書籍「M&A仲介会社からの手紙は今すぐ捨てなさい」好評発売中

「M&Aキャピタルパートナーズからの営業電話?」元大手仲介コンサルが解説

 

この記事を読まれている方は、略して「MACP(エムエーシーピー)」こと、M&Aキャピタルパートナーズから営業電話がかかってきたのかもしれません。

 

結論からいうと、会社や事業を売る気がないのであればこうした営業電話は不要な電話といえます。仮に、会社や事業を売る気があったとしても、最初からMACP1択というのは筆者はお勧めしません。

 

理由としては、MACPは上場している大手仲介会社という安心感はある一方、M&A支援は担当者によって品質が異なるのと、最低報酬額は2,500万円となっており5億円未満の譲渡価額になるM&Aにおいては割高になる可能性があるため、比較するのが望ましいからです。

 

ここでは、MACPがどんな会社か、何の目的で営業してくるのか、また、この会社にM&A仲介を依頼するのはどうかといった話題を、元大手M&A仲介でコンサルタントをしていた筆者が解説していきます。

 

そもそもM&Aキャピタルパートナーズとはどんな会社?

 

M&AキャピタルパートナーズはM&A業務専従者で203名(2026/6月時点M&A登録支援機関データベース参照)を擁するM&A仲介会社です。

 

M&A業界では古参の会社で、日本M&Aセンターやストライクなどと並ぶ上場大手仲介会社の部類に入ります。

 

その特徴としては、日本M&Aセンターやストライクなどが数多く行う紹介営業よりも直接電話やDMなどで売手となる会社を発掘するという営業に特化している点があります。

 

というのも、この会社の創業者は住宅営業の経験を持つ人物で、既に全国規模でネットワークをもっていた日本M&Aセンターと差別化を図るような営業戦略をとって大きくなった会社でもあります。

 

昔からよく電話やDMの営業が来る類の仲介会社のようなイメージかもしれません。

 

MACPがシェアを広げるきっかけになったのは調剤薬局のM&Aですが、薬局のM&Aというのは、売上・利益、どこの門前か、処方箋枚数は何枚か、薬剤師は何人か、などのパラメーターが分かれば買手が比較的すぐに値付けしてくれるため、非常に短期間でM&A成立まで至ります。

 

この回転率の良いM&Aに営業を全力投下したのもこの会社だったのですが、M&A仲介会社は成功報酬で売上の大部分を稼ぎ出すため、短期間で成約を量産できる分野に経営リソースを集中するというのは、仲介会社側にとっては一定の合理性があります。

 

筆者の周囲でも、薬局案件を短期間で数多く手掛けることで経験を積み、高い成果報酬を得ていたコンサルタントも見られました。

 

しかし、その後は、後発のM&A総合研究所がより大々的に電話・DM営業を展開するようになったり、ペアキャピタル(現HCフィナンシャル・アドバイザー)が破格のインセンティブ設定をしたりで、昔ほどの物珍しさや尖った感じはなくなったように筆者は思いますが、今なお大手として事業展開されています。

 

どんなことで話題になった会社?

MACPがよく知られるきっかけになっているのは一番はライオンのCMなのではないかと思います。

 

2021年頃からテレビ東京系のWBSやモーサテといったおそらく経営者が見るであろう番組に集中して広告投下しているため、TVを見る経営者にとっては馴染みのある会社となっているかもしれません。

 

内容を見ると「株価レーマン方式で手数料の安いMACPにしましょう」といった内容だったりしますが、結構注意してみる必要のある内容も多いかな、というのが筆者の印象です。

 

例えば、こういう内容です。

「着手金無料」や「株価レーマン方式」というアピールは、他の上場大手である日本M&Aセンターなどが採用している「着手金有料」や「総資産レーマン方式」を意識しているようなニュアンスを同業者の筆者は感じました。

 

ただ、一般的なレーマン料率を採用し、最低報酬額の設定が2,500万円(2026年6月時点)の同社が、「支払手数料率の低さ№1」という表現をすることについては、比較条件や調査対象による可能性もありますが、一般の中小企業経営者が広告だけを見ると「どの規模の案件でも手数料が安い会社」という印象を持つ可能性はあるかもしれません。

 

実際に、中小企業庁が過去公表している、M&A支援機関の最低手数料の分布は以下となっています。

中央値は500万円~1,000万円となっています。

 

また、手数料率についても、同社レーマン料率は非常に多くのM&A仲介会社が採用している「5億円以下5%、5~10億円部分4%、10~50億円部分3%・・・」というもので、特段低い料率を設定しているわけではありません。

 

こうした広告情報の受け手である中小企業オーナーは、実際に手数料を計算して比較することが重要です。

 

M&Aキャピタルパートナーズの手数料はどうか

 

M&Aキャピタルパートナーズの手数料は、公表されている情報から以下となっているようです。

【譲渡側手数料】
・着手金:無料
・中間金:有り(成功報酬の約10%・成功報酬に充当)
・月額報酬:無料
・成功報酬:株価レーマン方式で計算
・最低報酬額:2,500万円(税別)

 

この仲介会社を利用した場合、初めて費用が発生するのは買手企業と一般的には相対交渉に入る基本合意のタイミングとなります。

 

基本合意後に譲渡条件が悪化したり破断になるということも一定割合で起こるので、その場合は中間金(成功報酬の約10%)が払い損にならないかは確認必須の手数料体系だと思います。

 

一方、株価レーマンでの料率設定ですので、例えば負債の大きい会社などの場合には総資産レーマンで料率計算する仲介会社よりも有利になる可能性があります。

 

譲渡金額別の手数料は以下のように計算できます。

5,000万円で譲渡:2,500万円の手数料
1億円で譲渡:2,500万円の手数料
2億円で譲渡:2,500万円の手数料
3億円で譲渡:2,500万円の手数料
4億円で譲渡:2,500万円の手数料
5億円で譲渡:2,500万円の手数料
10億円で譲渡:4,500万円の手数料
20億円で譲渡:7,500万円の手数料
※譲渡額5億円以下の場合は最低報酬額2,500万円が適用されるものとする
※いずれも税別

 

最低報酬額2,500万円の規定があるので、M&Aの売却価額が5億円以下と予想される場合には、もう少し最低報酬額が低い仲介会社を選んだほうが実際には仲介手数料が安くなる可能性があります。

 

一方で、5億円以上での売却となる場合には、標準の料率の株価レーマン方式で計算する他の仲介会社と支払う仲介手数料の総額は同額になります。

 

むしろ5億円以上の売却価額を想定する場合は、レーマン料率が標準的(5億円以下5%、5~10億円部分4%、10~50億円部分3%・・・)か、株価レーマンかその他の計算方法か、を気にするとよいでしょう。

 

もちろん、いくらで売却できるかは最初の段階ではわからないので、複数株価査定を取り、取った株価査定の一番安い額よりもかなり低い売却金額を前提として仲介手数料のシミュレーションをしておくほうが安全ですね。

※仲介手数料を試算する場合は、想定よりも大幅に低い株価で試算することをお勧めします。

 

M&Aキャピタルパートナーズからどんな電話が来るのか

 

M&Aキャピタルパートナーズからの営業電話は昔からかなり多いです。

 

営業電話がかかってくる先の業種としては、昔は調剤薬局などが多かったのではないかと思いますが、昨今ではIT、ヘルスケア、建設、食品など他分野のM&Aを手掛けているため、どのような業種の会社でも営業電話が来る可能性があると思われます。

 

ただ、営業電話の内容については一般的な仲介会社と同様に、まずは社長に取り次いでもらうような話から始まり、社長とコンタクトできると「資本提携やM&Aをしないか」という趣旨の会話になります。

 

M&A仲介業界では、以前買手がいることを匂わす電話が多かった印象ですが、中小企業庁からそういった”釣り営業”は禁止という中小M&Aガイドラインが発出されたことにより、M&Aキャピタルパートナーズに関しても営業の入り方は変わった可能性があります。

 

M&Aキャピタルパートナーズに関しては、自社の社名を「MACP(エムエーシーピー)」と略して使うこともあるようです。

 

筆者の中では、同業間では「あいつがMACPに転職した」とか「MACPとコンペになった」とか結構MACPと言ったりすることが多い印象ではあるものの、初見の顧客に対してMACPという略称を使っている点については少し不自然な印象を持ちます。

 

具体的な社名を言わない点について不審に感じる受付もいるかもしれませんね。

 

M&A仲介が怪しいと思ってしまう理由についてはこちらの記事もご参考ください。

M&A仲介会社は怪しい?ヤバい?安全な見分け方【現場目線で解説】

 

また、単純に電話が迷惑とかやめさせたいなと思う方は以下の記事をご参考ください。

M&A迷惑電話を断る・減らす具体的な方法【受付担当者さんも必見】

 

 

M&A仲介会社が電話営業をする理由

 

ここでM&A仲介会社が電話営業する理由についても考えてみます。

 

とりわけ、M&AキャピタルパートナーズやM&A総合研究所のような直接営業を積極的に行う仲介会社については、その市場環境から電話営業をせざるを得ない事情があります。

 

というのもM&A仲介業界では、早くから日本M&Aセンターなどの古参の仲介会社が既に全国に紹介ネットワークを広げていた背景があり、後発の仲介会社が紹介ルートを確保するのが難しいケースがありました。

 

例えば、全国の税理士事務所などと提携し、クライアント企業の事業承継問題が出てきた段階で日本M&Aセンターに紹介し、M&Aが成約したら紹介料をフィーバックする、といったものです。

 

このような仕組みで、他社に士業事務所や金融機関などのネットワークを広げられていたために、待っていてはM&Aの売手が取れず、顧客獲得のために電話やDMなどで直接売手となる企業にアプローチするという営業が増えていきました。

 

しかも、M&A仲介というのは、売手側については基本的にリピートが発生しないので、常に新規開拓し続けないといけない構造もあります。

 

結果、同じ会社から何度も何度も、断ってもなお、営業電話やDMやらが来るという形になるわけです。

 

「M&Aの営業にうんざり」と顧客側が疲弊するくらい営業が止まないのは、「営業しない」=「新規顧客が取れない」=「売上が立たない」という事情だからです。

 

一応補足しておくと、紹介ルートを持っている仲介会社も直接営業は普通にします。

 

というのも紹介先への紹介料で利益率が落ちるからです。

 

直接営業は自社の評判が悪くなるというレピュテーションリスクも負いがちですが、それを負っても利益率を取りに行くか、あるいは紹介先との長期的な関係性を重視するかは仲介会社それぞれといえます。

 

 

「買手がいる」と言われたら本当なのか

 

MACPに限らず、M&A業界では、買手がいるからM&Aを検討しませんかと言う仲介会社が多いです。

 

昔は初回の電話やDMでそう営業しているケースは多かったですが、規制が厳しくなったために減ったように思います。ですが、今でも対面での面談ではこういう誘いをしている仲介会社は結構います。

 

結論からいうと、

基本的に仲介の言う「買手がいる」というのは「買収ニーズが想定される候補先が存在する」というニュアンスで使われることが多いです。

 

もし「探せば買手がいるかも」なら、逆に売主からしてみたら、その仲介会社で買手を探さないといけないという必要性は基本的にありません。

 

M&Aの売手は何が確実な情報で、何が不確実な情報かを整理したほうがよいです。

 

筆者が見ていて、本当に多くの売主でこの整理ができておらず、「なんとなくよさそう」で仲介会社を決めていることが多いと思っています。

 

買手探しについてはできるだけわかりやすくQA形式でお伝えします。

 

なぜ仲介会社は具体的な買手がいることを匂わすのか

そういう言い方をすると、売主は「じゃあ売ろうかな」となるからです。

過去色々な仲介会社が試して上手くいった実績付きの手法なのです。

 

でも、本当に買手がいることもある?

名指しでの買収打診は絶対無いとは言えませんが、M&Aの営業している打診数という大きな分母から考えると限りなくその確率はかなり稀です。

また、財務内容も開示してない会社に対していきなり値付けすることなどあり得ないので、もしいきなり具体的な条件を提示されるような場面があるなら、情報漏洩している方をまず疑った方がいいと思います。

 

大手仲介会社の方が買手が多いは本当か?

これは一概に言えませんので、「大手の方が買手が多い」は不確実な情報です。

筆者はM&A業界に長くいるので分かるのですが、「この業種であればこの買手はまず声をかけるだろう」という有名どころの買手については、大抵どこの仲介会社に依頼しても打診候補先として挙がってきます。

となると、どこでも打診できる買手ならできるだけ仲介手数料が安い仲介会社を通した方が売主としては合理的な判断と言えます。

大手仲介会社は成約実績が相対的に多いので過去成約した先に持ち込む場合は大手の方が有利なこともある(買手も仲介会社の過去の支援に不満がなければ)一方、大手仲介会社がM&Aプラットフォームで買手探しをするなら他の仲介会社と何の差別化にもならないので高い手数料を払うだけになるリスクはある、といった感じでしょうか。

 

仲介手数料が高い・安いは確実な情報?

仲介手数料はまだ買手探しをしてもいない最初の段階で取り決めします。

仲介手数料の上限については、多くの仲介会社で譲渡額などの条件にレーマン方式という料率を掛けて決めます。買手も確定していないので「譲渡額」は不確定、一方で「料率」は確定情報です。

仲介手数料の下限については、最低報酬金額という「最低でも〇〇円は手数料かかるよ」という条件を規定するので、これは確定情報です。

 

多くの売主が、買手が見つかるかも買手がいくら提示するかもわからない段階で、仲介会社と仲介手数料の取り決めをするというのがM&A仲介の実務にはなっているので、とりわけ仲介手数料のうち「最低報酬金額」は保守的にみるほうが安全といえます。

 

 

結局、M&Aキャピタルパートナーズに依頼すべきか

筆者ならどう判断するか

あくまで筆者の意見ではありますが、筆者が売主だったら、M&Aキャピタルパートナーズからの営業をもとにそのまま仲介契約を結び仲介1社で進めることはしません。

 

担当コンサルタントの知識や経験値、M&Aに対する姿勢や支援の品質を他と比較することなしに1社に専任させることはリスクがあると思うためです。

 

少なくとも3社以上は話を聞いてみて、少なくとも2社(多くても3社まで)には「専任条項無しで仲介を依頼する」というくらいがちょうどいいと思っています。

 

筆者は過去M&Aキャピタルパートナーズの営業担当(管理職?)とコンペになるケースはありましたが、分かりやすいIM(企業概要書)を作成されていたり、競合に対してもある程度紳士的な姿勢で対応していた経験もあるため、担当者によってはきちんと仕事しているなと思った記憶があります。

 

また、CMをやっているなど、大手ならではの安心感を感じる人もいるでしょう。

 

ただ、筆者は元々大手仲介会社にいたのでわかりますが、M&A仲介会社は担当者によって経験値や能力の差があるため、正直当たりはずれがあるのも現状です。

 

大手だから大丈夫だろうとは思わず、他の中堅や小規模な仲介会社とも、担当コンサルタントレベルで比較をするのが重要です。

 

また、M&Aキャピタルパートナーズは最低報酬額が2,500万円ということもあるので、どう株価を試算しても5億円に届かなさそうなのであれば、優先順位は低くなります。

 

「保守的にみた想定株価×5%」以下の最低報酬額を設定している仲介会社を選ぶ

 

これは、実際に受け取るお金の内仲介手数料が他仲介会社と比べて割高にならないようにするためには役に立つ考え方です。

 

M&Aキャピタルパートナーズの担当コンサルが良い方であれば、例えば、M&Aキャピタルパートナーズと異なる手数料(低い最低手数料)、異なる良さのある担当コンサルにも並行して仲介を依頼し、もし買手候補先が被るようなら最低手数料が安い仲介会社を優先的に打診させる、といったことは戦略的に進める一つの方法でもあると思います。

 

まとめ

M&Aキャピタルパートナーズは営業がさかんな会社なので接触頻度は多い会社かもしれません。

 

ただ、M&Aは人生で何度も経験することがなく、取り返しがつかないものでもあるので、仲介手数料の設定やコンサルタントの質は仲介会社や個人によって大きく異なることを理解して、最低限比較をきちんとして選ぶほうが後々後悔しないと思います。

 

もし、この記事を読まれている方が、以下のようなお悩みをお持ちであればお気軽にご相談ください。

・大手仲介会社とその他の仲介会社との違いが判らない
・実際にかかる手数料はどうなるか
・株価査定はどう計算するのが保守的か

・理想的なM&Aの進め方をするときには仲介会社をどう使うべきか

 

昨今M&A仲介会社に対しては厳しい見方をする方も増えていますが、その分M&A業界を知っている人のセカンドオピニオンを参考にするのは有益だと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

お問合せ

お問い合わせ

    お名前任意

    メールアドレス必須

    お問合せ内容必須

    スパムメール防止のため、こちらにチェックを入れてから送信してください。