りない内容を喋り始めるでしょう。

 

だって、おたくの会社のことなんも知らないし。

 

では、実際仲介会社と会ったらどうなるかというと、もしちょっとでも社長が「M&Aに興味ある」、「事業展開に限界を感じている」など会社を譲渡する要素が少しでもあれば、M&A仲介会社はここぞとばかりに「それをM&Aで解決しましょう」という展開に持っていきます。

 

そもそも会社を売らせることが目的ですからね。

 

あとは、実際に社長と会って、仲介契約を結び、買手を探して、M&Aの話が進んでいくという流れになります。

 

従業員視点でみたら、社長に電話を取り次ぐ→ある日M&A会社の人が来社する→社長がコソコソなんかやってる→数か月後に急に社員が集められてM&A発表、という感じに見えるでしょう。

 

社長としては、もしM&Aを検討しているということであれば、話を聞いてみても損ではないかと思うかもしれません。

 

ただ、こういう営業電話でホイホイとその仲介会社と仲介契約を結んでしまうのは、実際に数千万円ドブに捨てることになるケースもあるので、比較なしで仲介会社を選ぶのはお勧めできません。

 

仲介をしている筆者がこういうことを言うのもおかしいかもしれませんが、本当に買手あまたの売手企業というのは、別に仲介会社を使わずともM&Aマッチングサイトに登録すればジャンジャン買手からのオファーが来て、仲介抜きで成約することもあります。

 

大手仲介会社だと売手から最低2,500万円、買手から最低2,500万円とか手数料を取るので、直接売買するより5,000万円手取りが減るということです。

 

まずはM&A仲介の仕組みを理解してから依頼先を検討することをお勧めします。

この辺の仕組みについて詳しく知りたい方はこちらの書籍もご参考ください。

【お知らせ】「M&A仲介会社からの手紙は今すぐ捨てなさい」を出版しました

 

 

「紹介する会社を買ってくれ」パターン

 

次は、M&Aの買手と想定して電話をかけてきた場合です。

 

どんな感じの電話か?

 

M&Aの買手を探している時のM&A仲介会社が電話をかけたときには、大体このような内容でかけてきます。

 

 

「御社にご紹介したい譲渡企業がある」

「経営企画などのご担当の方はいらしゃいますか?」

 

 

 

こういう電話をする仲介会社としては、

「早くこの案件成約したいから、とにかく興味持ってくれる先を探さないと!」

という感じで電話をかけてきます。

 

買手企業に対しては、必ずしも社長という訳ではなく、「M&Aを検討している部署(経営企画、社長室、財務部、総務部など)」に取り次いで欲しいと言ってくることもあります。

 

なんでも「社長に繋いでくれ!」っていると何だかアホっぽいですし、わざわざ担当部署を飛び越えたところで、結局M&A実行までの実務は担当部署に降りてくるわけですし。

 

目的は、

譲渡企業を紹介して、興味を持ってもらえれば是非検討してほしい(でも手数料は貰うよ)

 

ということですので、会社がM&Aを積極的に検討しているのであれば担当部署に繋いでもよいかと思います(ただ、例えば食品製造会社なのに自動車修理会社などの案件を持ってくるとかのトンチンカンな案件紹介だったら相手にすると時間を無駄にするかもしれません)。

 

怪しい感じがするのであれば、「会社HPのお問合せフォームで用件をお伝え下さい。興味があればこちらから連絡します」で返しておきましょう。あとでその電話番号を検索すれば、他にも同じような営業をしているかどうかネットの掲示板とかでわかることもあります。

 

電話を社長や担当部署に取り次ぐとどんな話になるのか?

 

もし、こういった電話を社長や担当部署に繋いでしまったらどうなるのでしょうか?

 

だいたいはこんなことを言ってきます。

 

 

「御社に是非ご検討いただきたい譲渡企業がいます」
「もし検討頂く場合は、NDAをいただきたい」

 

 

※NDAとは「秘密保持契約」のこと。情報開示する代わりに秘密を漏洩しないと約する書面。

 

ここでのミッションは、「譲渡企業(売手企業)に興味を持ってもらい」「NDAをもらうこと」です。

 

大まかな売手企業の内容や、Teaser(あるいはノンネームシートといいます)を貰うこともあります。

 

この内容で興味がある場合は、NDAを出してもよいでしょう。というか、Teaserレベルでは売上とかエリアとか業種がざっくり書いてある程度なので、そもそも興味ある案件かどうかも判断できないことがほとんどですので。

 

このNDAの書式の内容にもよりますが、基本的には秘密保持義務と直接交渉禁止の義務を負うくらいの内容なので、普通は費用は発生しないことが多く、それほど気にしなくても良いと思いますが、中には「詳しい情報を知りたければ料金をお支払いください」という企業概要書開示段階で情報提供料などといって料金を徴収する仲介会社もたまにいるので注意しましょう。

 

興味がある案件かどうかもわからないのに費用を支払うのはリスクがありますし、ブローカーチックな業者に引っかかるリスクも上がるので、「初期的な情報は無料でもらえるのが常識」というスタンスでよいと思います。実際それが多数派です。

 

 

筆者がやらされてた電話営業の実態解説

 

筆者はこういう電話営業をしていたとお伝えしましたが、ここで実情をお伝えします。

 

実は、M&A仲介会社が売手としてターゲットとしている会社に電話をする時点ではその会社がどんな事業をやっているかよくわかっていません。

 

なぜかって?

 

会社を売るかどうかというのは事前に調べようもないので、めちゃくちゃ下調べして電話を掛けたけど断られたみたいなことも普通にあります。

 

こんなことをやっていてはどれだけ時間があっても足りないので、一般的にはこういう進め方をします。

とりあえず電話をかけまくる

M&Aに可能性のある売手とアポだけ取り付ける

アポまでの時間でその会社を調べる

場合によっては買手候補になりそうな会社に関心確認する

当日買手がいる体で話をする

 

つまり、電話をする段階で「御社に関心がある買手がいる」というのは嘘なんです。

 

もっと言えば、後付けで嘘を誠にする、という営業です。

 

筆者はさすがにここまでやったことないですが、買手へ話を漏らすのは普通に問題です。

 

だって、知らない間に、会ったこともない会社に、あなたが会社を売るかもしれないという情報が漏洩していることもあるわけですから。

 

どことは言いませんが、某仲介会社が、仲介契約も結んでいない売手企業の情報をM&Aプラットフォームに勝手に掲載して買手を募集していたこともありました。

 

筆者は売手と繋がっているので全部裏が取れてしまったんですよね。

 

M&Aプラットフォームによっては、仲介契約がきちんと結ばれているかすら確認せず掲載を許すところもあるのでこういうことが起きます。

 

これを考えるといきなり電話してくる知らない人に話をするのはリスクでしかないといえるでしょう。

 

 

なぜあなたの会社に営業電話してきたの?

 

M&Aの電話がかかってきてこう思う人もいるのではないでしょうか?

 

「もしかして跡継ぎがいない情報が他から漏れてる??」

 

基本的にこういう心配は不要です。

 

不用意に従業員や取引先を疑う必要もありません。

 

単に、「あなたの会社の情報が企業情報として売り買いされているから」です。

 

多くの仲介会社では新規営業先開拓をするときには、帝国データバンクや商工リサーチなどの外販されている企業情報から、「建設業」「年商5億円以上」「首都圏エリア」「従業員10名以上」などと条件を絞って、数十件、数百件のリストにしたものを上から順に電話しまくっているケースがほとんどです。

 

最近では載ってないかもしれませんが、代表者の住所とか年齢まで一括でリスト化できるので、事業承継をネタに営業なんていとも簡単にできちゃいます。

 

「自宅にまで営業してきたんだけど!」というクレームが一時期問題になりましたが、これが原因です。

 

不思議とM&Aの営業がいっぱいかかってくる会社というのは集中するというのは、まさにこういう事情があるからで、企業情報転売屋のリストに入っている、年商規模がM&A仲介会社のスイートスポットといわれる1~数十億円くらいのレンジに入っているところには営業が集中しがちです。

 

与信の関係で事業内容や財務情報などを企業情報屋に伝えているという会社も多いかもしれませんが、こういう利用をされているというのは理解しておいたほうが良いと思います。

 

 

よくある質問

 

ここでよくある質問についてお答えします。

こういう電話は断っていい?

はい、ただの営業電話なので断ってもよいです。

断ったことで社長が不利益を被ることもないです。電話営業がM&Aを考えるきっかけになる人も確かにいますが、それであればまず色々な角度で情報収集するほうが合理的な判断につながります。

 

資本業務提携って何?

M&Aのことです。

M&A業界では、特に会社・事業を売る側の人に対しては「M&A」という単語は極力避け、「資本業務提携」という言葉を使うことが多いです(乗っ取られるみたいなイメージが日本ではあったから)。

逆に、M&Aという言葉を出さない雰囲気を感じとったら、「あなたの会社を売ってくれ」の営業である確率が上がるのではと筆者は思います。

 

こういう電話って新手の詐欺?

100%詐欺ではないと言い切れませんが、基本的には単なる顧客獲得のための営業です。

とはいえ、こういう電話営業で接点をもった仲介会社が悪意なく紹介してきた買手が詐欺の加害者ということは実際あったので、「そもそも詐欺師が狙いやすい会社か」「買手の言動に不審な点はないか」などを抑えるほうが詐欺防止には効果的です。

筆者は詐欺師の手口や傾向も分析しているので、気になることがある方は筆者にお問い合わせください。

 

迷惑電話が来なくなる対策はあるか?

迷惑電話を無くす・少なくするためには、「企業情報にあなたの会社情報が載らないこと」「リストから電話を掛けるときに躊躇する仕組みにすること」くらいですかね。

前述のとおりですが、企業情報を売買する業者に情報提供すると勝手に営業リストに利用されます。その情報を二次情報として利用する業者もいるので、本来どこにも情報を出さないが根本的な対策です。

もし、情報を出してしまっているという会社の場合は、例えば会社HPのお問い合わせフォームに強めに「営業お断り」と記載するなどが対策になります。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

今回はM&Aの営業電話を取り上げましたが、安易に電話を取り次いだり、話し込んだりせず、一度冷静になって、色々自分で調べてから本当に必要だったら折り返すというのが良いと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

お問合せ

    お名前任意

    メールアドレス必須

    お問合せ内容必須

    スパムメール防止のため、こちらにチェックを入れてから送信してください。